ほぼ確実になったと言われる、オバマ大統領の広島訪問。原爆を投下した国の大統領が被爆地に立つという「歴史的出来事」に関しては、被爆者の方々からも歓迎の声が上がっていると言います。
しかし、中韓、そして日本の反日識者の間から懸念の声が上がっているとのこと。

彼らは核廃絶に向けた大きな一歩となるこの訪問になぜ反対するのでしょうか。

中国や韓国はこれまで、東京裁判やサンフランシスコ講和条約という戦後秩序に乗っかって、日本を批判してきました。
東京裁判では「平和に対する罪」などという事後法で「A級戦犯」を裁きましたが、日本はサンフランシスコ講和条約ではそうした諸判決を受け入れました。

それに乗っかって、中国や韓国は日本を攻撃してくるわけですが、両国ともサンフランシスコ講和条約に調印していません。
当時の中国は人民共和国と中華民国で争っていたこともあり、しかも人民共和国は欧米主導のサンフランシスコ講和条約を否定すらしています。また、韓国は日本と戦争した過去がないため参加資格がありませんでした。

その両国が「A級戦犯の合祀」を理由に靖國神社の首相参拝を批判するのは極めて矛盾した話なのです。

そしてこの両国は「かつての日本=悪」という構図が壊れることを恐れています。日本が原爆を投下されたのは、日本が侵略国家で悪の帝国だったからという「物語」が存続してくれないと、反日のお題目がなくなってしまうため、困るのです。

中国共産党は、これまで抗日戦争に勝利したことを政権の正当性のひとつとして掲げてきました。昨年9月には大規模な抗日戦争勝利70周年式典まで開催してアピールしました。
もっとも日本軍と戦ったのは主に国民党軍で、共産党軍は逃げてばかりいてほとんど戦わなかったことは、歴史の常識です。

また、韓国にしても上海臨時政府による抗日戦争によって、「独立を勝ち取った」ということが憲法にも書かれています。
それが韓国政府の正当性となっているわけです。

両国とも、反日によって国民をまとめ、自己正当化をしてきた手前、過去の原爆投下についてアメリカ大統領が反省したり、謝罪したりするのは、彼らにとっては悪夢に近い光景なのです。