「天才とは、1%の霊感と99%の汗のことである」と。

エジソン
真理の探究とそれを人びとに説くことに生涯をささげた哲人ソクラテスは、彼の考えを危険視する時の政府によって、死刑の宣告を受けた。
その死刑の執行を前にして、牢獄に日を送るソクラテスに、友人たちは逃亡をすすめ、実際にその手だてを計画した。ところがソクラテスは頑としてそれを拒否したのである。
そしてこういったという。「私はこれまでの半生を通じて、人ひとに国法を守るように説いてきた。国法が誤っていたり不当なものである場合、それを言論によって改めることは大切だが国法である間はそれにしたがわなくてはならない。そう説いてきた私が、いま不正な目に会っているからといって、死を恐れ、自分の言を破ることはできない。人間にとって大事なのは、ただ生きることでなく、よく生きる、正しく生きることなのだ」
そして従容として死刑の毒杯をあおいだというのである。
われわれが何か事をなしていく場合に、信用というものはきわめて大事である。「あの人なら大丈夫だ」、「あの会社の品物ならまちがいない」といった信用が人びとの間にあれば、容易に事が運んでいくだろう。
いわば、信用というのは無形の力、無形の富だということができよう。
だから、指導者たる者はまず人びとの信用を得なければならない。自分が信用しない人にはだれもついていかない。信用している人に対しては、黙ってあの人についていこうということにもなるわけです。

松下 幸之助