政宗「お前の言う通り・・・・・・捕まえておいてやるよ、ゆう」
間近で見つめられ、掴まれたままの手首が熱を帯びる。子虎が、政宗の膝の上からぴょんと飛び降りて逃げていく。
「・・・・・・っ、あの、捕まえておくのは、私じゃなくて、虎です」
危機感を覚えて身を引こうとしても、手首を引かれて引き戻された。
「ま、政宗さん・・・・・・?」
政宗「そう警戒すんな。とって食いやしない。俺のところで、見回りは最後か?」
「・・・・・・そう、ですけど」
政宗「よし、なら安土城まで送る。おいお前ら、ちょっと出かけてくるから留守を頼む」
家臣たち「はっ!」
政宗さんは私の手首を捕らえたまま立ち上がって歩き出した。
(まさか、手、掴んだままで行くつもりじゃ・・・・・・)
「あの、ひとりで帰れるので、大丈夫ですっ」
政宗「まあ、そう言うな」
「あ、ちょっと・・・・・・!」
反論する暇もなく、私は御殿を後にして、活気ある城下へと引きずられていった。
政宗「おー、今日は一段と空が高いな」
(手、離してくれる気はないみたいだな・・・・・・)
政宗「ああそうだ、俺の所も、特に困ってることはないからな」
「えっ?あ・・・・・・そうだった」
(任務のこと、すっかり忘れてた・・・・・・あれ?でも・・・・・・)
「政宗さんはなんで私が皆さんの御殿を回るって、知ってたんですか?」
政宗「なんでって・・・・・・俺が信長様に提案したからだ」
「えっ、そうだったんですか?」
政宗「あいつらの御殿の場所、わかってよかっただろ」
(たしかに、世話役任務のためにもよかったかも)
「それじゃあ、色々先回りして悪戯しかけてたのは・・・・・・?」
政宗「悪戯?ああ・・・ただ仕事だけってのもつまらねえだろうと思ってな。歓迎の催しみたいなもんだ。面白かっただろ?」
1. 面白いというか・・・ ♡
「面白いというか・・・・・・驚いたというか」
「そ、そうじゃありません・・・っ」
(もう・・・・・・)
まったく悪びれない政宗さんを見て、咎める気力も削がれてしまう。
(でも、一応、私のこと考えてくれてのことだったんだ。やりかたは、ちょっと・・・・・・かなり、変だけど)
町人1「あれ、政宗様よ!」
町人2「城にいらした姫君と一緒ね。仲良さそうになにしてるのかしら・・・?」
(っ、当たり前だけど、やっぱり目立ってる・・・・・・)
賑わう大通りのど真ん中を、手を引かれて歩いていることを思い出し、いよいよ落ち着かなくなってくる。
(政宗さんは、気にならないのかな・・・?)
「あの、政宗さん」
政宗「 ”政宗” だ。敬語も必要ない」
「・・・・・・ま、政宗。これ、手繋いで歩いてるみたいで、すごく目立つんじゃない・・・?」
政宗「目立つと何か問題があるのか?」
「えっ?それは・・・・・・」
さらりとした声で告げられて、思わず次の言葉を迷う。
政宗「問題ない、だろ?」
「う・・・・・・、うん」
当然、という調子で尋ねられて、つい頷いてしまった。
(また、政宗のペースに呑まれてる・・・・・・昨日からずっとこんな調子だ)
ため息をついて、ちらりと横目に政宗を見つめる。
(この人は、私を振り回してる自覚なんて、なさそうだけど)
「・・・・・・変な人」
政宗「ん?何か言ったか?」
「ううん、なんでもないっ」
(よかった聞かれてなくて・・・・・・、あれ?)
「あの、安土城はこっちじゃないよ?」
政宗「ああ、そうだな。せっかくこんないい天気なんだ、寄り道、していくだろ?」
「寄り道?」
政宗「ああ。この俺が直々に、お前に五百年前の日ノ本のこと、教えてやるよ」
(ええっ⁉︎)
城下町の呉服屋や食事処、子どもたちの遊ぶ河原・・・・・・。その他いろんな場所を経由して、私達はようやく安土城に帰り着いた。
(もう夕方か。あっという間だったな。人も、物も、風景も・・・・・・なにもかも新鮮すぎて、夢中になってた)
政宗「ま、こんなもんだな。五百年前の町も、なかなか楽しかっただろ?」
勝手に連れ回した政宗は、偉そうな態度で私を振り返る。
(昨日からずっと、この人に振り回されっぱなしなのに・・・・・・何でだろう、嫌な感じが、全然しない)
「・・・・・・うん、すごく楽しかった。案内、ありがとうございました」
政宗「礼はいい。俺は、俺のしたいようにしただけだ」
政宗はふっと笑みを浮かべると、手の甲でごく自然に私の頬をなでた。
(・・・・・・えっ)
優しく頬をすべるぬくもりに、どきっと心臓が音をたてる。
政宗「またいつでも尋ねて来いよ。お前なら歓迎だ」
それだけ言い残して、政宗はようやく、捕まえていた私の手首を離した。歩きまわっている間も、ずうっと掴まれていたせいで、開放された途端、そこだけがひやりと涼しく感じる。
政宗「じゃあな」
政宗は屈託なく笑うと、踵(きびす)を返し歩き去って行った。
(・・・・・・手、掴んだり、頬撫でてみたり、戦国時代の人って、こんなにスキンシップ過剰なの・・・・・・?)
