4月4日付公明新聞より転載

 

積極勧奨9年ぶり再開 
機会逃した女性無料で接種

 

子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐHPVワクチン接種を個別に呼び掛ける「積極的勧奨」が、今月から約9年ぶりに再開された。対象者には市区町村から案内が順次送付される。併せて、勧奨差し控えで接種機会を逃した女性には、希望すれば公費で接種できる「キャッチアップ接種」も行われる。

 

 

 

子宮の入り口付近にできる子宮頸がんは、20~30歳代の女性が発症するがんの多くを占め、国内では年間約1万1000人がかかり、約2900人が亡くなっている。

 

HPVワクチンは、世界保健機関(WHO)が接種を推奨しており、100カ国以上で公的な予防接種として打たれている。日本では2013年4月から公費で賄う定期接種となり、小学6年生から高校1年生までの女子を対象に、市区町村が実施主体となって原則無料で受けられるようになった。

 

安全性で「特段の懸念認められず」
厚労省専門部会

ところが、接種後に全身の痛みなど副反応と疑われる報告が相次いだため、定期接種のまま、厚生労働省は同年6月から、適切な情報が提供できるまで積極的な接種勧奨を中止。昨年11月、厚労省専門部会で最新の知見を踏まえ、「安全性について特段の懸念が認められない」「接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回る」と判断されたことから、厚労省が正式に再開を決めた。

 

定期接種で受けられるHPVワクチンは現在、「2価」と「4価」の2種類。どちらも半年から1年の間に、同一ワクチンを原則3回接種する。

 

キャッチアップ接種の対象は、勧奨差し控えの間に対象年齢を過ぎた1997~2005年度生まれの女性で、合計3回の接種を受けていないことも条件。今月から25年3月までの3年間、無料で接種できる。公費補助がない場合、3回の接種で4万~5万円かかる。

 

厚労省によると、HPVワクチンは16歳ごろまでの接種が最も効果が高いものの、それ以上の年齢でも有効性があり「明らかな安全性の懸念は示されていない」としている。

 

公明、対策をリード

 

子宮頸がん対策について公明党は、女性の命と健康を守るため、一貫して取り組んできた。検診の無料化や、ワクチンの早期承認を主張し具体化。ワクチン承認後は、地方議員の推進で接種への公費助成が各自治体に広がり、13年度には定期接種化が実現した。今回のキャッチアップ接種についても、公平な接種機会を確保する観点から、確実な実施を求めていた。

 

症状出た人への寄り添う支援も

 

HPVワクチン接種後に生じた体の痛みなど多様な症状を巡っては、厚労省専門部会が17年4月に、厚労科学研究の全国疫学調査の結果を踏まえ、接種歴のない人にも同様の症状がある人が一定数いると確認した。

 

同11月には、接種との「因果関係に関する新しい質の高いエビデンスは報告されていない」と判断。その上で、同12月、接種後に生じた症状に苦しむ人に対して、寄り添った支援を引き続き行うべきとされた。

 

国は適切な診療を提供するため、各都道府県に1カ所以上の協力医療機関を整備。生活面の支援強化に向けて都道府県などに相談窓口も設けた。

 

 

HPV

多くの女性が一生に一度は感染するとされるウイルス。約9割の確率で自然に排除されるが、一部の人は子宮頸部などで感染が長期化し、がん化する。主に性交渉で感染するため、若い世代のHPVワクチン接種が望ましいとされている。