営業も結構重労働だな。
俺は新人プロデューサーとしてプロデュース中のアイドル菊地真のために仕事を取っている。
本人は女の子らしい仕事がたまにはしてみたい。
とは言うんだけど、どうやら中性的なアイドルとしての見られ方が強いためなかなか見つからない。

「戻りました。」
「おう、後堂戻ったのか。」
「前先輩、今日はお休みでは?」

大先輩の前プロデューサー、今ではトップアイドルと言われる天海春香をプロデュースした人だ。
俺もいつかこのようなプロデューサーになりたいと思う。

「休みだったんだが、音無さんに頼んでた物が手に入ったということなんでな。」
「小鳥さんにですか?」
「あぁ、後堂は旅と鉄道って雑誌知っているか?」
「いえ、初耳です。」

旅と鉄道?タイトルから想像すればきっとそのままなんだろうけど。

「そうだろうな、俺みたいな鉄道マニアにはたまらない雑誌なんだがな。」
「前先輩は鉄道好きなんですか?」
「別に隠していたわけじゃないんだがな。興味ない人に押し付けても迷惑だからな。」

迷惑かどうかは聞いてみたいが、こういう人の話は止まらないとも聞くしな。
うーむ、でもそのうち聞いてみよう。

「もし、機会があればお話を聞いてみたいかなと。」
「そうだな。そのうち飲みにでも行こうか。」
「はい、そのときは是非。」

ま、まさか大先輩と飲みにいけるかもしれないなんて。
これは、それだけでも十分な価値があるぞ。



「プロデューサーいますかー?」
「おや、真か。」
「新しい仕事はどうですか?」
「うっ、それがだな……」

正直にまたいつも通りの仕事しか取れなかったと話した。
真も少し残念そうにしてる。
あぁ、俺はなんて無能なんだ。

「菊地さん、後堂も頑張っているんだ。そのうち君が望む仕事を取れる男になるさ。」
「前先輩……」
「え?あ、僕は仕事をもらえるだけで嬉しいです。」

真……俺、もっと頑張るよ。
よし、少しでも真のよさを伝えれるように頑張ろう。

「よし、真さっそく仕事の打ち合わせだ。」
「は、はい。」
「それでは、前先輩失礼します。」
「あまり張り切りすぎるなよ。少しくらい肩の力を抜いたほうがいい仕事できるぞ。」
「はい、ありがとうございます。」

よし、すごいやる気になってきたぞ。
俺も絶対前先輩のように素晴らしいプロデューサーになる。

「真、俺頑張るから。一緒にトップアイドルを目指して頑張ろう。」
「はい、プロデューサー。信頼してますよ。」



二人の絆深まる一日であった。