術後に変わった口内バランス
2012年に舌癌の手術をして以来
切除側の飛び出た部分が歯の刺激を受けるようになった。
切除後の炎症

(※鏡で見た図なので左右反転)

術前には下の5番目の歯が歯列の内側に生えていたが
舌の裏を刺激するのは良くないので
この歯を手術の時に抜いてしまった方が良いという勧めがあり
抜くことを選択した。


結果的に、なくなった5番目の歯の隙間を埋めるように
歯が動いてきて下の歯列が内側へ移動してしまい

舌が窮屈になってしまったようだ。

 

以前、矯正歯科に相談に行った時の先生の言葉だが
「歯列が悪くてもそれで口腔内のバランスが保てていることもある」
「歯列を良く変えることでバランスが崩れて不具合がでることもある」

その言葉を借りるなら
舌を切除し舌の形が変わり、歯を抜いて歯列が変わってしまったことで
私の口腔内のバランスは以前とは違う形で崩れてしまったのだろう。
さすがにこんなことまでは誰も予想できなかっただろう。


喋る度に刺激を受けていた
術後からしっかり発音しようと頑張ると
その舌の飛び出た場所が常に歯の刺激を受けてしまい
ヒリヒリして痛くなっていた。

外で人と会うときはしっかり発音しようと頑張る分
その後のダメージが辛く、いつも人と会った後数日は舌がヒリヒリしていた。
私にとってはその場所は常に痛みを感じる場所になっていた。

ブログにも書き残しているが
術後8か月を経過した頃にお喋りの練習を頑張りすぎて
その部分に出来物が出来、出血し、白い点々が出来て
病院に駆け込んでいる。


白い点が発生
そして何年か前から(少なくとも3~4年前)その部分に白い点が出来始めた。
それがとても痛かったので通院時に口腔外科医に診て頂いた。
その時は「歯の圧痕」だという診断だった。
下の前歯が引っ込んだため、舌に痕が付くようになったのだろうと思った。

※図は舌の裏側(鏡で見た図なので左右反転)


※赤丸の所の圧痕

その圧痕は白い点の見た目から一見口内炎か圧痕か区別がつかない。
私の頬粘膜には両側とも歯の圧痕があるが
舌のそれと同じように白く浮かび上がっている。
そして舌のそれも歯の痕通りになっていることで
私もこれが歯の圧痕であると思った。
突き出た圧痕が刺激を受けやすいために
そこに炎症が起こってしまったのだと思っていた。
おそらく主治医も口腔外科医もそういうご判断だったのだと思う。
そしてその診断はその当時は間違っていなかったのだと思う。

経過観察中の何年もの間
この圧痕である白い点が消えることはなかった。
そして度々「痛い」と病院で訴えていて
その都度、刺激になりそうな歯を削って対応して頂いていた。

そして昨年2018年の10月初めから
その部分がより痛くなり異物感を覚える。
刺激しないよう少し様子を見たが
白い点々や赤みを帯びた炎症が見られ若干硬いようにも感じたため
慌てて病院に予約を入れて11月初めに診て頂いた。

「硬結もなく悪いものではない」という診断。
刺激になりそうな歯を丸めて
ステロイドを貼りながら様子を見ることになった。
圧痕部分に炎症が起こっているだけなんだと安心した。

それ以降3か月程は、薬のおかげか痛みが引いて安心したかと思えば
また痛みが出てきたりして、一喜一憂していた。
触らなければ痛くない状態、触らなくても痛い状態の繰り返し。
見た目は白い点のまま。たまに周りに炎症が起きていることがあった。

日常生活でも舌を刺激しないよう気を付けて過ごしている。
刺激になっていると思われる歯を削っても削っても痛みが続く。
もう何をどうしたら良いのか分からなくなっていた。


