Les instants dans le cinema

Les instants dans le cinema

数年館に渡って書き溜めた映画のレビューです。フランス系、レトロ系が好みです。

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1点(5点満点)
初コーエン兄弟ですが、心の底からつまらない映画でした。何がどうなろうとどうでもいいです。
なんとなくおしゃれな感じにも切り取れる雰囲気が、いまどきっぽいです。
モノクロというか、セピア版と、カラー版どっちも出してるというのも、なんとなく許しがたいです。

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4点(5点満点)

エルトポのレビューの続きのようになります。

エルトポについて思い出したりして、気合いを入れて書こうと思ってたのに、なんかまた億劫になってきたという。
エルトポも、このホーリーマウンテンも、びっくりするくらいレビューが多くて驚いたのですが、二つの映画どっちとも、ストーリーはものすごく簡潔です。ただ、エピソードに満ちている。逆にエピソードをなくしてしまったら、下らなくなってしまうくらい、骨格はシンプル。監督はエピソードを物凄く楽しんで愛していると同時に、観客を少し煙にまこうとしているとも感じられます。
そして煙に巻かれている人が多すぎるのは、宗教に関する意識が日本人が薄いからでしょうか。いや、私だって希薄です。日本人は「真実」とか興味なさそうですが、逆に日本が特殊なのか?、真実を求めるというのは、哲学が長く行ってきたことでもあり、宗教は、それぞれの宗教が提示する「真実」なるものに色々なエピソードの肉付けをしたものだと思います。
しかしながら、このホーリーマウンテンを見てエピソードに振り回されてしまうというのは、逆にリアルというか、この映画の中で揶揄されているキリスト教の状態と似ているとも思えます。キリストは最早キャラクターであり、世界最高の有名人であり、グッズも沢山ある。
人は神の被造物であり、罪深く、その罪をあがなうためにイエスは死んだ。神殺しを人類共通の罪として、人々は毎週日曜日にミサでイエスを何度も殺す。そうして罪深さを再確認しつつ、そのあがなえない罪を少しでも軽減する為に、生きている。いずれ審判があると脅しながら。私たち一人一人の生命そのものが、神を頂点とする大きなシステムに組み込まれた、有意味なものであるという壮大なストーリーは、ただひとつ、「私の存在は根源的に意味がある」と人間が信じられる為のものだと思います。
それが、別に必要じゃなくなってきてる。確かに根源的な生を支えるようなものは、宗教のほかに代わるものはないかもしれないけれど、もっと表面に社会的地位とか、友人関係とか、色々あって、そっちでなんとかなってれば、西洋の方々的にも、もう、宗教ってなんだっけ?みたいな感じになるというか。想像ですけど。
社会的なほうがひどく揺らぐと、宗教に走る人がいるというのは日本でもよくありそうな話だと思います。
そう考えると、この映画を見て、ストーリーとか別にないと思う人は、真実とかに興味がない状態というか、言っていれば一般的なのかなという気もします。

私としては、エルトポの続きとして見てもいて、だから、世俗にまみれてない状態、日常に埋没していない状態、さらに、キリスト教を奴隷道徳的に見て否定した上で、さらに求める状態というのに関心がありました。エルトポで、ニーチェ的だみたいなことを書きましたが、ホーリーマウンテンもやっぱりその流れを受け継いでいて、キリスト教を出ると、東洋のほうとか、それに類似した形で神秘主義みたいな方向にいくのもまたよくある話です。
でも、9人の賢者がいるとか、山に登ってみるとか、その時点でやっぱり同じくエピソードを作ってしまっていて、そういう意味では新しい宗教でしかない。頭をそってみたり、自我をなくしてみたり(自分に関する意識を無くす、自分以外の人の人数だけを数えて、「一人足りません」と言って、その後に水の入った盆が指し示されて、もう一人はここにいると言われ、それを覗いて、水に自分の顔が映っているのをみて「本当だ、一人溺れてる」と言うのは心底馬鹿馬鹿しかった笑)そういうのの先に何かあるかといったら、目に見えてわかる終点はやっぱりない。無だ。

