店の中に飾られる無数の天使のオブジェ。
白を基調とされた店内は、中世ヨーロッパの絵画のような世界観だ。
それは 約束の地『カナン』、彼らの桃源郷を表現したものなのかも知れない。
その店の名前は、『Jepung』。
アンティークショップに見えるそれは実は花屋なのだが、一応そのオブジェやファベルジェの卵と呼ばれる飾りはすべて売り物だ。
正直 人はあまりこないが、店の三文の二が骨董品で埋め尽くされているので、例えば花が売れずに無駄に枯らしてしまうこともない。それに、新しい花を入荷する前に、近所の小学校にでも渡せば花瓶に入れて飾ってくれる。
この店の店主の名前は、エラルド・カヴァニス。ほとんど趣味のような店内。むしろ、人がきて商品が売れてしまうと悲しそうな顔をする。
店内のBGMに混ざり、卓上噴水のちょろちょろ、と言う水音が混ざって聞こえる。この店のドアは古風でいい、開けるときにベルが鳴るのだ。
商品と花で埋め尽くされた店内の奥の目立ちにくいレジから顔を覗かせるエラルド。滅多に人がこないから少し嬉しいような、また商品が売れてしまうのか、と言う寂しさも含んだような微妙な顔だ。
だが、私の顔を見たとき、ぱっと笑顔になる。それは、私がきて嬉しいからなのか、私が商品を買いにきているわけではないと知っているからか、
私にはわからない……
「チェレステ!」
私の名前はチェレステ・アバティーノ。この店にはよく訪れるのだが、商品を買ったことは一度もない。
「相変わらず売れてないみたいだね」
「僕はこのごちゃっとした空間、好きだなーー」
「ふうん」
「今日も二階?」
私がいつもここにくるのは、二階のアトリエに用があるからだ。
入り口付近立ち入り禁止の階段、その上だ。装飾を施された手すり、店内の雰囲気を壊さないように、一応二階まで装飾はある。上りたくなるような魅力的な階段。その階段を上がるとアトリエがある。エラルドはそこで商品を作る。驚くことに、彼の店の商品は全て彼の手作りなのだ。
アトリエも少しごちゃごちゃしている。装飾がここまで続いているせいと、作りかけの商品を倉庫にしまわず出しっ放しのせい。この広いアトリエをよくもこう狭くできる。
私がアトリエに用があるのは、もちろんアトリエとして使うためだ。別に出しっ放しの商品に文句を言うわけじゃない。エラルドと同じように、私もなにかを作る人だから。だが売るためではなく、私が使うため。私が作るのは、ピアス、指輪、ネックレスなどのアクセサリー。エラルドの作るものとは全然違う。黒を基調とした、少し派手なデザイン。
エラルドも金髪と言う、なんていうかパンクな髪色ならもう少し派手な格好をしてもいいのに、と思う。
エラルドは見た目の裏腹に、真面目な読書好きの青年だ。


この間リコピンファミレスにいった帰りに寄ったお店の印象で思いついた一節、です…(`_´)ゞ気が向いたので投稿してみる!
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