圧痕の炎症でなく白板症?
1月末の診察ではいつも通り「硬結なし」
ふと頭に浮かんだ質問を主治医にしてみた。
「白板症っぽいですかね」
主治医は否定せずに
「白板症の全てががん化するわけではない」
という旨の回答だったため、白板症というご判断なのだろうと思った。

診察を終えて
これまで歯の圧痕部分が炎症を起こしていると思っていたが
実は既に白板症にまで至っているとしたら…と考えると
口内炎ではないものにこのままステロイドを使い続けても
意味がないのではないだろうかと考え始めた。
(長期に渡るステロイド使用は通常はしないため)

また、そのステロイドパッチが歯にもくっつき
舌が引っ張られて痛いことも増えたため
(本当は良くないが)自己判断で薬をやめてみた。

 

2月の中旬から下旬になると、飲食や会話が苦行となる。
白い点の見た目はほぼ変わらないように思えるがよく見ると
不気味な細かい白い点々が圧痕の上にあるようにも見える。
そしてほんの少しだけ大きくなったような気もする。
痛すぎて触ることも躊躇われたが頑張って触れてみると
思ったよりも硬いように感じた。
ここまで生活に支障が出て来ると
この痛みをどうにかしなければならないと考えた。

堀ちえみさんの件で久しぶりにこのブログに戻ってきたついでに
今現在、謎の舌炎に悩まされていることを書く。
すると、読んでくださった方から白板症を手術で切除したお話と
手術を検討しても良いのではないかとご意見を頂く。

発音に使う舌先ということもあり
どのぐらい切るの?どのぐらい影響が出るの?と
まるで舌癌と変わらない手術の様子を読み怖くて躊躇したが
白板症の手術についてネットで調べたところ
やはり今の段階で切っておくのが被害が少ないという結論に至った。
どうせ既に舌足らずだし。白板症ならがんより切除は小さくなるはず。
何よりこれが口内炎でないのならいつまでも痛いまま放置するわけにいかない。
そして、翌日の診察で言いたいことを纏めた。

・これは白板症なのか(前回はあまりはっきりした回答でなかったため)
・だとしたらがん化するのを待っているだけの状態とも思えるし
 生活に支障が出ているため切除することを考えたい


視診と触診で悪性
ところが、診察の日に状況は一変する。
「硬結あり」
すぐに口腔外科医の先生が呼ばれ
「これは悪いものにしか見えない」と。

私はマイナス思考の人間である。
1月の診察以降、白板症を疑ってから
これが既にがん化しているのではないかとも考えていた。

なので「視診と触診で悪性」という判断に対しても
「やっぱりなぁ」ぐらいの感想しかなく
終始顔色ひとつ変えずに話をしていたと思う。

私は毎日毎日様子を見ていたので
少しずつの変化に気づきにくかったのかもしれない。
痛みが強くなったり弱くなったり繰り返すのは数年続いていること。
白い点々もあるが、これまでも度々白い点々は出ていた。
どれも何年も続くいつものことだった。
2月に入って急に変わったことと言えば痛みが今までより強く感じられること
舌を少し動かし難いことぐらい。

今となっては分からないが、素人考えで
最初は圧痕だったものが、突き出た形のせいで歯に当たりやすく
知らないうちにピンポイントで白板症になっていて
そこががん化したのかもしれない。

 

いつからがん化してしまっていたのか。

ステロイドは舌癌を一時的に小さくしてしまうという情報を見た。
11月から3か月間ステロイドを貼り続けたために
変化に気づけず舌癌を育てていたなんてことはないだろうかと不安になった。
ただ、1月末の診察で主治医は硬結はないと仰っていた。
そう考えるなら、がん化したのは2月と考えて良いのだろうか。

 

経緯を纏めていると自分の行いが客観視できる。

思い込みは恐ろしい。

一方向ばかり見ている当事者に対する第三者の視点や意見は大事だと思った。

 

その日から、過去に経験した通り、がん患者のベルトコンベアに乗る。