※8月25日付公明新聞より転載

 

 

発達障がいなどのある児童生徒の中で、通常学級に在籍しながら、一部の授業を別室で学ぶ「通級指導」の利用者が増えている。

文部科学省が先月公表した2020年度の調査によると、全国の小中高生のうち、通級指導を利用する人は16万4693人と過去最多だった。少子化が進む中、この10年間に2.5倍の増加である。

障がいのある児童生徒に対して、適切な教育支援が広がっていることを評価したい。

通級指導は、発達障がいなどで読み書きが苦手だったり、友人とのコミュニケーションがうまく取れない児童生徒に対し、きめ細かい学習支援を行うことによって自立を促す取り組みだ。利用者は言語障がいが最も多く、注意欠陥多動性障がい(ADHD)や自閉症が続く。いずれも学校生活に困難を伴うため、一人一人のニーズに応じた指導が必要となる。

また、お互いの個性を認め合い、多様性を尊重することの大切さを学べる点で、他の児童生徒にも良い影響を与えるとされる。

通級指導の利用者増加の背景には、医療機関などで発達障がいを早期に発見できるようになったことや、通級指導への理解の深まり、受け入れ体制の拡充などが挙げられる。

とりわけ受け入れ体制の拡充については、公明党が強力に推進してきた。

16年度までの通級指導の担当教員数は、毎年の予算編成の度に決まる「加配定数」の一部だったが、公明党の強い主張により、児童生徒数などに応じて自動的に決まる「基礎定数」に組み込まれ、計画的に増員されるようになった。

また各地方議会でも、公明議員が自治体による体制拡充を後押ししている。

ただ、通級指導の利用者が増加する一方で、障がい者教育に携わる人材の不足といった課題も今回の調査で明らかになっている。

通級指導には、多様な学びを通じて子どもたちの可能性を引き出していくという重要な意義がある。一層の取り組み強化が必要だ。