「世界一優秀な韓民族」 | にゃんころりんのらくがき

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コロナ対策で「文在寅」の人気急上昇 選挙を控え「韓国すごいぞ!」と国民を“洗脳”

鈴置高史 半島を読む 国際 韓国・北朝鮮

 2020年3月31日掲載

 

 世界中の国が新型ウイルスと闘う中、韓国では国民が2つに分かれ争う。韓国観察者の鈴置高史氏が「肺炎と政争」を読み解く。

4月の総選挙は左派が勝つ

鈴置韓国の保守系メディアが相次ぎ「4月15日の総選挙では文在寅(ムン・ジェイン)大統領が率いる左派が勝つ可能性が高い」と危機感を表明しました。

 私が見た限り、いち早く唱えたのは在野保守の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏。総選挙1か月前の3月15日に、自身が主宰するサイトに「投票1か月前のやや冷静な形勢分析」を載せました。

 

 第1野党で保守派の中核をなす未来統合党が過半数の議席を得るのは難しい、と趙甲済氏は予測。理由は(1)選挙戦を有利に戦おうと保守が中道左派と統合したことが、伝統的保守層の反発を買った(2)文在寅政権が新型肺炎で一生懸命にやっているとのイメージ作りに成功した(3)新型肺炎が世界的な経済危機を呼ぶほどに、野党の政権批判が国民の耳に入らなくなる――です。

 趙甲済氏の“予言”が当たりました。韓国ギャラップが3月24―26日に「国政への評価」を聞いたところ「文在寅大統領はよくやっている」と答えた人が前週比6%ポイント増の55%に達しました。「ちゃんとやっていない」39%(同3%ポイント減)を16%ポイントも上回ったのです(「2020年3月第4週調査」参照)。

「よくやっている」は2018年12月第1週以来、50%を割っていました。肯定的評価が50%を超えると同時に、否定的な評価が30%台に落ちたのは、2018年11月第5週以来、1年4か月ぶりです。

 

 政権の評価が急上昇したのは、ひとえに新型コロナウイルスによる肺炎のおかげでした。「よくやっている」と答えた人に理由を聞くと「新型肺炎への対応」が56%。2位が「最善を尽くしている」の6%。大差のトップです。

 

感染者急増に歯止め

韓国の新型肺炎による累計感染者・死者数

韓国の新型肺炎による累計感染者・死者数 (他の写真を見る)

 

――保守は「新型肺炎を蔓延させた政権の無能」を材料に総選挙で勝つつもりだったのに……。

鈴置その通りです。デイリー新潮に「韓国で新型肺炎の患者が急増 保守派は『文在寅政権の無能、無策』と総攻撃」を載せた2月21日の段階ではそうでした。

 2月下旬から韓国の感染者・死者数は爆発的に増え、中国に次ぐ世界2位に躍り出た。保守は、湖北省を除く中国からの入国者に門を開き続けていたことが感染拡大の原因だ、と政府を攻撃しました。

 

 中国からの入国を全面的に禁じた香港、マカオ、台湾、シンガポールでの感染者・死者数が少なかったことから、保守の批判は相当に説得力を持ちました。

 保守系紙は「習近平主席の訪韓予定に配慮して入国を全面禁止せず、韓国人の健康をないがしろにした」と繰り返し主張。

 文在寅大統領の弾劾運動も盛り上がりました。このムードに乗って総選挙では保守有利、との見方が増えました(「新型肺炎で『文在寅』弾劾 “習近平に忖度するな、中国からの入国を全面禁止せよ”と保守」参照)。

 ところが、3月に入るとイタリアをはじめとする欧米諸国で感染が広がり、韓国の感染者・死者の順位は一気に落ちました。

 韓国の新規感染者数も2月21日以降、1日に数百人規模だったのが3月15日に2桁になるなど、やや落ち着きました。ちなみに、3月末現在は100人前後を行ったり来たりしています。

