「二宮金次郎の幸福論」中桐万里子氏(二宮尊徳七代目子孫・リレイト代表)

いつもの致知出版のメルマガから。
「たらいの水」のお話は皆さんもお聞きになった方も多いかと思います。
私も、最初の転職をした頃に、この話を聞いて「なるほど」と思ったことがあります。
ただ、二宮金次郎翁の話とは知りませんでした。前段のお話も知りませんでした。

また、私の師匠からは「先義後利」と教わったことがあります。
「最初から利益を追求したらダメだよ。
相手にお役に立つようにしていれば、後から利益はついてくる。
それを我慢できずにすぐに自分の利益のことを考えるからなかなか結果が
ついてこない」と。
現実はどうか。
実際は、なかなか難しいところですね。
でも、人間。与えられ過ぎると、お返しをしないといけないと感じるということ
だそうです。
まあ、そもそも、人間、人に喜ばれてなんぼのもんや、と割り切れれば、
自然と結果はついてくるのかもしれません。
割り切れないのが、難ですが。
では、二宮尊徳翁の末裔である中桐さんのお話をどうぞ。
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金次郎の教えで有名な
「たらいの水の話」というのがありますね。

水を自分のほうに引き寄せようとすると
向こうへ逃げてしまうけれども、
相手にあげようと押しやれば自分のほうに戻ってくる。
だから人に譲らなければいけないと。

けれどもこの話には実は前段があるのです。


人間は皆空っぽのたらいのような状態で生まれてくる、
つまり最初は財産も能力も何も持たずに生まれてくる
というのが前段にあるのです。

そしてそのたらいに自然やたくさんの人たちが
水を満たしてくれる。

その水のありがたさに気づいた人だけが
他人にもあげたくなり、
誰かに幸せになってほしいと感じて
水を相手のほうに押しやろうとするんです。

そして幸せというのは、自分はもう要りませんと
他人に譲ってもまた戻ってくるし、
絶対に自分から離れないものだけれども、
その水を自分のものだと考えたり、
水を満たしてもらうことを当たり前と錯覚して、
足りない足りない、もっともっととかき集めようとすると、
幸せが逃げていくんだというたとえ話だと祖母から教わったんです。