アルジャーノンってねずみだったのか。
人名か地名だと思ってた。
本を読んでこんなに感動したのって何年振りだろう。
一言で言うなら、「深い」。
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知的障害者のチャーリーは、最初から最後までどうしようもないくらいに
魅力的だった。
人としての価値や魅力、持って生まれた資質に、頭がいい悪いは全く関係ない。
同じ人間の一生が、知能の高さによってこれほどまでに違って見えるのか。
これを書いた人は、本当に天才だ。
「経過報告」の文章の移り変わりはすごい。
幼稚園児みたいな文章が、手術を経て日がたつごとに少しずつ変わっていく過程は見事。
天才になって、学者のように難解な文章で論文をまとめあげ、そこからまた
ひらがなだらけのだどたどしく率直な作文に戻る変遷には胸を打たれる。
この作品には喜怒哀楽のすべてが詰め込まれているが、わたしが圧倒的に感じたのは
「哀」の感情だ。
とくに、自我が生じることによって生まれる苦しみは、とても皮肉なものだと思った。
だけど物語の中で、彼を取り巻く環境がどんなに変わっても、
チャーリーは一貫して人を愛し、許そうとしている。
そして、一度は手にした能力のほとんどを失ってからも、生来の誠実さと優しさを持ち続ける。
その優しさに救われて、読み終えた人たちはきっとみんな心のなかで、
アルジャーノンのお墓に花をそなえている。