 肺炎の急拡大に歯止めがかかるに連れ「政権はよくやっている」との評価も2月第4週の42%を底に浮上。先ほど示したように3月第4週では55%を付けたのです。

「よくやっている」と評価する人の挙げる理由「新型肺炎への対応」も2月第4週の30%以降、37、44、54、56%と尻上りになっています。

 

韓国人が世界一優秀

青瓦台

青瓦台はHPに「検査件数」「確診数」を掲載。韓国だけでなく日本、イタリアとの比較も・・・・・・。(他の写真を見る)

 

――歯止めがかかっても、「失政の実績」が消えるわけでもないでしょうに。

鈴置「失政」イメージを打ち消すことに文在寅政権が成功したからです。「韓国が世界で一番うまく新型肺炎に対処した国だ」というプロパガンダが効きました。

 常に劣等感にさいなまれてきた韓国人は「世界一優秀な韓民族」との“勲章”を与えられると、すぐに飛びついてしまうのです。

 

 ことに今回の新型肺炎では、一時「中国に次ぐ感染者数の多さ」にしょげかえっていましたから、保守メディアも含め「韓国はすごいぞ!」との大合唱が起こりました。

 この政権が誇ったのが「検査件数が多い」ことです。青瓦台(大統領府)はホームページに「検査件数」と「確診率」を載せ毎日、更新しています。

 

 韓国のデータだけではなく、日本とイタリアも載せ3カ国で比べる形式を採っています。日本を載せたのは「韓国は日本の10倍以上も検査している」と言いたいからでしょう。

「確診率」とは日本では聞きなれない数字ですが、韓国では検査した結果、陽性反応が出た人を「確診者」と呼んでいまして、それを検査件数で割った数字です。これまた日本やイタリアよりも韓国が低い――防疫に成功している、と言いたいと思われます。

 

「全員検査」という誤解

――確かに、韓国は「全員検査」で有名ですからね。

鈴置「全員検査」というのは完全な誤解です。韓国も日本と同様に、新型肺炎の感染が疑われる人にしか検査をしていません。

 

 3月31日午前0時現在の累積検査件数は41万0564件。韓国の人口は約5200万人ですから1人1回の検査としても、0・8%の国民にしか実施していないのです

 韓国が検査件数を急速に増やしたのは事実です。2月19日に第4の都市、大邱(テグ)で巨大なクラスター(感染者の集団)が発見されたからです。

 中央防疫対策本部の報道資料(2月17日)によると、中国からの入国者による感染の発見――韓国ではこれを第1波と呼びます――が一段落し、第2波の大邱の大型クラスターが発見される前の、2月16日午前9時からの24時間で全国の検査件数は252件でした。

 それがたった10日後の、2月26日午前9時からの24時間では1万1863件と47倍に増やした――増やさざるを得なくなったのです(「中央防疫対策本部の報道資料(2月27日)」参照)。

 大邱で発見された大クラスターは新天地イエス教会という新興宗教と、高齢者用の療養型病院の2か所。前者は1000人規模で集団礼拝していたので、信者とその家族は集中的な検査の対象となりました。

 

 3月末時点で、大邱とその周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)での感染者は全体の82%を占めます。大集団の中から感染者をより分けるために、大量の検査をせざるを得なかった――のが実情です。

 日本や米国も、クルーズ船という潜在的なクラスターを発見した際には乗客・乗員の全員を検査しました。それと同じで、韓国も感染が疑われる人の集団を発見したので検査したに過ぎません。

 

 ただ、クルーズ船の乗客・乗員はせいぜい4000人弱。一方、新天地イエス教会の信者は全国で約20万人。その家族も含め、韓国では検査すべき人が桁違いに多かったのです。

大邱で起きた医療崩壊

――韓国も希望者全員に検査しているわけではないのですね。

鈴置もちろんです。1日の検査能力が1万件以上に達した今では、検査する基準も緩めたようですが、当初は新型肺炎に感染した可能性が高い大邱市民も、クラスターと関係がないと検査を拒否されました。

