小学生のころ、食料品店のまっちゃんを誘って登校していた。

まっちゃーん!と声をかけると、いつもまっちゃんのお母さんが、

朝ごはん食べてるから待ってやって、と言った。

ちょっと覗くとまっちゃんが食べているのが見えた。

ご飯の上にバターを乗せて醤油をかけて食べているのが見えた。

バターなど食べたこともなかった。

なんとも言えないいい匂いがした。

ある時は、食パンにバターと砂糖を乗せて食べていた。

私の家の朝ごはんは味噌汁。食パンなど食べたことがなかった。

一度だけまっちゃんが食パンを一切れくれた。

何もついてなく焼いてない食パン。

あの時食べた食パンの美味しかったこと。

それから結婚するまで、朝ごはんに食パンを食べたことはなかった。

結婚当初は親と同居だったので、朝ごはんは姑さんが作ってくれていた。

朝ごはんは食パンとコーヒーだった。

初めての食パンとコーヒーの朝ごはん。

どうやって食べればいいのか。

夫が食べ始めるのを待った。

夫は食パンをコーヒーに浸して食べた。

ああやって浸して食べればいいのか。

私は夫に倣って朝ごはんを食べた。

ある時、義姉に誘われて喫茶店でモーニングを食べた。私はいつものように、コーヒーに浸してパンを食べた。

義姉が、慌てて小さい声で、

そんな食べ方やめて、恥ずかしいよ

と言った。

え?違う?

その時初めてパンをコーヒーに浸すのは正しくないと知った。

それ以来、私はコーヒーに浸して食べるのをやめた。

結婚して52年。

夫はいまだにコーヒーに浸して食べている。

食パンだけでなく、菓子パンでも浸して食べる。

どれが正しい、正しくないではないとは思うけど、

外ではしてほしくないなぁ。