インド太平洋戦略実現へ共同文書…日メコン首脳 | にゃんころりんのらくがき

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日メコン首脳会議 対中けん制 東南アジア重視

経済発展協力を強調 政府 民主化へ「批判より支援」
 
 安倍首相は9日に東京で開かれた日メコン首脳会議で、質の高いインフラ(社会基盤)整備で地域経済の発展に協力していく方針を強調した。欧州が人権問題などでメコン諸国を批判する中、中国へのけん制を念頭に置く日本は、国情に応じた経済や民主化支援による独自外交を展開している。
 
 「メコン地域は東アジアと南アジアを結ぶ回廊であると同時に、太平洋とインド洋等を結ぶ陸の橋でもある。メコンは地の利を有する豊かな将来が約束された地域だ」
 
 首相は会議冒頭にこう述べ、自らが掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」への支持を訴えた。
 
 会議に参加したメコン川流域のタイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは近年、著しい経済発展を遂げている。日本企業の投資は過去3年間で2兆円を超え、日本政府は7500億円以上の政府開発援助(ODA)を行った。
 
 日本はメコン川流域のこの地域について、中国をけん制する意味で重要な位置にあるとみている。中国は最近、政治経済の両面でこの地域への影響力を強めているが、日本の長年の経済援助や民主化支援は評価が高く、「親日的」な国が多いとされる。
 
 メコン地域では共産党の一党支配が続いていたり、民主化から日が浅かったりする国がほとんどだ。カンボジアは7月の総選挙を前に最大野党が解党に追い込まれ、与党が全議席を独占。ミャンマーでは昨年以降、イスラム系住民ロヒンギャ掃討に軍が関与した疑いが指摘される。欧州連合(EU)が今月、ミャンマー、カンボジア両国への関税上の優遇措置を撤廃する経済制裁の検討を表明するなど、国際的には厳しい批判にさらされている。
 
 日本は表だった批判は避け、こめ細やかな支援で民主化を後押ししている。カンボジアには今回、若手政治家や司法関係者を日本に招く研修プログラムを提案してた。「厳しい批判は各国を中国寄りにさせるだけ」(日本政府関係者)とみるためだ。
 安倍首相は9日夜、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問と会談した。会談後の共同記者発表で、首相はロヒンギャ問題に関して、「複雑かつ深刻だ。日本はミャンマーと共に考え、ミャンマー政府による問題解決に向けた取り組みを支えていく」と述べ、ロヒンギャ帰還に向けた住宅建設などを支援する考えを示した。スー・チー氏も「懸念、心配を率直に伝えてくれる日本の姿勢が早期解決につながると期待している」と述べた。
 
日本の支援に期待 出席の諸国
 日メコン首脳会議に出席した東南アジア諸国からは、メコン川流域の発展に向けて日本が一層の役割を果たすよう期待の表明が相次いだ。
 
 ロヒンギャ問題などで欧州諸国との関係が悪化しているミャンマー政府の高官は「欧米と歩調を合わせず、支え続けてくれる日本の姿勢はありがたい」と語った。
 
 野党への政治弾圧などをめぐって米国の支援を削減されたカンボジアのフン・セン首相は7日、都内で行われた在日カンボジア人との交流イベントで「他国からの脅しには屈しない」と強気な姿勢を見せた。
 
 カンボジアに対しては欧州連合も経済制裁を検討している。日本はこうした問題で抑制的な姿勢をとっており、東南アジア諸国にとって安心感があるとみられる。メコン川流域では、中国への対抗勢力としても、日本への期待が強い。
 
 読売新聞 2018.10.10
 
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日メコン首脳会議であいさつする安倍首相(9日午前、東京・元赤坂の迎賓館で)=代表撮

 

 日本と東南アジアのメコン川流域5か国による「日メコン首脳会議」が9日午前、東京・元赤坂の迎賓館で開かれた。安倍首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」の実現などを盛り込んだ共同文書「東京戦略2018」を採択した。

 

 首脳会議には、安倍首相のほか、タイのプラユット暫定首相、ベトナムのフック首相、カンボジアのフン・セン首相、ラオスのトンルン首相、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問が参加した。

 

 安倍首相は冒頭のあいさつで、「メコン地域は東アジアと南アジアを結ぶ回廊であると同時に、太平洋とインド洋等を結ぶ陸の橋でもある」と述べ、日本として今後も経済支援を続けていく方針を表明した。

 

 共同文書は、中国が南シナ海で人工島の埋め立てを進めていることなどを念頭に、「緊張を高め、平和と安定を損ない得る、地域における埋め立てや活動を含む南シナ海の状況への懸念に留意」と表明。北朝鮮に非核化に向けた具体的な行動をとるよう求め、日本人拉致問題解決に対処することの重要性も確認した。