そう。
今までの人生は、特に自分の事しか考えてなかった。
仲間が無事ならそれでいいと思った。
誰かが自分の事を心配するなんて、これっぽっちも考えなかった。
「………」
ゾロに対して、罪悪感がこみ上げる。
いつもは、知らないところでケガばかりしてきて、自分を心配させてばかりいるゾロ。
自分の心配なんて気にしてないと、むかついたり腹を立てたりしていた。
なのに、ゾロの真剣な眼差しを捉えてしまった。この熱い男も、誰かに対して(この場合は自分だけど)そう腹を立てる事があるのかと、気付く。
腕を解き、向き合う格好になった。ゾロの顔を見つめると、変わらない真剣な瞳。
「ゾ…」
予想出来なかった優しい眼差しに、口篭る。顔が赤くなるのが解った。
「何か言う事があるだろう」
正面から真っ直ぐ聞いてくるゾロに、サンジは一呼吸置いて、答えた。
「…ごめん」
サンジは、自分が子供だと実感した。
ゾロはいつも何も言わないし、必要な事以外聞いたりしてこないから、なかなか真意が掴めない。
だから、時々こうやって宥められて言い聞かせられると、コイツには本当に敵わないと思い知る。
力でも、精神面でも。
だからこんな時だけは、素直に謝れる。ゾロは、微笑っていた。
「サンキュ…」
心配してくれた事と、想いの深さを知りきゅっと抱きつく。ゾロはそれに答える様に優しくサンジの身体に唇を落とし始めた。
<続く>