深い意味はないと思うけれど、政宗の青い瞳を思い出すと、少しだけ、胸がざわめいた。
------------
そんなこんなで、バタバタしながらも初日を無事に終えた、翌日の朝。ふと思い立ち、私は ”イケメン武将トラベルガイド” を眺めていた。
(えっと・・・・・・あ、あった。伊達政宗・・・・・・ ”奥州を驚異的なスピードで統一した、破天荒な戦国武将” か)
政宗の経歴をつづったページに、ざっと目を通してみる。
(昨日はただの自由人に見えたけど、あの政宗も戦国武将なんだよね)
雑誌に書かれている政宗と、昨日の政宗の姿を重ねていると、ふいに襖の向こうから声がかかった。
三成「ゆう様、いらっしゃいますか?」
「三成くん?どうしたの?」
三成「信長様がお呼びです。広間へお越しください」
広間へ呼びだされ顔を出すと、織田軍の面々が揃っていた。
「・・・・・・何かあったんですか?」
秀吉「今朝、目付けから一報が入った。元武田の家臣で、織田の傘下に下ったはずの大名が、上杉家と密約を交わしたと」
(あ、ダメだ。全然わからない・・・)
三成「つまり、我々の仲間になったにも関わらず、織田の敵に味方する約束を交わしたということです」
話の筋が読めず首を傾げていると、横から三成さんが解説してくれる。
三成「いわば謀反(むほん)・・・・・・裏切りということですね」
「謀反・・・・・・」
信長「のさばらせておく道理はない。秀吉、家康、それに政宗。必要最低限の兵を連れ、真偽の確認と、しかるべき対処をしに行け」
秀吉「はっ」
家康「かしこまりました」
政宗「久々に暴れられそうな機会だな」
(要するに、裏切りものを懲らしめに行くってこと?大ごとだな・・・」
信長「ゆう、何を呆けている。当然、貴様にも行ってもらうからな」
「えっ⁉︎ 私、何もできませんよ!?」
信長「お前は験担ぎだと言っているだろう。いわば、見守り役だ」
(見守り役って・・・)
----------
信長「貴様をそばに置くのは、天下統一を成し遂げる験担(げんかつぎだ」
「ただのお守り代わりってことですか・・・?」
----------
(そういえば、そんなことを言われたような・・・・・・!)
「で、ですが、兵も同行するような場所にはさすがに・・・っ」
秀吉「信長様の決定に逆らうな。用意をしろ、ゆう」
(嘘でしょ・・・・・・?)
反論させてもらえる暇もなく、事態は呆気なくまとめられてしまった。
------数時間後。
私は女中の方々の手によって、すっかり旅支度を整えられていた。同じく支度の整った武将たちを前にして、呆然と立ちすくむ。
秀吉「ゆう、何ぼーっとしてるんだ。足手まといになるなよ」
(足手まといになるので、おいて行ってください・・・・・・!)
馬上の秀吉さん達を見上げ、そう叫びたくなるのを抑える。
政宗「ゆうの足はどうする?」
秀吉「誰かの馬にでも乗せるさ。政宗、お前はくれぐれも、好き勝手暴れるんじゃないぞ。くれぐれも」
政宗「約束はできないな。俺は俺の好きなようにさせてもらう。なあ、ゆう?」
「え・・・っ?」
政宗が声を掛けてきたと同時に、身体がぐんっと上に持ち上げられた。
「わ・・・・・・っ!」
一瞬身体が浮いたかと思うと、私は政宗の腕の中に綺麗に収まっていた。
「また、政宗の馬に乗るの・・・・・・?」
(たしか、本能寺から安土城へ運ばれた時は、ものすごいスピードだったけど・・・・・・)
その時のことが蘇って、かすかに顔が強張る。
政宗「何だよ、その嫌そうな顔」
「こ、この前ものすごく速かったから、ちょっと・・・・・・」
政宗「ああ。その時は、安土に急ぐ必要かあったからな」
(あ、なんだ・・・。じゃあ、今回はゆっくり行くのか、よかった)
秀吉「それじゃ、出発するぞ。家康も、準備いいか?」
家康「いつでも」
手綱を取り、涼しげな声で家康さんが答える。
(こうして見ると・・・・・・本当にみんな、戦国武将って感じだな)
少数とはいえ兵を引き連れた3人の姿に圧倒され、無意識に緊張が走る。
政宗「じゃあ、俺達は先見隊ってことで、先に行くぞ」
(先見隊?)
