お出かけして延々歩いたものの、


あまりに寒いので、


いつものようにバス停側のデパートに避難しました。


バス来るまで待とうっと。



入った東側入り口から、


バス停に近い西側入り口へ移動、


うわーなんかいっぱい人がいるわ。



その人の波を外れた西側入り口手前のソファーに、


おばあちゃまが二人座っていました。


うーんと、よくわからないけど、


この間は・・・



お二人が黙って座っているのに、


その間をことばが浮かんでいるように見えて。



何か思い出したかのように、


お二人の手が


「違う違う!」「そう違う違う!」


「それは多分あれこれで」


あとはわからないんですけど、


言葉は話せなくても手で話す人達が、


僕は昔から好きでした。


音ではないことばとことばが


こちらは目で見て聴いている・・・


あるいは見えている響きや気持ちが豊かで。


おしゃべりの邪魔をしてはいけないので、


僕は少ししてバス停に行きました。






車に乗って家族で移動していて、


山里近くの信号が赤に。


はい、停止。


皆でちょっと脇をみやると、


向かいの右手の一昔前風のおうちの軒先に、


ハクセキレイがちょんちょん、と止まってはおりていき、


樋のところでちょいととまりました。


その先には信号待ちの車のボンネットが・・・


ハクセキレイはなんでもないように、


ひょいと車のボンネットの上にちょいと着地、


同じテンポで飛び立って、


ぱーっと奥の竹林の方に行きました。


父と母はそれを見て喜び、


僕も一緒に喜びかけたのですが、


はて?これを面白がるのはどういうことだろう?と、


少しわからなくなりました。


うーん、何がわからないのかわからない。

小屋の窓側、


休みながら見ていたよく晴れた南空が、


急に曇ってきました。


あ、雪だ。



雨よりずーっと遅く、


落ちるというよりは浮かんでいるのでしょうか、


やや楽しむように、


少しずつ雪は地について。



ぼーっと見ていたら


この山沿いの谷では、


雪は風に巻かれて、


時折渦を描きながら、


波を打ちながら、


白い斑紋を枯れ草と針葉樹の上に描いていました。



でもそれはいつまでもは続かず、


いつまでもは止まず。


右へ左へ風で少し揺れる木々は、


そのことを静かに喜ぶように柔らかく揺れていました。



窓越しには、雪を煽る風の音は聞こえなかったのですが、


自分の中の時計の音が消えているような、


それは見ることでぼんやりわかる、


雪の音のお陰だったのかもしれません。