雨が降る
風が吹く
雨戸ががたがたなる

こどものとき近所のアパートの
屋根が吹っ飛んだのを見たことがある
昔の漫画に台風の前
雨戸を釘で打ち付けるシーンは普通であった
屋根の上に石が置いてあったり
停電に備えてろうそくを用意したり
うちにはなかったが
全然ファンタジーというわけでもない

台風は好きだ
じっくり部屋にこもる
部屋にこもるに
じっくりはおかしいが
じっくりなんである

雨が降る
風が吹く
雨戸ががたがたなる
今日は嵐らしい
不穏な空気とは
こういうのを言うのであろう
なまあたたかい風が吹く

ジェネシスの
carpet clawlersを聴く
なかなかよい空気になる

不気味というか
不安な心地よさ

仕事しようっと
とあるショッピングセンターに行く
トイザらスの前に休憩用の背もたれのない椅子がある
ソファみたいなやつですな
ふかふかの

でかいスペースなので二十個くらいある
そこを子供が飛び跳ねながら渡る
靴を履いたままで

そのうちの一つに座って
わしは考え事をしておった
その子が(五歳くらいの女の子だ)
接近してきてるのにも気づかないほど
沈思黙考に沈んでおった

ぼえん
びよん
突然椅子が波打つ
振り返ると
彼女の侵略が俺の椅子にまで迫っていたのだな
気がつかなかった

狼藉は続く

ぼえん
びよん
飛び跳ねながらソファの上を駆けまわる

「だめよ、○○ちゃん」
そうだ。いってやれ
「怪我したらどうするの!?」

ぼえん
びよん
をやられた時より
おれはずっこけそうになった

ねえ
お母さん
それ、間違ってますよね?