以下、11月28日付公明新聞より転載

使いやすそうなところから選ぶ/産業医・精神科医 井上智介

 心も体もボロボロだと分かっていても、心療内科や精神科を受診するのはハードルが高いと感じる人もいますね。そのようなときは、家から近い精神保健福祉センターや保健所に相談してみてください。ここでは、精神保健福祉士や看護師、心理師などの専門職が相談に乗ってくれます。「どうしていいか分からないけど、今の状況を変えたい……」くらいに漠然とした相談でも大丈夫です。あなたがより的確な答えを聞きたいときには、「具体的にどのようなことに困っているのか」「今後自分はどうしたいのか」を伝えられるように、事前にメモにまとめて持っていくのも有効です。

 また、誰かと対面しての相談が苦手な人には、メディアを介した相談窓口の利用もお勧め。「いのちの電話」が有名な窓口かと思いますが、それ以外にもたくさんあります。厚生労働省の「まもろうよ こころ」というサイトには、電話相談やSNS相談などで対応している窓口が多数掲載されています。あなたが使いやすそうと感じたところから選んでみてください。

 不安などが高まって心がモヤモヤすると、どんどん心の視野が狭くなってしまって、これだけ多くの相談先の選択肢があることすらも見失ってしまいます。だからこそ、このようにネガティブな気持ちがピークに達する前から、「いざというときには、自分はどのような行動を取るのか」を、心に余裕があるときから決めておきましょう。


星まもろうよこころ