「専門家よりも専門的なキミたち」
別に医学部出たわけでも心理学専攻でもないアタシだけど、世の中がやけに理解できる。
けど、親の病名とか障害名とか自分が何症候群だとか……そういうのはホントに全然興味ない。医学だって科学だって福祉だって、完成された学問ではなく知り得ない分野がまだまだ大半。
うちの親みたいな人間を表す名称が数年おきにガラッと変わるのがその証拠。でも「未解明な分野である」との認識が足りない専門家たちのコメントはたびたび世論を変えてしまう。
感情面で育ててくれる人のいなかったアタシは、それでも「孤児」とは呼べない。かろうじてゴハンをくれた親は今も生きてるし、なぜか親を名乗る人が戸籍上増えてきてるし。戸籍のバツの下には常に新しい名前が入る仕組みになってるのかな。
中学に入る時はその年の卒業生から制服と学生カバンのお下がりをもらって入学した。美術部で油絵を習った時は油絵の道具を買ってもらえず、水彩絵の具を水で薄めずに使って作品提出完了。(笑)
高校受験では面接時に「内申点が高過ぎるが本当にうちの高校の受験生?」と疑われた。
①制服がないため買わなくてよかったから
②定時制だからバイトしやすいと思ったから
③入学金がうちの親にも払える金額だったから
という本当の志望理由は伏せて「この高校に入るのが夢だったんです!」と熱弁し首席合格。
彼氏と数年がかりで貯めた結婚資金と海外移住資金はほとんど親のローン返済に消えた。
法律に抵触していない限り、親は逮捕も注意もされない。ヤバい事態になったらバックれればいい、賢い娘が後片付けと尻拭いをしてくれるから。
母性本能だけは無駄なほど持ってる親だが、30代にもなって親から可愛いシールをもらう絶望。行動すべてが本能的で悪意が全然ないからこそ、心底憎みきれずにいる。
純粋すぎる親だから、青酸カリ入りのココアでも娘が淹れたら大喜びで飲んじゃうだろう。……いや、だからなのかな……殺すわけにも通報するわけにもいかず、いまだに親育ての日々が続いている。
きっとうちの親は死んだら天国にも地獄にも行かずネバーランドに行ってワニと戦うのだ。
別に医学部出たわけでも心理学専攻でもないアタシだけど、世の中がやけに理解できる。
けど、親の病名とか障害名とか自分が何症候群だとか……そういうのはホントに全然興味ない。医学だって科学だって福祉だって、完成された学問ではなく知り得ない分野がまだまだ大半。
うちの親みたいな人間を表す名称が数年おきにガラッと変わるのがその証拠。でも「未解明な分野である」との認識が足りない専門家たちのコメントはたびたび世論を変えてしまう。
感情面で育ててくれる人のいなかったアタシは、それでも「孤児」とは呼べない。かろうじてゴハンをくれた親は今も生きてるし、なぜか親を名乗る人が戸籍上増えてきてるし。戸籍のバツの下には常に新しい名前が入る仕組みになってるのかな。
「孤児」じゃないし「虐待児」でもないし「育児放棄」とも呼ばれない。「至って標準的な家庭の子供」。だから保護施設とも児相とも警察や保健所ともこれといって縁がない。
アタシはちゃんと義務教育受けて高校に入って、普通に卒業した。親は犯罪歴もないし、まあ納税してるみたいだし、近所の人からも挨拶してもらえてる。
アタシはちゃんと義務教育受けて高校に入って、普通に卒業した。親は犯罪歴もないし、まあ納税してるみたいだし、近所の人からも挨拶してもらえてる。
逆にアタシの評判は堕ちてくばかり。
「あんなに成績が良かったのに大学行かずにフリーターのままじゃ親はやりきれないわね」
「女手一つで苦労して育てても成人したら実家にも寄りつかない娘さんなんてつくづく親不孝よね」
「親思いの素直な子だと思ってたけど男と外国行っで子供作っちゃったらしいよ」
……
根も葉もない、とは言うまい。(笑)言われてる内容、2割程度は合ってるし。
大人の皮をかぶった子供から生まれてきたゆえにアタシが見てきた絶望の数々。
「あんなに成績が良かったのに大学行かずにフリーターのままじゃ親はやりきれないわね」
「女手一つで苦労して育てても成人したら実家にも寄りつかない娘さんなんてつくづく親不孝よね」
「親思いの素直な子だと思ってたけど男と外国行っで子供作っちゃったらしいよ」
……
根も葉もない、とは言うまい。(笑)言われてる内容、2割程度は合ってるし。
大人の皮をかぶった子供から生まれてきたゆえにアタシが見てきた絶望の数々。
小学校一年生の時はかなり旧式で音の出ないお古の鍵盤ハーモニカで音楽の授業を受けた親の代わりにサインして出す書類。親の代わりに出る町内会の会合と公民館の清掃。
振込みが遅れたことを親の代わりに謝罪し、大家さんや民生委員への対応に追われる。お弁当を持たせてもらえない運動会では午後に徒競走があっても力が出せず、いつも2位で終わる。
中学に入る時はその年の卒業生から制服と学生カバンのお下がりをもらって入学した。美術部で油絵を習った時は油絵の道具を買ってもらえず、水彩絵の具を水で薄めずに使って作品提出完了。(笑)
高校受験では面接時に「内申点が高過ぎるが本当にうちの高校の受験生?」と疑われた。
①制服がないため買わなくてよかったから
②定時制だからバイトしやすいと思ったから
③入学金がうちの親にも払える金額だったから
という本当の志望理由は伏せて「この高校に入るのが夢だったんです!」と熱弁し首席合格。
彼氏と数年がかりで貯めた結婚資金と海外移住資金はほとんど親のローン返済に消えた。
法律に抵触していない限り、親は逮捕も注意もされない。ヤバい事態になったらバックれればいい、賢い娘が後片付けと尻拭いをしてくれるから。
母性本能だけは無駄なほど持ってる親だが、30代にもなって親から可愛いシールをもらう絶望。行動すべてが本能的で悪意が全然ないからこそ、心底憎みきれずにいる。
純粋すぎる親だから、青酸カリ入りのココアでも娘が淹れたら大喜びで飲んじゃうだろう。……いや、だからなのかな……殺すわけにも通報するわけにもいかず、いまだに親育ての日々が続いている。
きっとうちの親は死んだら天国にも地獄にも行かずネバーランドに行ってワニと戦うのだ。
