僕は桃だった。
人生の中で何度か話したことはないだろうか。
「一番好きな果物って何?」
蜜柑も好きだ。
メロンも好きだ。
苺も好きだ。
優劣つけ難いが本当に僅差で僕は桃だった。
そう…
だった。
荒川優的好きな果物ランキングはギリギリのところで平和の均衡を保っていた。
「断トツで桃やでぇっ!!」
ではなく。
「いやぁ~どれも良いところがあってさぁ~、本当に選ばなきゃいけないの?まいったなぁ~。。う~ん…どうしてもって言うなら桃かなぁ~。。あっ!いや、でもね!冬はやっぱり蜜柑がいいよね!風邪を引いたら苺食べたくなるし!」
平和を保つことは難しい。
荒川憲法第9条「果物ランキングの放棄」が存在する中で、「季節や本人の状況によって順位が変動する場合はこれをランキング付けとは見なさない」という拡大解釈によって保ってきたのだ。
ギリギリのところで…。
しかし、守り続けてきた平和の均衡が壊れたのだ。
そう。
この真っ赤な太陽のような2発の爆弾によって。
製造は宮崎。
その名も「完熟マンゴー」。
自由奔放だが、ビジネスに長けるあの人物がトランプタワーならぬタワーマンションから投下したのだ。
「美味い。旨すぎる。」
荒川優的果物ランキングは一口目にして火の海と化し。
二口目、三口目…全てを破壊し頂点に君臨して統治されてしまった。
現在、僕はその後処理としてバラバラに落ちた物を拾い集めている。
いつ拾いきれるのであろうか。
僕のほっぺた。
優