秀吉「待て、政宗。お前まさか、また・・・」
政宗「ゆう、振り落とされるなよ」
「えっ、ちょっと、何、待っ------!」
直後、油断していた身体がふわりと浮遊する。
政宗が手綱をしならせると、黒馬は前足を高く上げ、風のように走りだした。
(ゆ、揺れる!落ちる・・・っ!)
耳元を切っていく風の音と、不安定に揺れる馬の背中に身体がすくむ。思わず政宗の胸元にすがると、政宗が楽しげに笑った。
「政宗っ、話が、違うよ・・・・・・!」
政宗「別に嘘は言ってないだろ?この前は急いでたから速く走ったって説明しただけで、今日早駆けしないとは、ひとことも言ってない」
(そんなの屁理屈だ・・・・・・!)
どんどん加速する馬上で、ますます身体を固くしていると、ふっとかすかな吐息が耳たぶをくすぐった。
(え・・・っ)
唇が触れるくらい近くで、政宗が囁く。低音の声が鼓膜に響き、ぞくっと、身体が震えた。
「・・・・・・っ、どうして」
政宗「真正面から風を受けたほうが、気持ちいい。怖がって縮こまってちゃ、楽しめるもんも楽しめねえぞ」
「た、楽しむ余裕なんて・・・っ」
政宗「怖がるなよ、ほら」
(あっ・・・)
顎先を指先で誘うようにくすぐられ、身体からふっと力が抜ける。
政宗「そのまま、顔上げろ」
「・・・・・・あ」
正面を向くと、甘い草木の香りが鼻を抜けていった。
(わ・・・・・・、すごい・・・・・・っ)
左右を飛んで行く景色に、頭上をゆっくりと流れる夕暮れの空。視界に飛び込んでくる何もかもが美しくて、鳥肌が立つ。
政宗「こっちの方が、楽しいだろ」
満足げに囁く政宗の言葉が、不思議と怖さを吹き飛ばしていく。
(怖がってちゃ、楽しめない、か・・・・・・)
肩の力が抜けて、唇の端が自然に上がる。
「たしかに・・・・・・こっちの方が、楽しいね」
政宗「よし。それじゃ、もっと飛ばすか」
「えっ⁉︎ これ以上はいいよ!」
政宗「黙って楽しんでな」
(ええっ)
愉快げな笑い声と共に、馬は更に速く駆け出して行った。
-----------
どれくらいの距離を走ったのか。空に星が昇ってからもしばらく駆け続け、ようやく屋敷へと到着した。
秀吉「ったく・・・・・・政宗!勝手に飛び出すんじゃねえ!」
政宗「あー、悪い悪い」
家康「・・・・・・全然思ってないですよね」
(た、楽しかったけど、寿命が縮むかと思った・・・・・・)
すぐに追いついた秀吉さん達と共に、私と政宗も門前に馬を乗り付ける。
(それより・・・・・・)
「ここが、例の大名のお屋敷・・・?」
秀吉「ああ。どういう腹づもりか、きっちり聞かせてもらわないとな」
従者に話をつけ、私達は広間へと通された。
秀吉「何を黙ってる?この書状に書いてあることは真実か、と聞いているんだ。もし間違いなら、こんな大所帯で押しかけて申し訳ないからな」
大名「・・・・・・っ」
秀吉さんに上座から見下され、問われた大名がぐっと唇を噛み締める。
(すごい緊張感・・・・・・私、やっぱり場違いかも)
家康「今回の謀反の件に加えて、領民からの不当な搾取(さくしゅ)も報告されてるけど。領民から絞りとってまで金品貯めこんで、何に使うつもりだったの?武器でも買い込む気だった?」
大名「・・・・・・っ」
政宗「まどろっこしい。俺がたたっ斬ってやろうか」
(えっ⁉︎)
立ち上がって刀に手をかける政宗に、驚いて顔を上げる。それに触発されたのか、大名が意を決したように口を開いた。
大名「っ・・・、ああ、その書状に書いてあることは、真実だ・・・・・・」
秀吉「・・・・・・なるほど?一応、理由を聞いてやろうか」
大名「亡くなられてたと思っていた信玄様が、生きておられたのだ・・・!」
秀吉「何・・・・・・?」
大名「それどころか、死んだはずの上杉謙信も生きていて、信玄様は謙信の元へ身を寄せているという。信玄様と謙信が生きているなら、信長などひとひねりだ!今から味方についておいて損はない・・・・・・!」
家康「死んだはずの上杉謙信と、武田信玄が・・・・・生きてる?」
政宗「面白い話だな」
(全然、話が見えないけど・・・・・・謙信と信玄・・・・・・最近どこかで聞いた、ような)
大名「驚くのも無理はないでしょう。だが、確かな話だ。あなた方も、身の振りを考えたほうがいいのでは?」
秀吉「言い残したいことは、それだけか」
冷ややかな声と共に、秀吉さんが上座から立ち上がる。
秀吉「信長様の前で、後悔しながら冥土(めいど)へ送られる覚悟はできているんだろうな」
大名「っ、あなた方こそ、信長と心中する覚悟はできているんでしょうな?」
大名が、慌てた様子で指笛を吹く。
「一度、退散した方がいいんじゃ・・・」
政宗「馬鹿言うなよ、逃げる理由なんてひとつもない。お前、死なないように気をつけろよ」
(・・・・・・どうやって!)
