スタンドカレーの美学~新宿・ニューながい~
カレーなどというものはルーはすでに出来上がっているし、ご飯も炊かれているわけだから
その気になればオーダーを受けてから10秒ほどで客に出すことが出来る食べ物である
皿にご飯を盛って、上からカレールーをかける、以上、ってな感じだ
誠に簡潔でよろしい
そんなカレーを体験するならば、なんといってもスタンドカレー屋にかぎる
僕がよく行くのが新宿の「新宿カレー・ニューながい」である
ここは紀伊國屋書店の地下街にあるスタンドカレー屋で、スタンドカレー屋にしてはかなり多くのメニューを誇っている
赤カレー(激辛)、黒カレーを筆頭に変わりどころでは納豆カレーなどというものもある
一応、いろいろと食べてみたんだが、結局は最もベーシックなビーフカレーに落ち着く
それはスタンドカレーに何を求めているか、ということに起因するわけだが
具だくさんなカレーだとか上品なカレーというのはスタンドカレーに似つかわしくはない
カツカレーなど空腹時には惹かれるものがあるが、早さが命のスタンドカレー屋ではまずカツは作り置き、
冷めて固くなったカツなど逆にガッカリする
とにかく求められるのは早さであり、安さであり、劇的なうまさとかそういうんではないのだ
さらに僕がスタンドカレーに求めるものというのは、濃いー感じのルー、だ
ボンカレーなどのインスタントカレーというのはなにか薄い黄土色のルーであったりする
濃厚なルーはなにかこう何十年も鍋でコトコトと煮詰められたありがたーい感じがする
極端な話、ボンカレーの特別版みたいなもので十分なのである
というわけで、ニューながいのビーフカレーはひたすら鍋の中で煮詰められた感のする濃厚ルーである
すぐそばに「モンスナック」というこれまたスタンドカレー屋があるんだが、そっちはサラサラのスープタイプ
スタンドカレーとしては違うんだなぁーと思ったりしている
で、席に着く
一応、メニューを見てみる
胡椒がピリリと効いた黒カレーは820円、スタンダードなビーフカレーは480円(サービスデー時は350円)
心の中ではビーフカレーととっくに決まっている
「ビーフカレー」
とそっけなく告げる
果たして何秒でカレーが出てくるか計ってみる
まず皿にご飯を盛る
ここまで8秒
次にカレーを掛ける
この作業が5秒
で、そのまま出される
しめて15秒だった
早
福神漬けなどはテーブルに備え付けられているし、ホントに作業行程が少ない
これこそが、スタンドカレーの醍醐味といえよう
でもって、出されたカレーは迅速に食べる
福神漬けを適宜補給しながら、ご飯とカレールーのバランスを考えてかき込む
ルーを多く取りすぎると最後は白飯しか残らないという悲しい事態に陥る
これはベテランのカレーマニアでもミスすることがあるので注意したい
最初こそカレールーたっぷりのご飯を食べていいが、中盤からは
ルー:3 ご飯:6 福神漬け:1の割合で事を進めたい
これでなんとか最終盤までカレールーが残るはずだ
この早さは立ち食いそば屋にも共通するものがあるように思うのだが、
カレーは立って食べるにはいまひとつ、という点で駅構内では立ち食いそば屋の天下になっている
丼は持つが皿は置いて食べるという日本人の気質が現れていると言えよう
ちなみに肉何ぞは入っていなくて結構である
よくビーフカレーなのに牛肉が入ってない、
などと嘆く輩がいるが、肉が食いたいならスタンドカレー屋には来るな、と言いたい
逆にヘナチョコな肉が入っている方がスタンドカレーテイストを損なうというものだ
オーダーしてからフィニッシュまでわすかに3分半。
スタンドカレー屋の生命線はひたすら煮込まれた風のルー(実際はどうかわからんけどこってりねっとりのルーを見るとそんな感じがしてしまう)だと思うのだがどうだろう?
●「ニューながい」
新宿区新宿3-17-13紀伊国屋書店B1F
電話:03-3352-4853
営業時間:10:30~20:30
定休日:無休