皮膚リンパ腫 13 | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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「皮膚リンパ腫 13」
この本も岩月教授の著書です。
2012年発売。


過去にご紹介した著書については、以下のリンクです。
「専門医試験委員会委員長の岩月啓氏先生の著書について」

皮膚リンパ腫 13 (皮膚科臨床アセット 13)/中山書店

¥16,200
Amazon.co.jp



詳細
リンパ腫を含む造血系腫瘍の分類はその時代の医学研究を反映しながら幾多の変遷をたどってきた.現在では,WHO分類第4版がリンパ腫診療の国際的標準となっている.本書では,WHO分類の病型に準拠しながら,病型診断・病期分類のための病理組織・細胞表面形質マーカー・遺伝子再構成・FDG-PETなどの各種検査,主な治療法,新しい薬剤,治療効果判定法など,皮膚リンパ腫診療の全体像をわかりやすく解説した.

書評
皮膚科の臨床 Vol.55 No.6(2013年6月号) 書評より

評者:石河晃(東邦大学医学部皮膚科学講座)
待望の皮膚悪性リンパ腫の最新解説書が登場

 悪性リンパ腫ほど概念の変遷により病名分類が変化している分野は無いのではないかと思われる。近代では病理形態に基づく分類としてRappaport分類が長らく使用されてきた。しかし,免疫組織染色法の発展により表面抗原の解析が可能となり,T細胞B細胞など腫瘍細胞の由来が明らかにされ,T細胞性,あるいはB細胞性に大別するところから分類されるようになった。また,染色体転座などの遺伝学的解析手法の発達により,さらに細分化されることとなった。このように,解析技術の変遷とともに,あたらしい概念が登場してきた。
 さらに,同じ病理形態であってもリンパ節発症と皮膚発症では予後が異なり,一般病理医と皮膚科医との問で認識のギャップも存在したため,散発的にリンパ腫に遭遇する可能性がある臨床皮膚科医にとって,非常に難解な領域であったと言える。しかし,それまでダブルスタンダードとして存在した一般病理分類(WHO分類)とヨーロッパのグループが中心となった皮膚リンパ腫分類(EORTC分類)が2005年に統合し,WHO-EORTC分類が発表され,さらに2008年にこの流れを汲んでWHO分類(第4版)が発表され一応の決着をみた。大きく変遷してきた疾患概念をみていると,せっかく覚えたことが突然使えなくなる危惧があり,次のような声がよく聞かれた。
「いつ勉強したらよいのか?」そして本書の発刊により答えが出た。
「それは今でしょう。」
 少なくとも病理形態,免疫組織,遺伝子解析以外に革命的な解析手法が登場するまで現在の分類は踏襲されるであろう。これまでは,成書を勉強しようと思っても新分類に基づく日本製の良い解説書がなかった。英文では改訂を重ねている皮膚リンパ腫の単行本があるが,皮膚リンパ腫には人種差もあり,日本の実情にマッチした解説書の登場が待たれた。このたび,岩月啓氏教授の専門編集により,最新分類に基づく診療ガイドが皮膚科臨床アセットシリーズの13巻として発刊された。
 これまでのリンパ腫分類の変遷の歴史から述べられ,新分類に基づく解説へと続く。それぞれ各論では皮膚リンパ腫のエキスパートが分担執筆し,豊富な臨床写真,病理写真によりわかりやすく解説されている。また,岩月教授が世界に発信してきた種痘様水庖症様リンパ腫がWHO分類に取り入れられ,本書においても詳説されていることは特筆すべきと思われる。これまでのリンパ腫の教本は診断と予後の記載に特化しているものが多かったが,治療についてもかなりのページ数を使って具体的に記載されており,日常診療においてリンパ腫の診療をする可能性のある皮膚科医の必携の書として是非おすすめしたい。



目次
I 総論
 1.リンパ腫分類の変遷と皮膚リンパ腫の位置づけ
 2.WHO分類(第4版)の皮膚リンパ腫診断名
 3.皮膚リンパ腫の発症頻度
 4.皮膚リンパ腫の診断手順
 5.皮膚リンパ腫の用語定義
 6.菌状息肉症・Sezary症候群の病期診断
 7.菌状息肉症・Sezary症候群以外の皮膚リンパ腫の病期診断
 8.病期診断のための検査法
 9.病理組織検査の読み方
 10.免疫染色検査の読み方
 11.臨床・血液・骨髄検査の読み方
 12.染色体・遺伝子・ウイルス検査の読み方
 13.画像検査の読み方
 14.細胞表面マーカーの読み方
 15.リンパ節病変の検査法と所見の読み方
 16.治療効果判定基準
 17.皮膚リンパ腫の予後

II 各論
 18.菌状息肉症の臨床と病理(mycosis fungoides)
 19.菌状息肉症の病因
 20.菌状息肉症・Sezary症候群の治療方針
 21.毛包向性菌状息肉症(folliculotropic mycosis fungoides)
 22.パジェット様細網症(pagetoid reticulosis)
 23.肉芽腫様弛緩皮膚(granulomatous slack skin)
 24.その他の菌状息肉症バリアント
 25.Sezary症候群
 26.成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma)
 27.原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫
(primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma)
 28.リンパ腫様丘疹症 (lymphomatoid papulosis)
 29.皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
(subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphoma)
 30.節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
(extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type)
 31.種痘様水疱症様リンパ腫(hydroa vacciniforme-like lymphoma)
 32.原発性皮膚γδT細胞リンパ腫
(primary cutaneous γδ T-cell lymphoma)
 33.原発性皮膚CD8陽性進行性表皮向性細胞傷害性T細胞リンパ腫
(primary cutaneous CD8+ aggressive epidermotropic cytotoxic T-cell lymphoma)
 34.原発性皮膚CD4陽性小・中細胞型T細胞リンパ腫
(primary cutaneous CD4+ small/medium T-cell lymphoma)
 35.末梢性T細胞リンパ腫,非特定
(peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified)
 36.粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯リンパ腫
(extranodal marginal zone lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue)
 37.原発性皮膚濾胞中心リンパ腫
(primary cutaneous follicle center lymphoma)
 38.原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,下肢型
(primary cutaneous diffuse large B-cell lymphoma, leg type)
 39.血管内大細胞型B細胞リンパ腫
(intravascular large B-cell lymphoma)
 40.芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm)
 41.免疫不全を基盤に生じるリンパ腫
 42.皮膚リンパ腫の鑑別疾患

III 治療
 43.治療効果判定の具体例
 44.外用療法・手術療法
 45.光化学療法・光線療法
 46.放射線療法
 47.免疫療法・分子標的療法
 48.化学療法
 49.造血幹細胞移植

IV 皮膚リンパ腫プロジェクト
 50.全国調査と症例追跡調査
 51.ISCL/EORTCとの連携
 52.リンパ腫研究の動向
 53.リンパ腫ガイドラインの位置づけ