 

 2月22日に肺炎の症状が出た70歳の女性は「中国を訪問しておらず、新天地教会と関係がなく、熱もない」との理由で新型肺炎の検査をしてもらえませんでした。

 大邱の病院も対応能力の限界を超えていたのです。結局、この女性は入院できず、2月28日に死亡しました。死後に新型肺炎に罹っていたことが判明しました。

 KBSの「『いっそ新天地の信者と言っておけば』 14番目の死者の家族の涙」(3月1日、韓国語版)がこの話を伝えました。

 

 大量の患者が一度に発生したことにより、大邱では医療崩壊が起きたのです。なお、「検査のし過ぎが医療崩壊の原因だ」と見る人もいます。

 確かに、大邱では不安に陥った人々が検査を求めて病院に押し掛けましたから、そこで感染したり、医療関係者に感染させる――というケースもあったと思われます。

 

 ただ韓国では、医療崩壊――適切な医療を施せなかった主因は、軽症患者まで入院させたため病床が埋まってしまい、重症患者を自宅で待たせざるをえなくなったため、と考えられています。「検査過多」ではなく「患者の仕分け」で失敗した、との認識です。

 

 大邱以外の地域でも、クラスターに関係がない人は検査を受けたくとも受けられませんでした。

 

 KBSは「『大邱の新天地から戻った』と嘘をついて検査を受けた20代が拘束」(2月27日、韓国語版)で「大邱の新天地イエス教会から戻った」と嘘をついて検査を受けた人が逮捕された事件を報じました。

メルケルも韓国を称賛した?

――「検査件数が多い」ことは別段、誇れないのですね。

鈴置冷静に考えれば「検査すべき対象が多い」という――不幸な状況を意味します。そこで韓国政府は「検査能力は国力の証(あかし)だ」と国民を洗脳したのです。

 

――韓国人はそんなに簡単に洗脳されるのですか?

鈴置歴代政権の常とう手段ですが「世界が韓国を称賛している」ことにしたのです。中央日報の「仁川空港の検疫を視察した駐韓外交団『韓国はよく対応している』」(3月14日、日本語版)が典型です。

 

 外交部が韓国に駐在する外交官を仁川(インチョン)国際空港に招き、その検疫体制を説明した、という記事です。見出しだけ見ると、世界の外交官が韓国を褒めたことになっています。が、本文を読むとそれは伝聞に過ぎません。以下です。

・現場に参加した駐韓外交団は「現場で見るのと、説明だけを聞くのとは違う」「韓国はよく対応している」という反応を見せたという。

 

 聯合ニュースの「新型肺炎が『野火』になったドイツ、遅ればせながらメルケル登板…今や『韓国に学ぶ』」(3月14日、韓国語版)も空(から)見出しでした。

 この記事はドイツでも感染者が急増し、メルケル首相が3月11日になってようやく会見で緊急事態であると訴えた、との内容です。

 見出しでは、メルケル首相が「韓国を手本にしよう」と言い出したことになっています。でも、本文のどこにもそんな記述はない。

 

「週刊誌シュピーゲルが、ドイツも韓国のように高い検診率を達成すべきだ、との専門家の談話を報じた」と書いているだけです。

 

安倍は文在寅に負けて嫉妬

 左派系紙のハンギョレは政府のプロパガンダに全面的に乗っています。「『韓国型防疫モデル』全世界と共有」(3月17日、日本語版)、「韓国に防御壁築いた国々が『韓国の新型コロナ対応モデルから学ぼう』」(3月21日、日本語版)などを掲載、連日のように「韓国の積極的な検査体制が世界の模範になった」と強調しました。

 

 極めつけは「トランプ(Donald Trump)大統領の支援要請」でした。青瓦台は3月24日、同日夜の米韓首脳電話協議で「文在寅大統領がトランプ大統領から医療機器を支援して欲しいと頼まれた」発表しました。

