リニア中央新幹線は我が国を有機的に機能させる大動脈になる国家的プロジェクトです。2027年に品川―名古屋間が開業する予定で建設が進行していますが、最大の課題は南アルプストンネル採掘に伴う大井川の河川流量問題でしょう。JR東海と静岡県が交渉を行っていますが、現実的な解決策としてトンネル部分に水脈の流れを迂回させる導水トンネルを新たに建設する案があります。このシステムは医学の心臓バイパス手術のノウハウを応用するもので、静岡県が懸念としている河川流量の減少に対する切り札として対応するものです。
リニアが開業した場合、名古屋開業時で10.7兆円、大阪開業時で16,8兆円の経済効果が発生します。人口7300万人の超巨大都市圏が誕生し、空港に延伸した場合は円滑な移動が可能になります。延伸候補空港として、茨城・成田・羽田・中部・県営名古屋・伊丹・関西・神戸の各空港が挙げられ、コロナ後の訪日旅客需要を取り込むことが可能になります。
発生した建設残土の処理は中部国際空港の第二滑走路および関西国際空港の第三滑走路に充てることで解消するはずです。成田国際空港も第三滑走路建設計画があり、航空需要の拡大に対して対応が可能となります。
この計画は東海道新幹線が南海トラフ地震に見舞われた際のリダンダンシー(冗長性)としても機能します。災害に屈しない国土強靭化計画の骨組みとして遂行するべき案件であるため、JR東海に過剰な負担を掛けるべきではありません。国土交通省鉄道局の協力が必要になるため全国新幹線鉄道整備法に基づいて行うべきものです。
沿線の用地買収は地権者との交渉を慎重に行う必要があります。沿線自治体と協力して代替居住地の確保に努めるとともに補償を行う必要があります。農業用地の場合は平均収穫量と同等の補償を行う必要があります。住民説明会を重ねて開催して理解を進める必要があります。
品川駅の地下開発はJR東日本および京浜急行電鉄株式会社とジョイントベンチャーを組んで駅中ビジネスを進める必要があります。利益配分の調整を進める必要がありますが折半を基本方針とすればスムーズに進行するはずです。新大阪駅はJR西日本とも組む方がいいです。設計を進めると同時にテナントの誘致を進める必要があります。
リニア開通後の東海道新幹線の利用客の維持も考える必要があります。豊橋から渥美半島を通り、鳥羽を経由して伊勢神宮に接続する新線を構想する必要があります。参宮線を延伸して神島、伊良湖、赤羽根、田原と複線を整備して快速を走らせる方がいいです。そのために渥美半島循環道路と伊勢湾口道路を利用することで高速道路と有機的に結ぶことが必要になります。
リニアでは東海道新幹線で使用する電力の3倍が必要との試算があり、既存の発電施設のみで賄えるものではないため、発電所の増設が必要になります。我が国は火山が多く地熱発電のポテンシャルが高いため、導入が進めば原子力や火力と並ぶ主力電源となる素地があります。
| 区分 | 温度区分 | 賦存量(万kW) | 導入ポテンシャル(万kW) |
| 熱水資源開発 | 150℃以上 | 2,357 | 636 |
| 120~150℃ | 108 | 33 |
| 53~120℃ | 849 | 751 |
| 小計 | 3,314 | 1,420 |
| 温泉発電 | 72 | 72 |
| 合計 | 3,314 | 1,420 |
環境省の再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査によると、熱水資源開発の賦存量は
温度区分 150℃以上では 2,357 万 kW、120℃~150℃では 108 万 kW、53~120℃では 849 万 kWであり、合計すると地熱発電全体の賦存量は 3,314 万 kW と推計された。熱水資源開発の導入ポテンシャルは、温度区分 150℃以上では 636 万 kW、120℃~150℃では 33 万 kW、53~120℃では 751 万 kW であり、合計すると賦存量の約 43%に当たる 1,420 万 kW と推計されています。
実際の発電方式はバイナリー方式とフラッシュ方式の2種類があり、熱源の温度によって使い分けています。バイナリー発電とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル(Binary -Cycle)発電と呼ばれています。地熱バイナリー発電では、低沸点媒体を利用することにより、媒体の加熱源に従来方式では利用できない低温の蒸気・熱水を利用することができます。発電システムとしては、加熱源としての蒸気・熱水サイクルと代替フロンを用いた媒体サイクルで構成されており、これに対して、従来方式は蒸気・熱水サイクルのみで構成されています。
