土曜日、世田谷の砧公園に家族で行ってきました。

目的は、公園内にある世田谷美術館で始まる、


「内井昭蔵の思想と建築 自然の秩序を建築に」


知り合いからオープニングレセプションの招待状をいただいたので、図録もいただけるし、ピンポイントで土曜の午後2時に。環八が混んでいましたが何とかぎりぎり到着。


久しぶりに来た砧公園は、いい感じで落葉していて、ほんとに都内とは思えない雰囲気。


そして久しぶりに見た世田谷美術館は・・・・・


ちょっとびっくりしてしまいました。


屋根が・・・・。

新築時は美しい緑青の銅板葺きだったのに、全部赤くなっていました。雨の当たらない部分、たとえば縦樋などは緑色のままなので、やはり経年変化、錆でしょうか。

不勉強で詳しくないのですが、天国の内井先生もこうなることを予想はしていなかったのでは・・・。


そう、建築家・内井昭蔵は2002年に急逝しました。

有名なフレーズ、「健康な建築」の実践の道半ばで。

この、「健康な建築」と言う言葉。思い返すと、確か、雑誌「新建築」で発表されたものだったと思います。かなりの論争を生んだ言葉だったように思う。

今でいう、シックハウスがない建築、というわけでは無論違う。いただいた図録には、当時の「新建築」に掲載されていた論文は掲載されていなかった(まだよく読んでませんが)ので昔の記憶を辿るしかないが、当時大学生だった自分の理解はこういうことだったように思う。

画一的で無機質でシェルターのような建築で外の世界や自然と隔離されて人が生活するような建築ではなく、もっと自然と近く、自然を取り込み、自然をリスペクトして、自然の延長線上にあるような建築。

たとえて言えば、工場の無菌室で育てた野菜より、有機農法で育てた野菜のほうが、美味いし、健康的、という感じ。う~ん、違うかなあ。

でも、世田谷美術館を見ていると、少しわかるような気がします。アルミパネルとかガラスカーテンウォールとかで武装した建築がともすれば経年の汚れとメンテナンスされないことで無残に見えていくさまは、まさに人間で言えば、病気になっている状態。世田谷美術館は、いい意味で「老い」。年月ともにその時間の流れを建築に纏う。

でも、屋根が・・・。


あと、清掃工場の煙突と世田谷市場の巨大な構造物。

世田谷美術館は、砧公園内の樹木の高さを超えないように設計されているのに、そのバックに、問答無用でどっかんと。

今思えば、公園広いので他の場所は無かったんかなあと思います。


さて、オープニングレセプションでは、館長さん、世田谷区長さん、息子さん、奥様がご挨拶。そのあと展示作品を見ました。

図面とスケッチ、模型がたくさん展示されており、建築設計関係者にとってはおもしろいけれども、一般の方にはちょっとつらいかも。

でも、スケッチやメモは面白かった。メモなんか、もっと難解なコンセプチュアルなことを書いているのかと思ったら、僕たちと同じようなことに悩んで真面目に考えていることがよくわかりました。たとえば、雨仕舞のこととか、結露の心配とか・・・。まあ次元は違うのかもしれませんけど。

それから、ホームパーティのお酒やお食事のメニューのメモ。こういうのも考えてたんや・・・。でもって高そうなメニューばっかでした。


つらかったのは、6歳の娘。そりゃそうでしょう。絵なら子供も楽しめますが、図面はちょっと。

「パパ~おなか減ったよ~」と言うので、さあ~っと走り見して、美術館内のレストランへ。

招待客はこちらでお茶と軽食がいただけます。


招待客はほとんどご年配の方が多くて、子供ははっきり言ってうちだけ。場違いてんこ盛り。

そんでまたお昼を食べていないママと娘はばくばく食べる食べる。

たぶん、いったいどこの誰だ、って感じで見られてたんちゃうかなあ・・・。


おなかがいっぱい(!)になって、公園で少し遊んで帰りました。



帰宅してびっくりしたこと。


娘がカレンダーの裏に絵を描いている。それがなんと、自分の住みたい家の断面図!!!

美術館では全然見ていないと思ってたのに、ちゃんと見てたんやなあ。

それもいきなりセクションから描くなんて、するどいぞ、我が娘。