伊豆半島に鳴り響いたソニックブームの音圧レベル(デシベル.dB)を概算す



事故当日18:24′の初期事故とほぼ同時刻に、伊豆半島.賀茂郡河津町の海岸で、住民が波の音をテープに録音中に偶然ボーンという音が録音された日本音響協会で分析した結果、サウンドスペクトログラムから衝撃波によるソニックブームと断定され、その音エネルギーは波の音の30倍以上と解析された

また事故発生40秒後に賀茂郡東伊豆町の東京大学地震研究所.箒木山観測所微気圧振動計に記録された波形は、CVRの再生波形と同一の傾向を示した

これらから衝撃波の発生源は日本航空123便として間違いないと思われる。 


波打ち際の音圧レベル(音の強さ)は環境.条件によって幅があるが、あくまで概算の為、岩肌に打ち寄せる波の音を波打ち際で録音したと仮定。その際の音圧レベルを控えめの60dB(普通の会話やデパート店内の騒音レベル)と設定する。


()賀茂郡河津町の海岸は概ね断崖である


音エネルギーは音響インテンシティーで比較したものであるから、先ず下記の公式でp.(単位面積当たりの音圧)を算出する。


これにより、6020×log₁₀p/(2×10⁻⁵)

波のp.0.02(Pa)となる。


次に音エネルギー(I.音響インテンシティー)を算出する。

I.音響インテンシティーは、音波の進行方向に垂直な面を通過する単位面積当たりの音エネルギーで、単位は【W/m²】である。

ρ.空気密度とc.音速は、ICAOの標準大気表を基に高度を0mとして、気温を25℃に補正し、それぞれ1.184kg/.  346.5m/sとした


上式によりI.(音響インテンシティーは、約9.8×10⁻⁷ W/となる。

そして衝撃波によるソニックブームの音エネルギーは波の30倍以上と分析されたので、I.30の積で2.94×10⁻⁵ W/となる。


これを再度p.(単位面積当たりの音圧)に変換すると約0.11(Pa)になり、

音圧レベル20×log₁₀0.11/(2×10⁻⁵)→74.8dB

となり、河津町の海岸に鳴り響いたソニックブームの音圧レベル(音の強さ)は約75dBと概算した。


【騒音の目安】

70dB

騒々しい事務所内 間近な蝉の声

80dB

地下鉄の車内 直近で救急車のサイレン


13kmもの距離を隔てた地点で生じた衝撃波が超音速で大気を押し進み、やがて減衰しながら音波に変換されたソニックブームが75dBの音圧レベルで響き渡ったのである。

日航123便の垂直尾翼を直撃した衝撃波の破壊力は計り知れないが、イメージするのに参考になれば幸いである。


昭和60年9月3日 中日新聞(夕刊)