※7月14日付公明新聞より転載

 

 

新型コロナウイルスの感染が再拡大している。

12日に国内で確認された新規感染者は約4カ月ぶりに7万人を超えた。政府感染症対策分科会の尾身茂会長は「第7波に入った」との見方を示している。

再拡大の要因は、オミクロン株の別系統BA.5への置き換わりが進んでいるためとみられている。

これまで主流だったBA.2に比べBA.5は感染力が強く、東京都では直近1週間平均の新規感染者数が前週比で2倍を超えた。このため第6波以上の感染拡大の恐れが指摘されている。

感染者の急増は救急搬送や発熱外来、病床の逼迫を招く。政府は、これまでの教訓を生かして感染対策や医療体制の強化を急ぐべきだ。同時に、国民に対してBA.5の特徴や感染防止に関する積極的な情報発信に努めねばならない。

感染拡大や重症化の防止に向け、まずはワクチンの接種を進めたい。とりわけ3回目の接種率が5割前後の20代、30代の若い世代の接種が重要であり、国や自治体は呼び掛けを強めてほしい。また、高齢者らに対して実施されている4回目接種も加速させる必要がある。

現時点でBA.2に比べ明らかに重症化しやすいとの報告はないが、患者の急増により病床使用率は上昇傾向にある。過去の流行時には患者が適切な医療を受けられず、容体が悪化するケースが相次いだ。

政府のコロナ対策本部が先月決定した対応策では、病床・人材確保に向けた病院間の役割分担や保健所の体制拡充が明記された。早急な実行が求められる。

感染者の急増で自宅療養者の増加も見込まれる。食事の提供といった生活支援が確実に届くよう準備を進めておかねばならない。

国民一人一人も警戒を強める必要がある。当面は、屋内でのマスク着用や部屋の換気、手指消毒に努めるなど、基本的な対策を改めて徹底したい。

外出機会が多くなる夏休みが迫る。政府の的確な情報発信が一層重要だ。