突っ込みたかったけれど、それどころじゃない。
こちら側の近衛兵を全て合わせても、明らかに数の多さは向こうが上だ。
大名「貴様らが来るのは察知済みよ。その首、謙信への手土産にしてやる」
秀吉「こんなに兵を持っていたとは驚きだ。どこから引き入れた?」
大名「これから死にゆく貴様らには、関わりのないこと」
じりじりと、敵との間合いが縮まっていく。
(どうしよう・・・・・・っ)
焦りばかりが募り、助けを求めるように隣を見ると、政宗は刀の柄に手も置かず、じっと敵兵の様子を伺っていた。
(あれ・・・・・・、てっきり、真っ先に応戦するのかと冷や冷やしたのに)
政宗「おい、そこのお前」
男「・・・・・・っ」
政宗は、取り囲む武士の中の一人に、不意に声を掛けた。
政宗「そんな怯えきった太刀筋で、本当に俺達にかなうと思ってんのか?」
(え・・・?)
よく見ると、刀を構える敵の武士の身体が、かすかに震えている。
政宗「死にたいって言うなら、俺が今すぐ楽にしてやるが」
男「・・・・・・っ、こんな奴のために、死にたいわけがあるか・・・・・・!俺は・・・っ、武士でもなんかでもねえ!」
突如、男は震える声で叫びだした。
(・・・・・・どういうこと?)
男「妻と子供を殺す、地財も奪うと脅されて、無理やり駆りだされたんだ・・・・・・いつもそうだ。こいつは米は奪えるだけ奪っておいて、女子どもに乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)働く野盗も取り締まらねえ」
男2「そ、そうだ!なにが大名だ、聞いて呆れる・・・っ。俺達はこんな奴のために、捨てる命など持ってねえ!」
大名「なっ・・・・・・貴様ら、裏切るのか!」
隣りにいたひとりが男へ賛同し、大名へと刃を向け直す。それに呼応するように、敵側の武士の半数がそれにならった。
(これって・・・・・・敵側の仲間割れ?)
政宗「面白くなってきた」
家康「・・・・・・面倒くさくなってきた、の間違いでしょ。あんたが、余計なこと言うから」
政宗「俺は促しただけだ」
(じゃあこの人達のほとんどは、武士じゃないってこと?)
敵が私達越しにやり合うのを、呆然としながら眺める。
大名「お前ら領民は皆、俺の駒(こま)だろうが!身の程知らずが、死に場所を選べると思うな!」
(・・・っ!なに、それ。時代が時代とはいえ、そんな言い草あんまりだ・・・っ)
政宗「へえ・・・・・・」
私の隣で、政宗が不意に口元に笑みを宿した。
(政宗・・・?なに、笑ってるの?)
真っ直ぐに大名へと身体を向ける政宗から、ただならぬ凄みを感じる。
政宗「どうやらお前は本当に、将の器じゃないらしい」
秀吉「おい、政宗・・・・・・」
秀吉さんの静止の声を待たず、政宗が柄に手を掛けた。いつか私の部屋で見せたように、鮮やかに鞘から刀を抜く。
政宗「別に弱者の味方をするわけじゃねえ。こいつの謀反は確定なんだ。攻めたって、文句はねえだろう」
(・・・・・・っ、政宗・・・・・?)
愉悦のにじんだ声に、背筋が凍りついた。政宗の刃の先まで、殺気立っているのを肌に感じる。
(これは・・・・・・誰?)
