貴子ちやん大丈夫? さあー捕まって!」



二元は右手を差し出した



・・・



その時だった



『あぶーーーーーーなあーーーい!!!』



二元目掛けて人がぶつかった



ドォ‐ーーーン!!!



その拍子に二元も地面に転んでしまった



「イテテテー!」



『スイマセン! 私スケート得意じゃなくて・・・

あれ!  もしかして?

昨日の夜カラオケご一緒した二元君じゃない?

あら偶然! ここで会ったのも何かの縁、ここは

寒いので良かったら・・・何処か暖かい所でゆっく

りお話しませんか?』



???



二元は昨日の夜カラオケボックスで、しつこく纏わ

り付いて来た女を思い出した



「いえ! 友達と一緒なので、それに迷惑です!!」



その女の計画的犯行だった

ここに二元が来る事は昨日のうちから分っていた

五郎が酔っ払った拍子に、ベラベラ喋っていた

その女もキッパリ二元に迷惑と言われプライドを傷

つけられたのか、プンプン怒って帰ってしまった

二元も、貴子を放りぱなしだった事を思い出し振り

返った



「貴子ちゃん・・・? あれ?」



貴子の姿はもう無かった

貴子は滑れないので四つんばいでハイハイしながら

ブーツの置いてある所まで行き、サッサとスケート

を脱ぎ、自分のブーツを履いて椅子に座っていた

遠くで見ていた鞴も準之助も呆れていた

せっかく準之助が作ったチャンスを二元はミスミス

逃がしてしまったのだ