ドラマで冒頭部分だけを見て、続きが気になったので読んでみました。
おなじみの加賀刑事が殺人事件の謎を鋭く粘り強く解いていく物語です。真犯人を突き止めるだけではなく、先入観にとらわれず地道に事件の背景を明らかにすることで被害者の遺族や事件関係者に魂の救済がもたらされる仕組みになってます。本筋とは無関係に思える加賀自身の親子関係が、真相究明の手がかりになる辺り、わざとらしくなりそうなものなのに、そうならないのはさすがですね。東京の地理に詳しければ、もっと入り込めたかもしれないなぁ。
事件の真相が明らかになる終盤、加賀が怒気も露わに、とある人物に詰め寄るシーンがあります。ここがこのお話の肝であり、カタルシスにもなるのだと思うのですが、是非映像で見たかった。それぐらい心震える場面でした。
東野圭吾はガリレオシリーズが流行った頃あらかた読んで、読後のモヤモヤ感が自分には合わないなと思っていたのだけれど、今読むと物語の収束の仕方がスッキリ感じられることに少し驚きました。
阿部ちゃんは定着してきた感がありますが、中井貴一のキャスティングははまってるなと思いました。こういう役が多いだけかもしれないけど。