別人のように敵を睨み据える政宗を前に、心臓が嫌な音を立てて鳴った。
政宗「最初に動いた奴から斬る。死にたくない奴は、下がってな」
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間近で見つめられ、掴まれたままの手首が熱を帯びる。子虎が、政宗の膝の上からぴょんと飛び降りて逃げていく。
「・・・・・・っ、あの、捕まえておくのは、私じゃなくて、虎です」
危機感を覚えて身を引こうとしても、手首を引かれて引き戻された。
「ま、政宗さん・・・・・・?」
政宗「そう警戒すんな。とって食いやしない。俺のところで、見回りは最後か?」
「・・・・・・そう、ですけど」
政宗「よし、なら安土城まで送る。おいお前ら、ちょっと出かけてくるから留守を頼む」
家臣たち「はっ!」
政宗さんは私の手首を捕らえたまま立ち上がって歩き出した。
(まさか、手、掴んだままで行くつもりじゃ・・・・・・)
「あの、ひとりで帰れるので、大丈夫ですっ」
政宗「まあ、そう言うな」
「あ、ちょっと・・・・・・!」
反論する暇もなく、私は御殿を後にして、活気ある城下へと引きずられていった。
政宗「おー、今日は一段と空が高いな」
(手、離してくれる気はないみたいだな・・・・・・)
政宗「ああそうだ、俺の所も、特に困ってることはないからな」
「えっ?あ・・・・・・そうだった」
(任務のこと、すっかり忘れてた・・・・・・あれ?でも・・・・・・)
「政宗さんはなんで私が皆さんの御殿を回るって、知ってたんですか?」
政宗「なんでって・・・・・・俺が信長様に提案したからだ」
「えっ、そうだったんですか?」
政宗「あいつらの御殿の場所、わかってよかっただろ」
(たしかに、世話役任務のためにもよかったかも)
「それじゃあ、色々先回りして悪戯しかけてたのは・・・・・・?」
政宗「悪戯?ああ・・・ただ仕事だけってのもつまらねえだろうと思ってな。歓迎の催しみたいなもんだ。面白かっただろ?」
1. 面白いというか・・・ ♡
2. そう見えますか?
3. 悪戯が過ぎますよ
「面白いというか・・・・・・驚いたというか」
政宗「素直に喜んでおけよ」
「そ、そうじゃありません・・・っ」
(もう・・・・・・)
まったく悪びれない政宗さんを見て、咎める気力も削がれてしまう。
(でも、一応、私のこと考えてくれてのことだったんだ。やりかたは、ちょっと・・・・・・かなり、変だけど)
町人1「あれ、政宗様よ!」
町人2「城にいらした姫君と一緒ね。仲良さそうになにしてるのかしら・・・?」
(っ、当たり前だけど、やっぱり目立ってる・・・・・・)
賑わう大通りのど真ん中を、手を引かれて歩いていることを思い出し、いよいよ落ち着かなくなってくる。
(政宗さんは、気にならないのかな・・・?)
「あの、政宗さん」
政宗「 ”政宗” だ。敬語も必要ない」
「・・・・・・ま、政宗。これ、手繋いで歩いてるみたいで、すごく目立つんじゃない・・・?」
政宗「目立つと何か問題があるのか?」
「えっ?それは・・・・・・」
さらりとした声で告げられて、思わず次の言葉を迷う。
政宗「問題ない、だろ?」
「う・・・・・・、うん」
当然、という調子で尋ねられて、つい頷いてしまった。
(また、政宗のペースに呑まれてる・・・・・・昨日からずっとこんな調子だ)
ため息をついて、ちらりと横目に政宗を見つめる。
(この人は、私を振り回してる自覚なんて、なさそうだけど)
「・・・・・・変な人」
政宗「ん?何か言ったか?」
「ううん、なんでもないっ」
(よかった聞かれてなくて・・・・・・、あれ?)
「あの、安土城はこっちじゃないよ?」
政宗「ああ、そうだな。せっかくこんないい天気なんだ、寄り道、していくだろ?」
「寄り道?」
政宗「ああ。この俺が直々に、お前に五百年前の日ノ本のこと、教えてやるよ」
(ええっ⁉︎)
城下町の呉服屋や食事処、子どもたちの遊ぶ河原・・・・・・。その他いろんな場所を経由して、私達はようやく安土城に帰り着いた。
(もう夕方か。あっという間だったな。人も、物も、風景も・・・・・・なにもかも新鮮すぎて、夢中になってた)
政宗「ま、こんなもんだな。五百年前の町も、なかなか楽しかっただろ?」
勝手に連れ回した政宗は、偉そうな態度で私を振り返る。
(昨日からずっと、この人に振り回されっぱなしなのに・・・・・・何でだろう、嫌な感じが、全然しない)
「・・・・・・うん、すごく楽しかった。案内、ありがとうございました」
政宗「礼はいい。俺は、俺のしたいようにしただけだ」
政宗はふっと笑みを浮かべると、手の甲でごく自然に私の頬をなでた。
(・・・・・・えっ)
優しく頬をすべるぬくもりに、どきっと心臓が音をたてる。
政宗「またいつでも尋ねて来いよ。お前なら歓迎だ」
それだけ言い残して、政宗はようやく、捕まえていた私の手首を離した。歩きまわっている間も、ずうっと掴まれていたせいで、開放された途端、そこだけがひやりと涼しく感じる。
政宗「じゃあな」
政宗は屈託なく笑うと、踵(きびす)を返し歩き去って行った。
(・・・・・・手、掴んだり、頬撫でてみたり、戦国時代の人って、こんなにスキンシップ過剰なの・・・・・・?)
