いきなりですが、

買い物中に、すごいワインを発見しました。


なにがすごいのかというと、

そのワインの売り文句がなんと、



「ドンペリロゼよりもおいしい」



……なんですよ。


あの有名な高級ワインよりもおいしいとは、

にわかには信じられない、いやいや、

恐るべきワインです。


しかも、値段は1800円。

かなり現実的です。


ちょっと飲んでみたいですけど、

1800円もけっこう高いですからね。

いかがなものか……。



と、お店でにらめっこすること20分――



……買ってしまいました。

いやぁ、甘い誘惑には勝てませんねぇ(←しみじみ)。


あんなおおげさな売り文句に

踊らされる人なんているんだろうかと思っていたけど、

ものすごく近いところにいましたね。


まぁ、そんなことは気にしません。

家に帰ってさっそく家族で飲みました。



「おほっ、うまいな」


「この味なら……1本いけちゃう」


「すっぱ!」



このように、

みんなそろってワインに舌鼓を打っていました。


わたしもちょっと飲んだのですが、

いやはや、これは、正直おいしいです。


口に入れた瞬間、軽い味なのかなと思うのですが、

徐々に、酸味と甘味が絶妙なバランスで口の中に広がり、

それでいて飲んだ後は、とてもさわやかです。


あまりにもおいしかったので、

「わたしの自腹なんだからね。じ・ば・ら!」

と、調子に乗っていばったのですが、

当然、誰も相手にしてくれず、恥ずかしい思いをしました。



そんな冗談も交えながら、ワインの話に花を咲かせました。


国産よりもやっぱりおいしいね、なんて話をしていたとき、

すっかり忘れていた大事なことを、鋭き瞳で指摘されました。



「……で、ドンペリのほうはどんな味なの?」



……!!!


わたしはスーパーマーケットでアルバイトをしているのですが、

最近、店長が新しい方になりました。

厳しいと評判の店長です。

そんな評判を聞いていたので、少し緊張しながら仕事していると、

さっそく注意されました。

「自分、なんであいさつしないん? お客様がいたら言うように習ったろ」

おっしゃるとおりです。

たしかに習いましたが、

前の店長が比較的寛容だったことや、

ほかの方もあまりあいさつをしないこともあり、

だんだんとあいさつをしなくなっていたのでした。


当然するべきことをせず、甘えて、

だらだらと仕事をしていた自分に気づかされました。

じつに恥ずかしいですね。


ここで素直に「すみませんでした」と謝れないのがわたしの悪い癖で、

つい口答えをしてしまいました。


「わたしはおくゆかしいんです」



いかん、また余計なことを、と焦ったのですが、

店長はそんなことをまったく気にせず、



「こういうのは慣れだよ、慣れ。ううん、言っているうちに慣れてくるよ」



お、大人の対応でした……。