地熱流体でタービンを回し、直接的なエネルギーとして利用するのがフラッシュ方式です。地熱貯留槽に溜まった蒸気を一旦セパレータに取り込み、高温の蒸気と熱水に分けます。蒸気はタービンの回転に使われ、熱水は地熱貯留槽へと還元されます。タービンの回転に使われた蒸気は冷却され、地熱貯留槽の蒸気を冷却するために再度、使われます。フラッシュ方式では、高温の蒸気が必要であるため、地下から200℃以上の熱水を組み上げられる地域で活用できます。セパレータによって一度だけ蒸気を取り出すシングルフラッシュ方式が主流ですが、蒸気を取り出す過程を2回行い、低圧の蒸気を取り出すダブルフラッシュ方式もあります。ダブルフラッシュ方式は、さらに出力を上げることができ、八丁原発電所などで採用されています。また、ニュージーランドにはトリプルフラッシュ方式の地熱発電所が存在します。参考:太陽光チャンネル
九州電力ホームページに地熱発電のシステムが載っています。
地熱発電は内陸部に設置するため南海トラフ地震が発生した際の冗長性が発揮されます。沿岸部に立地が集中している発電所の内陸への設置により災害時の発電能力が担保されます。環境アセスメントを慎重に行う必要がありますが、導入を推進するべきです。併せて南海トラフ地震対策は原子力発電所の耐震対策強化と火力発電所の火災対策を進める必要があります。
原子力発電所の耐震対策は原子力規制委員会で議論を行っていますが、基準地震動を5000ガルに設定したうえで、水密扉を厳重に設置し、非常発電装置を建屋の屋上に設置することで浸水を防ぐ必要があります。三井ホームが販売している住宅の耐震性能が高いため、コンサルタントを依頼したうえで建屋の耐震対策も進める必要があります。
火力発電所の火災対策は空港に配備されている化学消防車を各所に配備したうえで、定期的な訓練を行う必要があります。防災の日に行っている総合防災訓練が代表的ですが、行政・自衛隊・警察・消防の連携を密にする必要があります。無線による連携を密にとったうえで被害の迅速な把握をしつつ、救命を最優先にした行動計画を立案しておく必要があります。
伊勢湾沿岸に立地している火力発電所が被災することを想定する必要があります。そのため津波の侵入が考えにくい衣浦港周辺に発電所を増設する必要があり、武豊火力及び碧南火力の機能強化を図ることが必須です。渥美火力もありますが老朽化及び立地場所が問題であるため、三河港地区に移設して被災を防ぐ必要があると考えられます。燃料も石炭と重油であるため設備更新をして環境にやさしいものにする必要があります。
燃料に関して現状は天然ガスが現実的ですが、長期的には気候変動で対策を求められる流れになることが想定されるため、先を見越して水素にする方が好ましいです。メタンハイドレードもありますが採掘技術の確立を待ってから行うべきです。
また、火災の発生に備えて空港にある化学消防車を配備しておく必要があります。万一の事態に備えておくことが必須であり、対応も迅速に行うべきであることから、定期的な訓練が必要になります。
災害対策基本法は基本理念を第二条の二で規定しています
一 我が国の自然的特性に鑑み、人口、産業その他の社会経済情勢の変化を踏まえ、災害の発生を常に想定するとともに、災害が発生した場合における被害の最小化及びその迅速な回復を図ること。
二 国、地方公共団体及びその他の公共機関の適切な役割分担及び相互の連携協力を確保するとともに、これと併せて、住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織(住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織をいう。以下同じ。)その他の地域における多様な主体が自発的に行う防災活動を促進すること。
三 災害に備えるための措置を適切に組み合わせて一体的に講ずること並びに科学的知見及び過去の災害から得られた教訓を踏まえて絶えず改善を図ること。
四 災害の発生直後その他必要な情報を収集することが困難なときであつても、できる限り的確に災害の状況を把握し、これに基づき人材、物資その他の必要な資源を適切に配分することにより、人の生命及び身体を最も優先して保護すること。
五 被災者による主体的な取組を阻害することのないよう配慮しつつ、被災者の年齢、性別、障害の有無その他の被災者の事情を踏まえ、その時期に応じて適切に被災者を援護すること。
六 災害が発生したときは、速やかに、施設の復旧及び被災者の援護を図り、災害からの復興を図ること。
これ以外に立法措置として地震防災対策特別措置法と南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法がすでにあり、災害時復旧計画(BCP)と津波避難計画の策定が進んでいます。愛知県田原市は地区別地震・津波避難マップを策定し、住民に周知徹底しており、毎年、防災の日に行われる避難訓練で実効性を高めています。
