韓国サムスン製“殺人ロボ”が人類を全滅!? 自衛隊派兵どころか自律型兵器の時代、悩む先進国…
http://www.sankei.com/west/news/150818/wst1508180008-n1.html
産経ウエスト より


 本コラムでは2013年11月17日に、米軍があのハリウッド映画のスーパーヒーロー「アイアンマン」のように超人的な戦闘能力を発揮できる“パワード・スーツ”の実用化計画を進めているといったお話をご紹介しましたが、今回はこの話題に続き、本当に久々となる兵器関連のお話です。とはいえ、本当に恐ろしい内容ですよ。


英誌ネイチャーに論文…初国際会議87カ国の専門家も“韓国ロボに懸念”

 5月27日付で英紙デーリー・メールやデーリー・テレグラフ(いずれも電子版)などが伝えていますが、米カリフォルニア大学バークリー校でコンピューター・サイエンスを教えるAI(人工知能)分野の専門家、ステュアート・ラッセル教授が、英科学誌ネイチャー(5月27日付電子版)に、欧米で開発計画が進む“殺人ロボット”「自律型致死兵器システム(LAWS)」が人類に深刻な危機を及ぼす可能性が高く、その開発について世界が真剣に考えるべき時にきているとの論文を発表し、物議を醸しているのです。

 本コラムではAIの話題についても過去、何度かご紹介していますが、最近ではあの宇宙物理学の権威スティーヴン・ホーキング博士や、米宇宙関連企業スペースXと高性能の電気自動車メーカーで知られるテスラ・モーターズの最高経営責任者(CEO)を務めるイーロン・マスク氏が「AIは将来、人類を滅ぼす」と警告し、話題を集めました。

 そして今回、ラッセル教授が指摘する“殺人ロボット”のLAWSですが“殺人ロボット”と言っても、ハリウッド映画「ターミネーター」に登場するあの骸骨(がいこつ)のような人間型のロボットではありません。

 彼が指摘するのは、いま日本でも首相官邸の屋上に落下して大騒ぎになった小型無人機(ドローン)に機関銃やミサイルを搭載したようなものです。1991年の湾岸戦争以降、兵器の自動・無人化がどんどん進んでおり、最近では、イラクとシリアにまたがる地域で活動するイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」に対し、米軍が無人攻撃機「プレデター」で大規模な空爆を行い、幹部の殺害に成功しました。

 こうした無人攻撃機は遠隔操作で敵地を正確に攻撃でき、現地での米兵の危険度も大幅に軽減できるのが利点と言われていますが、ラッセル教授はこうした無人攻撃機にAIが搭載されることを懸念。

 論文で「AIとロボット工学は、知覚、運動制御、ナビゲーション、マッピングなどを元に(敵を攻撃する際の)戦術的意思決定や長期計画を提供することができ、両者は結合することを必要としている」と明言。

 「こうした(AIを積んで自分で考える)自律兵器のシステムは、人間の介入なしにターゲットを選び、攻撃する。そしてターゲットに人間が含まれる時、致命的なことが起きる」とし、「LAWSの実戦配備は数十年後ではなく数年後には可能で、LAWSは既に、戦争においては火薬、核兵器に続く第3の革命と認識されている」との驚愕(きょうがく)の警告を行いました。


米国防総省も“殺人ドローン”を開発中

 そしてラッセル教授は、現在、米国防総省高等研究計画局(DARPA)が開発に着手している、都市部やビルの間を高速で飛び回り敵を攻撃する小型の回転翼付き無人攻撃機(FLA)や、敵地で通信妨害に遭った際も、ターゲットを正確に攻撃することができる自律型航空機チームの開発プログラム(CODE)について名指しで批判。

 「LAWSは、殺すべき人間を機械が選ぶことを許しており、人間の尊厳を守るという基本原則を侵している。例えば(政府や権力側から見て)“脅威となる行為”を排除する任務を任される可能性がある」と厳しく断罪し「この問題については科学界で倫理委員会などを設置して議論するべきだ。何もアクションを起こさないということは(LAWS)の継続的な開発・展開に賛成票を投じたことと同じである」と呼びかけ、人類の存亡にも関わるこの問題について各国の科学者が真剣に話し合う必要があると訴えました。

