休日ながらも、朝から職場に行き残務処理。
スマホが鳴る。
静岡に住む、布袋さん仲間。
自分より6つ上のナイスなお兄さん。
面倒見が良く、人なつっこい笑顔が魅力。
GWは四国に行くと聞いていた。
電話に出てみたら、仙台港に居るとのこと。
聞けば、思い立って急遽東北に来たとのこと。
『香川のうどんより、東北の海の幸が食べたくなってさ』
『少しの距離でいいから、一緒にバイクで走れないかな?』
とのこと。
断る理由は、何一つ無い。
仕事をしている場合じゃない。
仕事を片付け、バイクに跨り、
待ち合わせ場所の南三陸町の復興市場で待つ。
震災の年以来の再会。
海鮮定食を食べながら、話に花が咲く。
『evoちゃんちに行ってみたいんだけど大丈夫?』
震災前に何度かツーリング途中に立ち寄ってくれて
何度か泊まってくれたことがある。
『どうしても、行きたいんだよ』
南三陸町から、一路我が家跡地へ。
震災前と同じ庭に、バイクを停める。
あまりの変わり様に絶句。
『お父さんに、挨拶しなきゃ』
父が見つかった場所で、手を合わせたい。
四国から東北にツーリングの目的地を変更した
本当の理由は、それだった。
ただただ、有り難い。
昔からの友達なわけじゃない。
顔を合わせたのは数回だし、歳だって離れてる。
お互い布袋さんが好きだから。
ただそれだけの共通点で仲良くなって、
たまに会えば一気に距離が縮まる。
竹馬の友ならぬ、鉄馬の友。
一緒に並んで走れたことも嬉しかったけど
わざわざ静岡から遠路はるばる気仙沼まで来てくれて
一度会って挨拶して少し話したことがあるだけの
俺の父に手を合わせてくれたことが
何よりも嬉しかった。
きっと、父も喜んでくれているだろうな。
あんちゃん。ありがとう。
この恩、俺は一生忘れねぇよ。
また、並んで一緒に走ろうぜ。
会話が楽しめる。
音楽も聴ける。
食事も摂れるし、睡眠も。
雨風雪も問題なし。
暑けりゃ冷やせるし、
寒けりゃ暖まれる。
車の良さは、いっぱいある。
でも、車には無い、バイクの良さは
それ以上にたくさんある。
それは、バイク乗りにしか
理解らないこと。



