仮釈放中に近くで買い物をしていたら携帯に着信があった
着信名を見たら大学時代の恩師の携帯電話
「手術の日を間違えちゃって見舞いに来ちゃったよ(笑)」
どうやら受付で問い合わせたら
「退院しました
」
って言われて
「病院の喫茶コーナーでお茶飲んでるんだ」
「す、すみません。すぐにお迎えに上がります
」
もう大学を卒業してから30年以上になるが、公私ともに色々とお世話になってきた先生だ。そのため、癌での入院の事も手術の事もお話していたのだが、都心のご自宅から電車を乗り継いで日本最後の秘境埼玉くんだりまでお出でいただくとは不肖の弟子としてはただただ申し訳ないばかりである。
駅まで戻るとのことなので、ご都合を伺った上で、最寄り駅のコーヒーショップで落ち合うことにした。
待ち合わせ場所のコーヒーショップに着いてみるとメモを取りながら専門書を読んでいるところだった。
もう退官されてから何年も経つのに研究心未だ衰えずというところか。
「お待たせいたしました」
「やぁ、思ったよりも元気そうで安心したよ」
「はぁ、応急の処置をしてもらってから楽になりました」
「しかしこれからが大変だな。化学療法って苦しいんだよ」
「はぁ、そう聞きますね」
「気持ち悪くなっちゃうしな」
「はい」
「ぐっと体力が落ちるからなぁ」
「みたいですねぇ」
「髪の毛が抜けたり」
「・・・・・」
「しかしまぁ、君ももうお子さん方を立派に育て上げたんだし・・・」
せ、先生。
もしかしたら、見舞いじゃなくて
引導渡しに来たんですか?
その後、「前を向いて頑張るように」(意訳)とのお言葉を頂き、手術後の再開を約して別れました