戦いは中盤を過ぎ、全体の趨勢も見え始めてきた。
抗体ゴーストは決して勝てない相手ではないが、

上手く戦力の振り分けができず思うような戦果を挙げられないままだ。


このタイミンぐでコマンダーから出された指令は
トピアスへの道を切り開きつつ、ひよどり越えを制圧し敵の弱体化を図ること。


成功すれば、正に起死回生の一手に成る。

だが、失敗すれば…。



周囲の皆の様子を見る。

誰ひとりとして諦めては居ない。
そうだ、可能性は潰えていない。

愛用の日本刀を二振携え、俺は歩み出す。

そう、未来を紡ぐ力はまだ残されている。

周囲の戦いが終わり、俺はまだ無事な仲間たちの手を借りて立ち上がる。


甘く見たつもりはなかったが、それでもまだ平家と抗体ゴーストの力を低く見積もりすぎていたようだ。



俺自身、多少なりとも腕が立つと自負しているが、

個々の力量で見れば相手は、こちらより2,3段階上のレベルにある。



その実力が平家という能力者集団の力なのか、

或いは抗体ゴーストとして強化された故なのかは判らない。



ただ重要なのは、個々の力だけでは勝利は難しいという事実だ。


「なら、さして問題にゃならねぇな」


俺たちは最初から個人で戦っているわけではないのだから


同じ血筋を持ち、同じルーツを持っていても。

そこには決定的な差がある。

生命賛歌。


体のそこから湧き上がる力に、俺は改めて戦争が始まるのだ。という実感を抱く。


ヨーロッパ人狼戦線において存在が確認された抗体ゴーストではあるが、

実のところまだ一度も戦ったことは無い。


特殊な能力の使い手であることと、その対処法に関してはクラッシャ内で周知されていたため知ってはいる。

だが、理解しているとは言い切れまい。



油断はするな。


改めてそう言い聞かせ、俺は戦場へと向かう。


長い一日の始まりだ。