パンの材料が小麦でなくてはいけない理由とは・・・
パンの原料は言うまでもなく小麦です。
その小麦とは、イネ科の小麦属の一年草の種子です。世界の小麦生産量は2016年は7.4億トンと想像もつかないような多くの量が生産されており、パンやお菓子、麺類などに加工されます。
パンの原料が小麦でないといけない理由とは、小麦特有のタンパクが水と合わさるとゴムのような弾力性のある性質を作り出すことにあります。
加工・成形に最適な性質とは・・
1.粘りがあり色々な材料をひとまとめにできる
2.弾力があるので、形を自由に変えられる
ほかの、大麦、米粉などの穀物では、小麦でつくったものと同じようにふっくらと膨らみません。
それは、小麦特有のタンパク質をもちあわせていなからです。
この小麦特有のタンパク質のことを『グリアジン』と『グルテニン』と呼ばれています。
この物質は水には溶けず、水を吸収した状態で”練る”、”こねる”などの力が加わることで『グルテン』というよくお聞きになる弾力性のある物質を生じさせます。
ライ麦100%パンが『グルテンフリー』と言われる根源はここにあり、ライ麦には微量の『グリアジン』しかなく『グルテン』を形成することは出来ません。ライ麦100%のパンは、膨らまないので、空気を含まずどっしりと重く中身が詰まっています。
米粉パンは『グルテンフリー』として有名ですが、米粉も『グルテン』を形成するここができないので本来は”ふわっとした”パンのような食感にはならず、お餅のようになります。小麦粉から抽出したグルテンを添加してやらないとパンとして膨らまないからです。米粉パンでふわっとしたパンであれば、正式には『米粉入りパン』でありグルテンフリーで無いものもあります。
米粉=グルテンフリーでは必ずしもないので注意が必要です。
『グルテン』の膜は発酵中に発生する炭酸ガスを生地の外に逃さないための”風船のゴム”のような役割をします。
小麦粉とは、小麦の種子の中心の『胚乳』部分だけを製粉したもので”デンプン”、”タンパク質”を含みます。おもにパンにはタンパク質の含有量の一番多い『強力粉』を使用します。
最近では健康志向で『全粒粉』を使用したパンも多くなりましたが、『全粒粉』とは小麦の外殻部分(ふすま)もまるごと製粉したものです。外殻の部分にはミネラル、繊維質を多く含みます。
お米にたとえると・・・
白米=通常の小麦粉(薄力粉や強力粉)
玄米=全粒粉
というイメージです。
『全粒粉』は独特のこうばしさと硬めの食感で、普通の小麦粉よりも栄養価が高く、また、食物繊維の効果により、血糖値の上昇を遅らせる効果があります。
全粒粉100%では、グルテンに繊維質が邪魔をしてうまく膨らまず、火の通りも悪くパンにはなりませんので、ライ麦100%のようなパンになります。一般的には『全粒粉』10%入りのパンといったものが多いのです。
ライ麦など、他の種類の詳しいお話は、また機会を改めご紹介します。
最近は「国産小麦」のパンも多く見られるようになりました。
農林水産省によると、2016年の国産小麦の流通量は78万トン。一方、輸入小麦の量は530万トンであり、輸入小麦の流通量に対し、国産小麦は約12.8%と希少なのです。
もともと、国産小麦は日本麺や菓子用として利用されており、たんぱく質の量が少なく膨らみが悪いのでパン向きではないと考えられてきました。
しかし、近年、パン向けに適した新品種が開発され、安価な輸入小麦比べ高額ではありますが、安全な食材として注目を集めています。
国産小麦の魅力は
1.もちもち感やしっとり感といった、国産小麦ならではのおいしさ
2.消費者の『国産=いいもの』信仰があり、名称などブランディング化している
3.輸入小麦はポストハーベスト農薬の懸念があるので、国産は安心安全であるといわれている。
3番目の、ポストハーベスト処理は、主に輸送するのに長期間かかる船便の農作物が対象として殺菌剤、 防かび剤を散布することです。
船便でもオーガニック農作物専用コンテナ、空輸便などには、ポストハーベスト処理が行われていないそうです。
輸入小麦だからといって、必ずしもポストハーベスト農薬が検出されるというわけではないとしても、基準値内に収まっているとはいえ、残留農薬が検出される場合が少なくありません。
基準値は守られているので健康被害はないそうですが、根拠がはっきりせず、本当のところは不明です。国産も農薬を使っていると言えば水掛け論になりますので、この場で私が断言できるのもではないということです。
グルテンについても健康志向の中、議論がありますので、おってご紹介しますね。
今回はここまでです。
読んでいただきありがとうございました!
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私のパンは広島で無添加・国産小麦にこだわり
健康を気にするあなたのためだけに焼いています。
ドイツベーカリー&カフェ
ベッカライベック シェフ 加藤幸夫
広島市中区鉄砲町1-25 1F
082-555-9730
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