深い意味はないと思うけれど、政宗の青い瞳を思い出すと、少しだけ、胸がざわめいた。
------------
そんなこんなで、バタバタしながらも初日を無事に終えた、翌日の朝。ふと思い立ち、私は ”イケメン武将トラベルガイド” を眺めていた。
(えっと・・・・・・あ、あった。伊達政宗・・・・・・ ”奥州を驚異的なスピードで統一した、破天荒な戦国武将” か)
政宗の経歴をつづったページに、ざっと目を通してみる。
(昨日はただの自由人に見えたけど、あの政宗も戦国武将なんだよね)
雑誌に書かれている政宗と、昨日の政宗の姿を重ねていると、ふいに襖の向こうから声がかかった。
三成「ゆう様、いらっしゃいますか?」
「三成くん?どうしたの?」
三成「信長様がお呼びです。広間へお越しください」
広間へ呼びだされ顔を出すと、織田軍の面々が揃っていた。
(政宗も居る・・・・・・あ、でも光秀さんはいないんだな。一体、何があったんだろう?)
思いながら、私も腰を落ち着ける。
信長「揃ったな。秀吉、例の報告を頼む」
秀吉「はい」
信長「揃ったな。秀吉、例の報告を頼む」
秀吉「はい」
「・・・・・・何かあったんですか?」
秀吉「今朝、目付けから一報が入った。元武田の家臣で、織田の傘下に下ったはずの大名が、上杉家と密約を交わしたと」
(あ、ダメだ。全然わからない・・・)
三成「つまり、我々の仲間になったにも関わらず、織田の敵に味方する約束を交わしたということです」
話の筋が読めず首を傾げていると、横から三成さんが解説してくれる。
三成「いわば謀反(むほん)・・・・・・裏切りということですね」
「謀反・・・・・・」
信長「のさばらせておく道理はない。秀吉、家康、それに政宗。必要最低限の兵を連れ、真偽の確認と、しかるべき対処をしに行け」
秀吉「はっ」
家康「かしこまりました」
政宗「久々に暴れられそうな機会だな」
(要するに、裏切りものを懲らしめに行くってこと?大ごとだな・・・」
信長「ゆう、何を呆けている。当然、貴様にも行ってもらうからな」
「えっ⁉︎ 私、何もできませんよ!?」
信長「お前は験担ぎだと言っているだろう。いわば、見守り役だ」
(見守り役って・・・)
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信長「貴様をそばに置くのは、天下統一を成し遂げる験担(げんかつぎだ」
「ただのお守り代わりってことですか・・・?」
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(そういえば、そんなことを言われたような・・・・・・!)
「で、ですが、兵も同行するような場所にはさすがに・・・っ」
秀吉「信長様の決定に逆らうな。用意をしろ、ゆう」
(嘘でしょ・・・・・・?)
反論させてもらえる暇もなく、事態は呆気なくまとめられてしまった。
------数時間後。
私は女中の方々の手によって、すっかり旅支度を整えられていた。同じく支度の整った武将たちを前にして、呆然と立ちすくむ。
秀吉「ゆう、何ぼーっとしてるんだ。足手まといになるなよ」
(足手まといになるので、おいて行ってください・・・・・・!)
馬上の秀吉さん達を見上げ、そう叫びたくなるのを抑える。
政宗「ゆうの足はどうする?」
秀吉「誰かの馬にでも乗せるさ。政宗、お前はくれぐれも、好き勝手暴れるんじゃないぞ。くれぐれも」
政宗「約束はできないな。俺は俺の好きなようにさせてもらう。なあ、ゆう?」
「え・・・っ?」
政宗が声を掛けてきたと同時に、身体がぐんっと上に持ち上げられた。
「わ・・・・・・っ!」
一瞬身体が浮いたかと思うと、私は政宗の腕の中に綺麗に収まっていた。
「また、政宗の馬に乗るの・・・・・・?」
(たしか、本能寺から安土城へ運ばれた時は、ものすごいスピードだったけど・・・・・・)
その時のことが蘇って、かすかに顔が強張る。
政宗「何だよ、その嫌そうな顔」
「こ、この前ものすごく速かったから、ちょっと・・・・・・」
政宗「ああ。その時は、安土に急ぐ必要かあったからな」
(あ、なんだ・・・。じゃあ、今回はゆっくり行くのか、よかった)
秀吉「それじゃ、出発するぞ。家康も、準備いいか?」
家康「いつでも」
手綱を取り、涼しげな声で家康さんが答える。
(こうして見ると・・・・・・本当にみんな、戦国武将って感じだな)
少数とはいえ兵を引き連れた3人の姿に圧倒され、無意識に緊張が走る。
政宗「じゃあ、俺達は先見隊ってことで、先に行くぞ」
(先見隊?)
秀吉「待て、政宗。お前まさか、また・・・」
政宗「ゆう、振り落とされるなよ」
「えっ、ちょっと、何、待っ------!」
直後、油断していた身体がふわりと浮遊する。
政宗が手綱をしならせると、黒馬は前足を高く上げ、風のように走りだした。
(ゆ、揺れる!落ちる・・・っ!)
