以下、12月9日付公明新聞より転載

 

 

教育関係の有識者で構成される文部科学省の「いじめ防止対策協議会」は先月、いじめに関する学校や教育委員会(教委)の対応についての検討をスタートした。

学校でのいじめが増加傾向にあり、いじめが原因とみられる子どもの自殺も後を絶たない中、学校や教委の不適切な対応が問題となるケースが少なくない。しっかりと課題を洗い出し、改善策につなげてもらいたい。

中心となる検討テーマは、いじめの「重大事態」が発生した際に学校や教委が行う実態解明に向けた調査である。

「重大事態」とは、子どもの生命や心身に大きな被害が疑われる場合などを指し、公明党の推進により2013年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」に規定されている。同法はまた、いじめの疑いがあれば速やかに調査組織を設けて事実関係を明らかにするよう学校や教委に求めている。

ところが、この調査が遅れるなど適切に対応されない事例が相次いでいる。

今年3月に北海道旭川市で中学2年の女子生徒が遺体で見つかった事件では、いじめについて保護者が2年ほど前から学校に相談をしていたが否定されたという。また、東京都町田市で昨年11月に小学6年の女児が自殺した問題では、いじめを苦にしていた疑いがあったが、調査開始まで3カ月以上を要している。

法律に明記されているにもかかわらず、なぜ調査をためらうのか。学校と設置者である自治体の連携は十分か。調査組織のメンバーについて中立性や公平性は担保できているか。文科省の協議会では、こうした点について、各地の事例を踏まえた実効性のある対策を検討してほしい。

学校現場ではスクールカウンセラーの配置などが、いじめの早期発見・解決につながっている。いじめの認知件数が増加傾向にあるのも、こうした取り組みが一定の効果を上げている面があろう。

一方で、いまだに取り返しのつかない事態になるまで問題が発覚しないケースがあることも深刻に受け止める必要がある。

保護者が安心して子どもを預けられる学校づくりへ努力を怠ってはならない。