 確かにこんな恐ろしい技術を野放しにすれば、勝手に大暴れし始める“殺人ロボット”に人類が滅ぼされる可能性は大いにありますね。

 そして、その恐ろしさについてはけっこう早くから先進各国で問題になっていて、実際、スイス・ジュネーブの国連(UN)欧州本部で昨年5月、4日間の日程で開かれた特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW、批准国は117カ国)の非公式会合では、LAWSに関する初の専門家会議が開かれ、米、英、イスラエル、韓国など87カ国から科学者や専門家、反対活動家らが出席し、意見を戦わせたのですが、ここで、われわれ日本人にとっては大変なことが明らかになりました。

 なぜなら、この会議で最も問題になったのは、米軍が開発するものではなく、韓国が既に実用化している“殺人歩哨(ほしょう)ロボット”で、会議の模様を伝える複数の欧米メディアは、これが将来、文字通り「ターミネーター」型の“殺人ロボット”に変貌する可能性を示唆したのでした。


不眠不休24時間で殺人を…お得?1台2500万円ナリ

 昨年5月14日付米NBCニュースや9月15日付英紙デーリー・メール(いずれも電子版)などによると、この韓国の“殺人歩哨ロボット”は、あのサムスンのグループ会社で、軍事機器や航空エンジンなどの開発・製造を手がける「サムスンテックウィン」と韓国の高麗大学が2006年に共同開発した「SGR-1」と呼ばれるものです。

 この“殺人歩哨ロボット”は、歩哨(陣地の要所に立ち、警戒・監視の任務にあたること)の名のごとく、既に韓国と北朝鮮との間にある非武装地帯に韓国軍の兵士と並んで配備されているのですが、5・56ミリの機関銃と40ミリのグレネードランチャー(擲弾発射器=てきだんはっしゃき)を備えており、国境を越えようとする北朝鮮の兵士の体温や動きを赤外線センサーなどで自動的に感知し、2マイル(約3・2キロメートル)先の“標的”を確実に殺害することができるのです。1台あたりのコストは20万ドル(約2500万円)といいますが、韓国側は配置台数などは明らかにしていません。
 いまのところ、銃撃には人間のオペレーターの許可が必要ですが、前述のNBCニュースは「人間の助けを借りることなく銃撃することが可能である」と報じ、将来の「ターミネーター」化への危険性を示唆。さらに、こうした“殺人ロボット”の開発に反対する「ロボット兵器監視のための国際委員会」の共同創設者で、この会議に出席したピーター・アサロ氏は同じNBCニュースに「こうした自律型の“殺人ロボット”を国境に配備した韓国には多くの悪評が立っている」との非難の声を寄せました。


韓国サムスン“殺人ロボ”、後はAI搭載だけ…

ちなみにCCWは今年の4月にも同種の会議を開催しましたが、その際も韓国のSGR-1がやり玉にあがりました。この会議では95年、相手を失明させる「盲目化レーザー兵器」の使用禁止を決めましたが、それに続き、こうした自律的に動作する“殺人ロボット”に関しても使用を制限、もしくは禁止する国際条約の必要性が高まっていますが、現在のところ、“殺人ロボット”の開発に強く反対している先進国はドイツと日本くらいで、“殺人ロボット”の開発をリードする米、英、イスラエルの3カ国は“国際法の遵守プロセスを徹底しており、そうした条約は必要ない”との立場です。
 日本では安保関連法案に絡む自衛隊の海外派兵問題などが論議の的になっていますが、世界では既に、人間の兵隊がどうのこうのではなく、将来、確実に登場する自分で考えるロボットの兵隊の取り扱いが焦点になりつつあるのです。韓国が配備したSGR-1といったロボット兵器がAIを搭載すればどうなるか?。われわれは本当に恐ろしい時代を生きているのです…。   (岡田敏一)