耳元を切っていく風の音と、不安定に揺れる馬の背中に身体がすくむ。思わず政宗の胸元にすがると、政宗が楽しげに笑った。
「政宗っ、話が、違うよ・・・・・・!」
政宗「別に嘘は言ってないだろ?この前は急いでたから速く走ったって説明しただけで、今日早駆けしないとは、ひとことも言ってない」
(そんなの屁理屈だ・・・・・・!)
どんどん加速する馬上で、ますます身体を固くしていると、ふっとかすかな吐息が耳たぶをくすぐった。
(え・・・っ)
唇が触れるくらい近くで、政宗が囁く。低音の声が鼓膜に響き、ぞくっと、身体が震えた。
「・・・・・・っ、どうして」
政宗「真正面から風を受けたほうが、気持ちいい。怖がって縮こまってちゃ、楽しめるもんも楽しめねえぞ」
「た、楽しむ余裕なんて・・・っ」
政宗「怖がるなよ、ほら」
(あっ・・・)
顎先を指先で誘うようにくすぐられ、身体からふっと力が抜ける。
政宗「そのまま、顔上げろ」
「・・・・・・あ」
正面を向くと、甘い草木の香りが鼻を抜けていった。
(わ・・・・・・、すごい・・・・・・っ)
左右を飛んで行く景色に、頭上をゆっくりと流れる夕暮れの空。視界に飛び込んでくる何もかもが美しくて、鳥肌が立つ。
政宗「こっちの方が、楽しいだろ」
満足げに囁く政宗の言葉が、不思議と怖さを吹き飛ばしていく。
(怖がってちゃ、楽しめない、か・・・・・・)
肩の力が抜けて、唇の端が自然に上がる。
「たしかに・・・・・・こっちの方が、楽しいね」
政宗「よし。それじゃ、もっと飛ばすか」
「えっ⁉︎ これ以上はいいよ!」
政宗「黙って楽しんでな」
(ええっ)
愉快げな笑い声と共に、馬は更に速く駆け出して行った。
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どれくらいの距離を走ったのか。空に星が昇ってからもしばらく駆け続け、ようやく屋敷へと到着した。
秀吉「ったく・・・・・・政宗!勝手に飛び出すんじゃねえ!」
政宗「あー、悪い悪い」
家康「・・・・・・全然思ってないですよね」
(た、楽しかったけど、寿命が縮むかと思った・・・・・・)
すぐに追いついた秀吉さん達と共に、私と政宗も門前に馬を乗り付ける。
(それより・・・・・・)
「ここが、例の大名のお屋敷・・・?」
秀吉「ああ。どういう腹づもりか、きっちり聞かせてもらわないとな」
従者に話をつけ、私達は広間へと通された。
秀吉「何を黙ってる?この書状に書いてあることは真実か、と聞いているんだ。もし間違いなら、こんな大所帯で押しかけて申し訳ないからな」
大名「・・・・・・っ」
秀吉さんに上座から見下され、問われた大名がぐっと唇を噛み締める。
(すごい緊張感・・・・・・私、やっぱり場違いかも)
家康「今回の謀反の件に加えて、領民からの不当な搾取(さくしゅ)も報告されてるけど。領民から絞りとってまで金品貯めこんで、何に使うつもりだったの?武器でも買い込む気だった?」
大名「・・・・・・っ」
政宗「まどろっこしい。俺がたたっ斬ってやろうか」
(えっ⁉︎)
立ち上がって刀に手をかける政宗に、驚いて顔を上げる。それに触発されたのか、大名が意を決したように口を開いた。
大名「っ・・・、ああ、その書状に書いてあることは、真実だ・・・・・・」
秀吉「・・・・・・なるほど?一応、理由を聞いてやろうか」
大名「亡くなられてたと思っていた信玄様が、生きておられたのだ・・・!」
秀吉「何・・・・・・?」
大名「それどころか、死んだはずの上杉謙信も生きていて、信玄様は謙信の元へ身を寄せているという。信玄様と謙信が生きているなら、信長などひとひねりだ!今から味方についておいて損はない・・・・・・!」
家康「死んだはずの上杉謙信と、武田信玄が・・・・・生きてる?」
政宗「面白い話だな」
(全然、話が見えないけど・・・・・・謙信と信玄・・・・・・最近どこかで聞いた、ような)
大名「驚くのも無理はないでしょう。だが、確かな話だ。あなた方も、身の振りを考えたほうがいいのでは?」
秀吉「言い残したいことは、それだけか」
冷ややかな声と共に、秀吉さんが上座から立ち上がる。
秀吉「信長様の前で、後悔しながら冥土(めいど)へ送られる覚悟はできているんだろうな」
大名「っ、あなた方こそ、信長と心中する覚悟はできているんでしょうな?」
大名が、慌てた様子で指笛を吹く。
するとそれを合図に、大勢の甲冑姿の武士が現れ、広間を取り囲んだ。
「・・・・・・っ、何、この状況」
秀吉さん達の近衛兵が、警戒して刀を抜き武士と対峙する。周囲を見渡しながら、政宗さんだけは楽しげに目を輝かせていた。
政宗「おーおー、威勢がいいな」
「・・・・・・っ、何、この状況」
秀吉さん達の近衛兵が、警戒して刀を抜き武士と対峙する。周囲を見渡しながら、政宗さんだけは楽しげに目を輝かせていた。
政宗「おーおー、威勢がいいな」
「一度、退散した方がいいんじゃ・・・」
政宗「馬鹿言うなよ、逃げる理由なんてひとつもない。お前、死なないように気をつけろよ」
(・・・・・・どうやって!)