それは分かる。多分正しい、だけど、提示出来るものとしては無でも、これだっていうものはあると個人的には思っていて、さらに、これだっていうのは、もう個人の体験でしかない、体感するしかない領域だと思っています。
だから、山に登って、「本当にあるのは現実だけだ」というようなかんじで、普遍的命題を監督が打ち出してしまうのは、個人的には、(あーまた次回作に期待ね)という感じでした。あまりにもその「現実」がどれを指しているのか不分明すぎたし。循環して、現実世界に戻るっていう考え方は、形は奇麗だけど、全然ぴんとこない、新しいエピソードでしかないと思います。
そのような意味で、私としては、山の途中にあった、LSDやってる人とか、瞬間移動出来る人とかのほうが、いいと思っています。それらを否定して上に行けば真実があるかっていうと、ありそうに感じられるけど、多分ないし、本人がこれだ!と思うなら、それが薬を使っていようと、それが梵我一如的な意味で真実であり、秘技参入だと思うんです。

なんか最後雑になってしまいました。面白かったけど、思想的に納得が行かなかったから星よっつ。

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5点(5点満点)

終わった後は色々思ったのですが、書くのがおっくうになりました。

馬鹿馬鹿しくて、面白かったです。
もういちど見る時には、もっとキリスト、異教、ニーチェを意識して見たいです。
あの黒い格好をするとみんなかっこ良くなるマジック。

2010 12.15
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補足。 2011.4.5
ホーリーマウンテンを見て、そのレビューを書くにあたって、エルトポについて思い出してみました。

エルトポを見た時、色々思ったことがあったのに、なんだか面倒くさくなってしまって、レビューとしてちゃんと文章に残していなかったことが悔やまれる。だから一応、エルトポを思い出すところから初めてみる。(少し前に見たものを思い出すので、間違ってるところ多々ある気がしますが)
無知なので確証がなくしかも忘れたけれど、なんだか聖書的な章立てでことが運ぶ。黙示録、とか。このへんもういちど見直したい。

砂漠で女に出会って、子供を捨て、女にそそのかされて、最強の人になるために、砂漠にいる三賢人?を探し当てて、姑息な手も使いつつ、彼等を全員倒すも、その間に出来上がってた女達に出し抜かれて馬を奪われ、キリストが十字架に架けられたときのように、両手両足をピストルで撃ち抜かれた。(ここでなんでそういうふうにされたのか、ちょっと理解出来ていない。これによって勝つとか負けるとかいう現存在的次元から超越する儀式、みたいに考えられるかしら)

その彼を拾ったのが、大勢の山の奥に追いやられたフリークス達で、そのフリークス達に、神のように飾られ養われる。その後フリークスたちの一人の小人の女と関係を持ち、山から下りて、街に出る。街の人々は、彼と小人女がやる滑稽な芸を喜び金を与える。
確か初めて山から下りて街に来た時に、主人公が街人から「昼間なのにランプをかざすものは誰だ?」と言われていた。これが、完全にニーチェのツァラトゥストラを思い出させる。
共同体に幻滅し、民衆から離れて、山に籠っていたツァラトゥストラが、一人、言語を絶した世界で、永劫回帰の真理を得た後に、それでもやはり共同体を求めて下山し、弟子を持ち、「堕落」を始めるところだ。
「神は死んだ」と伝えるニーチェは、キリスト教が人間の実生活のために役立つ保守的、奴隷道徳に成り下がっていることを繰り返す。この映画の中では、まんまキリスト教というのではない、確か目玉の絵みたいなのがシンボルの宗教が街で流行っていることになっているのだけど、これも完全に仕込みのはいった茶番劇によって人の信仰心を得る完全に堕落した宗教である。
エルトポの主人公は、小人女とやる芸でお金を貯めたかなんかして、ちょっとづつ、山と街とをつなぐ努力をするが、いざ山と街がつながって、沢山のフリークスたちが街に降りて来ると、街人たちによってフリークスたちは滅茶滅茶に撃ち殺される。死屍累々。そしてかつて捨てた我が子に女を盗られ、主人公も死亡、みたいな内容でした。保守的な現実生活を送ろうとする者達にとっては、真実であろうとそうでなかろうと、都合の悪いものは隔離しておかなくてはならない。認めうるとしても、小規模に、かつ笑う対象としてしか存在を容認できない。
隠しておきたいものを、フリークスという見た目脅威なもので表されてる。
こう解釈しちゃうと、なんか普通だわーという感じになるのですが、映画自体は楽しめる作りになっていました。

そして、こうして解釈してみると、偽りのストーリー(宗教)にすがって、人の存在理由をねつ造したり(神の被造物、神の国)している人々をこの映画によって暴きだした、結構。では、この世界が主に偽りの上にあると認識していればいいの?まさかそんな簡単な話はないでしょ。というか貴方は逆に真実ってあると思ってるの? それで、その先、貴方はどうしたいわけ? と思うところですが、この回答への試みみたいなものが、ホーリーマウンテンにつながっていると思います。
ホーリーマウンテンにつづく。



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