1月14日付公明新聞より転載


通常学級に在籍する公立小中学校の児童生徒の8.8%に、注意欠陥多動性障がい(ADHD)など発達障がいの可能性があることが分かった。先月、文部科学省が調査結果を公表した。

2012年の前回調査から2.3ポイント増え、35人学級なら3人程度いることになる。医師らの診断ではなく担任教員が回答したとはいえ、何らかの困難を抱えた子どもが一定数いる実情は重く受け止めるべきだ。

調査は昨年1、2月に実施し、無作為に抽出した公立小中学生について、学習や対人関係の面で困難を抱える子の数を集計した。

同省は教員や保護者に発達障がいに対する理解が広がったことで、該当する子どもが増えたとみている。見過ごされてきた子どもが認知されるようになってきたのは評価できる。

ただ、8.8%のうち、約7割の子どもが「特別な教育的支援が必要」と判断されていなかった。また、通常学級に在籍しながら一部の授業を別室で学ぶ「通級指導」を受けている子どもは10.6%にとどまっていた。十分な支援が行き届いていないのではないか。

発達障がいがある子どもは、学校生活で「周囲と協調できない」などの悩みを抱えて苦しむ場合が多い。自分の気持ちをうまく表現できず、感情を爆発させて悪循環に陥るケースもある。適切なサポートがなければ、いじめや不登校につながりかねない。多様性を尊重し、個々の特性に合わせた支援体制を築くことが重要だ。

文科省は19年度から、大学の教職課程で特別支援に関する科目を必修化。昨年には、新任教員に特別支援学級の担任などを2年以上経験させるよう各教育委員会に通知した。こうした取り組みを着実に進めることで、専門的な支援ができる教員を養成することが必要である。

多様な学びを通じて子どもたちの可能性を引き出していく通級指導の充実とともに、スクールカウンセラーなど専門家との連携で、手厚くサポートできる環境を整えたい。