5月12日付公明新聞より転載

 

給付型、中間層にも 
柔軟な返還「出世払い」創設 
公明の主張が反映、高等教育無償化の前進めざす 
政府会議提言

 


公明党文部科学部会(部会長=浮島智子衆院議員)は11日、衆院第2議員会館で、返済不要の給付型奨学金などによる高等教育無償化に関し、中間所得層の多子世帯や理工・農学系学生への対象拡大を柱とする政府の提言内容を内閣官房から聴取した。提言は「教育未来創造会議」(議長=岸田文雄首相)が10日に取りまとめたもので、所得に応じた柔軟な返還「出世払い」の創設など公明党の主張が数多く反映されている。

 

 

首相、行程表作成、着実な実行を指示

現行の高等教育無償化は、給付型奨学金と授業料減免で対応し、住民税非課税世帯とそれに準じる年収約380万円以下の世帯の学生が対象。提言では、約380万円を超える中間所得層について「負担軽減の必要性の高い多子世帯や理工系・農学系の学生への支援に関し必要な改善を行う」と明記した。

また、貸与型奨学金については、無利子・有利子にかかわらず、既卒者も含め、卒業後の所得や、将来の結婚、出産などライフイベントなどを踏まえ、借りた人の判断で柔軟に返還できる仕組みを創設する。具体的には、年収325万円以下となっている減額返還制度の対象要件を緩和するなどして行う方針だ。

返還負担の軽減では、地方公共団体や企業による返還支援の取り組み推進なども盛り込んだ。

教育未来創造会議で岸田首相は「人への投資を通じた成長と分配の好循環を、教育や人材育成においても実現することは新しい資本主義の実現に向けての喫緊の課題だ」と強調。夏までに具体的なスケジュールを定めた行程表を作成し、着実に実行するよう指示した。

 



奨学金の拡充は、公明党が一貫してリードしてきた。

1999年度には、公明党の提言を受け、第2種奨学金(きぼう21プラン、有利子)が発足。一部の学生しか利用できなかった奨学金の貸与基準を緩和し、人員枠を大幅に拡充したことで希望者のほぼ全員が借りられるようになった。

その後も入学金用の奨学金を含め制度の充実に尽力してきた。給付型奨学金については、公明党はいち早く69年の国会で取り上げるとともに、2006年に「少子社会トータルプラン」で導入を提唱。政府と粘り強く交渉を重ね、17年度に一部の学生を対象に創設された。20年度には給付型奨学金と授業料減免について対象者と金額を大幅に拡充させる形で、高等教育無償化がスタートした。

今回の政府の会議が取りまとめた提言を巡っても、公明党は4月28日、無償化の対象を中間所得層に拡大することや、奨学金返還支援の拡充などを柱とする提言を末松信介文科相に申し入れ、具体化を訴えていた。今後も高等教育無償化の拡充実現へ全力を挙げる。