 

 3月25日、韓国各紙は一斉に大きく報じました。中央日報の「真夜中に緊急に文大統領と連絡したトランプ大統領『医療装備を支援してほしい』」(日本語版)、ハンギョレの「文大統領『トランプ大統領も我が診断キット支援を要請』」(韓国語版)などです。

 

 左派系のYouTubeチャンネルは「ドナルドもすがる文大統領のリーダーシップ!」(3月25日、韓国語)で

「トランプは文在寅大統領の助けなしには困難な状況だ」

「安倍は文在寅大統領に負けて嫉妬している」

「文在寅政権の人気爆発 大韓民国ブランド急上昇」などと、大いに盛り上げました。

 

 保守系紙の朝鮮日報は「このままでは『文在寅は外交の天才』という空気を作られる」と危惧したのでしょう、翌3月26日、「『新型肺炎で世界が文を求める』という青瓦台の自画自賛は事実か?」(韓国語版)を載せました。ポイントは以下です。

・トランプ大統領は文大統領と23分間、電話で話した後、安倍首相と40分間通話している。
・米国務省は世界各国で医薬品や機器の調達に動いている。韓国だけに求めたのではない。
・ホワイトハウスはトランプ大統領が文大統領に支援を要請したことの確認を拒否している。

 

 ただ、朝鮮日報の反撃が有効かは疑問です。嘘であろうと「我が国はすごい!」という話を韓国人は聞きたがるからです。

「日本はだめだ」「安倍が悪い」

――なぜ、「韓国では全員検査」との誤った認識が日本で広がったのでしょうか。

鈴置韓国紙が「検査件数が多い我が国はすごいぞ!」と自画自賛。日本語のツイッターで「日本よりも優れた韓国」を誇る韓国人も登場しました(「韓国で新型肺炎の患者が急増 保守派は『文在寅政権の無能、無策』と総攻撃」参照)。

 

 一方、日本には、何かにつけ「日本はだめだ」「安倍が悪い」と言いたい人たちがいる。彼らがそれを見て「韓国がちゃんと検査できるのに日本はやっていない」と大声で叫んだ――という構図です。

 

――なんと言われようと、日本では検査件数が増えません。

鈴置新たな感染者が見つかれば、その周辺は検査するでしょう。もともと、日本政府は希望者すべてを検査するつもりはありません。肺炎の症状もない人にまで検査すれば、実施する医療機関の負担が増えるからです。

 でも、そんな日本が韓国人は憎らしい。「検査大国である韓国」を無視してように見えるからです。韓国政府が「日本の検査体制は間違っている」と決め付けたのも、そんな心情からでしょう。

 

 中央日報の「韓国政府『日本の新型肺炎、積極的な患者発見不十分』と評価」(3月9日、日本語版)を引用します。

・「日本の場合、積極的な患者発見が不十分で、患者発生に対する疫学的関連性把握が不足し市中感染が懸念されている状況だ」。
・中央災害安全対策本部の金剛立(キム・ガンリプ)第1総括調整官(保健福祉部次官)は9日午前に開かれた定例会見でこのように話した。

 中央災害安全対策本部・定例会見(3月9日)の報道資料にはこのくだりはないので、記者からの質問に答えたものと思われます。

 

 ただ、これだけの言質を得れば十分。中央日報は「日本は韓国と比べ劣っている」との記事に仕立て上げたのです。となると、東京特派員もさらに付加価値を付けねばなりません。

感染者を隠すために検査しない日本

――「付加価値」ですか!