突っ込みたかったけれど、それどころじゃない。
こちら側の近衛兵を全て合わせても、明らかに数の多さは向こうが上だ。
大名「貴様らが来るのは察知済みよ。その首、謙信への手土産にしてやる」
秀吉「こんなに兵を持っていたとは驚きだ。どこから引き入れた?」
大名「これから死にゆく貴様らには、関わりのないこと」
じりじりと、敵との間合いが縮まっていく。
(どうしよう・・・・・・っ)
焦りばかりが募り、助けを求めるように隣を見ると、政宗は刀の柄に手も置かず、じっと敵兵の様子を伺っていた。
(あれ・・・・・・、てっきり、真っ先に応戦するのかと冷や冷やしたのに)
政宗「おい、そこのお前」
男「・・・・・・っ」
政宗は、取り囲む武士の中の一人に、不意に声を掛けた。
政宗「そんな怯えきった太刀筋で、本当に俺達にかなうと思ってんのか?」
(え・・・?)
よく見ると、刀を構える敵の武士の身体が、かすかに震えている。
政宗「死にたいって言うなら、俺が今すぐ楽にしてやるが」
男「・・・・・・っ、こんな奴のために、死にたいわけがあるか・・・・・・!俺は・・・っ、武士でもなんかでもねえ!」
突如、男は震える声で叫びだした。
(・・・・・・どういうこと?)
男「妻と子供を殺す、地財も奪うと脅されて、無理やり駆りだされたんだ・・・・・・いつもそうだ。こいつは米は奪えるだけ奪っておいて、女子どもに乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)働く野盗も取り締まらねえ」
男2「そ、そうだ!なにが大名だ、聞いて呆れる・・・っ。俺達はこんな奴のために、捨てる命など持ってねえ!」
大名「なっ・・・・・・貴様ら、裏切るのか!」
隣りにいたひとりが男へ賛同し、大名へと刃を向け直す。それに呼応するように、敵側の武士の半数がそれにならった。
(これって・・・・・・敵側の仲間割れ?)
政宗「面白くなってきた」
家康「・・・・・・面倒くさくなってきた、の間違いでしょ。あんたが、余計なこと言うから」
政宗「俺は促しただけだ」
(じゃあこの人達のほとんどは、武士じゃないってこと?)
敵が私達越しにやり合うのを、呆然としながら眺める。
大名「お前ら領民は皆、俺の駒(こま)だろうが!身の程知らずが、死に場所を選べると思うな!」
(・・・っ!なに、それ。時代が時代とはいえ、そんな言い草あんまりだ・・・っ)
政宗「へえ・・・・・・」
私の隣で、政宗が不意に口元に笑みを宿した。
(政宗・・・?なに、笑ってるの?)
真っ直ぐに大名へと身体を向ける政宗から、ただならぬ凄みを感じる。
政宗「どうやらお前は本当に、将の器じゃないらしい」
秀吉「おい、政宗・・・・・・」
秀吉さんの静止の声を待たず、政宗が柄に手を掛けた。いつか私の部屋で見せたように、鮮やかに鞘から刀を抜く。
政宗「別に弱者の味方をするわけじゃねえ。こいつの謀反は確定なんだ。攻めたって、文句はねえだろう」
(・・・・・・っ、政宗・・・・・?)
愉悦のにじんだ声に、背筋が凍りついた。政宗の刃の先まで、殺気立っているのを肌に感じる。
(これは・・・・・・誰?)
別人のように敵を睨み据える政宗を前に、心臓が嫌な音を立てて鳴った。
政宗「最初に動いた奴から斬る。死にたくない奴は、下がってな」
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「ゆう、力抜け」、「誰がお前を乗せてると思ってる。絶対落ちねえから、前見ろ、前」。。。
↑このセリフ好きだわ〜❣️
政宗っぽい❗️
この夕焼け綺麗だし、BGMも流れちゃって〜♪
キュンキュン
する‼️
![](https://emoji.ameba.jp/img/user/s-/s-nkgtms/90.gif)
政宗かっこいい ![](https://emoji.ameba.jp/img/user/yu/yumeno1203/1604.gif)
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