万が一南海トラフ地震が発生したときに最も危険なエリアは、浜名湖南端の弁天島及び舞阪地区です。入り江の切込みがあり波が覆って来ることが想定され、壊滅的な被害を防ぐ必要があります。浜松市は政令指定都市であるため権限が一定程度、移譲されていますが、政府からの支援も必要です。集団移転を考える必要がありますが、住民の説得と代替居住地の確保が課題となります。結論ありきの問題にするべきではなく、慎重に進める必要がありますが、経済を考えると舘山寺温泉地区、医療体制を考えると聖隷三方ヶ原病院および浜松医科大学附属病院周辺が考えられます。住宅の耐震化を進めるうえで住友理工のTRCダンパーが有効でありますが、既存の住宅の基礎と構造物の間にバンパーを差し込んで免震構造にすることも効果的です。
2021年7月3日に静岡県熱海市で発生した土石流で被災した住民の避難先に、地元宿泊施設の開放がありました。避難所として快適な環境が用意されたことから、宿泊業界と提携して発生時の避難所として有効的に活用するべきです。
浜岡原発の活用方法に関して平時は発生に備えて停止を継続しておく必要があります。発生後に確認を徹底したうえで稼働が可能な状態ならば、電力の安定供給のために再稼働する必要があります。前提は安全対策の徹底ですが、現状のものに加えて建屋の屋上に非常用発電機を設置して全電源喪失の事態を防ぐことと、出入り口に水密扉を設置して水の流入を完全にせき止める必要があります。
東三河地区の道路状況は国道23号バイパスの建設が進んでいますが、三河港と東名高速とのアクセスを改善するため、三ケ日ジャンクションから23号バイパスに接続する高規格道路の建設とスマートICの設置を行うべきだと考えます。前述の渥美半島循環道路と伊勢湾口道路も構想していく必要があると考えます。
東三河地区に限らず道路ネットワークは整備と拡充を行う必要があります。中京圏は3環状8放射といって名古屋高速都心環状線・名古屋第2環状道路・東海環状道路が円を描く形になったうえで、東名高速・第2東名高速・中央自動車道・東海北陸自動車道・名神高速・第2名神高速・東名阪自動車道・知多半島道路が放射状に結んで、どこかが被災しても有機的に接続されているため、到達できるネットワーク形成が図られています。一般道も各地のインターチェンジが接続されており、渋滞することがないように接続されている計画です。
耕作放棄地の問題に取り組む必要があります。東三河地区は全国有数の農業地帯ですが農家の後継者不足や人口流出によって耕作放棄地が増加傾向にあります。企業の営農に関する規制緩和や新規参入しやすい環境整備が必要であり、農林水産省と連携をとる必要があります。食料の安定的な確保のため、備蓄の拡充や生産能力の拡充を進めると主に、発生時に備えて非常食の安定的な供給に取り組む必要があります。農地法が改正され企業参入が認められているため、この周知と推進を行い、道の駅での直売所PRも行うべきです。
緊急事態食料安全保障指針ではこのように定められています。
消費者、実需者への安定的な食料の供給を確保するため、主食である米と、供給の多くを輸入に依存している小麦及び飼料穀物について、これまでの国内外での不作や輸出国における輸送問題の発生等を考慮し、一定数量の備蓄を実施する。これらの備蓄については、国内外における緊急の要因により食料の供給が不足する場合に備え、適切かつ効率的な運用を行う。
この指針を実効性のあるものにするためには、農業界との協力関係の強化や、食品メーカーとの提携締結を進めると共に、農業高校や水産高校および農学部に水産学部への教育支援を行って、営農者や漁業従事者の育成を行うなど、長期的な視点で取り組む必要があります。
ハード面の対策とともに住民の自発的な避難を促すソフト面も考慮する必要があります。基本的に自治体から発出される情報を基にして住民は避難を開始しますが、突発的な発生が想定されるため、発生直後から動きを開始する必要があり、意識改革が必要です。毎年行われる防災の日の訓練が代表ですが、町内会単位で炊き出しや避難訓練を毎年に渡り行うのは最低条件です。また、ハザードマップに加えて地域に伝わる言い伝えを伝承して、行動を促す材料とすることが必要です。
私が住んでいる地区では自主防災会が組織されており、毎月一度、定期的な訓練を行って発生に備えています。また、消防団も置かれており、定期的な訓練を行って地域のことは地域で行うことがまとまっています。このように、住民の自発的な動きが災害に強い街へとすることができるのです。
個人的な備えとして我が家ではいつも厚手のスリッパを履いていますが、ガラスが割れた際はスニーカーに履き替えて物が散乱した時の片付けにあたる必要があります。テント式シャワー室とポンプ式テント、簡易トイレや抗菌袋に凝固剤を確保して、非常食や救急キットに乾電池も備蓄しています。
行政と住民が連携して対策を進めていく必要があります。法律や予算面で行政が動き、実際の行動を住民が担うという、車の両輪がかみ合ってこそ防災は可能になります。阪神大震災以降、災害が頻発する時代に生きる上で、我々の心構えが生き残るために必須となるはず。