鈴置同紙のユン・ソリョン特派員は「【グローバルアイ】新型コロナウイルス感染症が鑑定する政府の信頼性」(3月20日、日本語版)を書きました。「日本政府は感染者数を抑えるために検査を制限している」との内容です。

・(日本で)20代の女性が2月末に発熱と咳の症状が出て病院を訪れたという。レントゲン検査で肺炎の症状はなく、薬を処方されて帰宅した。
・しかし、症状が好転せず、それから2度病院を訪れた。37度後半の熱が10日以上続くと、医師は新型コロナウイルス感染症を疑い、政府の指示に基づいて「帰国者・接触者相談センター」に電話をかけて検査を依頼した。
・しかし、検査の要請は拒否された。「(肺炎の症状がないから)緊急ではない」というのが理由だった。この医師の説明によると、本人が濃厚接触者の疑いがあって申告しても検査を受けるにはほど遠い。
・医師は「日本政府の説明と現場はあまりにも異なる」と嘆いた。爆発的感染が発生していないからといって防疫に成功したとは言えない。あえて陰謀説まで出さなくても、多くの日本国民は現在発表されている感染者数は真実ではないと信じている。

 

――「日本は劣っている!」キャンペーンですね。

鈴置本気で書いている人もいますし、「キャンペーンに乗らないと東京特派員として生き残れない」と打ち明ける人もいます。もちろんソウル本社からこんな記事を求められても断る特派員もごく少数ですがいました。でも、そんな骨のある人は減りました。

 

 韓国人の名誉のために付記しますと、この記事の韓国語版の読者の書き込み11本中(現在は一部削除)、2本がこの記事を批判しました。以下です。

・(新型肺炎の)感染者数は操作可能だが、死者はそうはいかない。(日本で)大規模感染が起きているなら死亡者が(もっと)出ているはずだ。
・日本にいながらこんな内容のない記事を書くなんて。もっと日本社会を説明できる記事を書けないのか。

 

「韓国はすごいぞ!日本は劣っている!」とろくな根拠もなしに書く自国メディアを、恥ずかしく思う韓国人も少しはいるのです。

 

総選挙は延期しよう

――結局、新型肺炎を巡る戦いでは政権が完勝したのですね。

鈴置韓国の選挙は突然に風向きが変わりますから、断定はできません。が、今のところは、新型肺炎は左派に追い風となっています。

 

 保守を代表するメディア、朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問は「4月15日、『外国人の愛国心』と『国民の愛国心』 差を見せよ」(3月28日、韓国語版)で「天変地異やその他やむを得ない時は選挙を延期できる、と選挙法にある」と書きました。

 

 総選挙で保守が負けそうだ。新型肺炎の蔓延を理由に選挙を延期するしかない――と心情を吐露したのです。保守の追い詰められた状況がよく分かります。

 保守系紙とはいえ普通なら、選挙前にこれほど露骨に保守に肩入れする記事は載せません。姜天錫・論説顧問にすれば、今回ばかりは違うということでしょう。

 4月の総選挙で保守派が過半数を確保しないと、左派が司法を思いのままに操る組織、高官不正捜査庁が発足してしまうからです。

 

 この組織は裁判官や検察官を狙い撃ちにします。左派政権が司法も握るわけで、その永久独裁に道を開きます(「文在寅政権が韓国の三権分立を崩壊させた日 『高官不正捜査庁』はゲシュタポか」参照)。

 

左派独裁、そして「ベネズエラ」

――韓国はどこへ行くのでしょうか。

鈴置新型肺炎の先行きは不透明。大邱以外の地域では感染者が増え続けています。西欧から入国した人による感染の拡大――第3波も始まりました。

 通貨危機に陥る懸念も増しています(「新型肺炎発の韓国の通貨危機 米国の助けも不発で日本にスワップ要求…23年前のデジャブ」参照

 

 状況は極めて流動的ですが4月の総選挙で左派が勝てば、ベネズエラのように内紛が激化する可能性が高い。左派の永久執権体制に対し、保守が死に物狂いで抵抗するのは間違いないからです。

 

 後世の韓国史家は「新型肺炎が起きなければ、韓国は崩壊しなかった」と書くことになるのかもしれません。

 

 

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集