52-2007 多発性脂腺腺腫と消化器癌の合併をみた際,疑うべき代表的な疾患名を記せ. | 皮膚科専門医試験勉強されている方、皮膚病、皮膚に関心のある方のためのブログ!!!

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52-2007
多発性脂腺腺腫と消化器癌の合併をみた際,疑うべき代表的な疾患名を記せ.

























多発性脂腺腺腫消化器癌の合併をみた際,疑うべき代表的な疾患名を記せ.


Muir-Torre症候群

Muir-Torre症候群

例 http://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/60/3/60_156/_article/-char/ja
Muir-Torre症候群は, 脂腺腫瘍あるいはケラトアカントーマと内臓悪性腫瘍を併発するまれな遺伝性疾患である. 今回我々は, 3回の大腸癌切除と1回の胃癌切除の後, 55歳時に顔面のケラトアカントーマおよび前胸部に長径1cmの脂腺癌 (Sebaceous carcinoma) が併せて発生し, 本症候群と診断された症例を経験した.



腫瘍随伴性皮膚病変 paraneoplastic dermatoses
典拠: 最新内科学大全:皮膚の疾患 [62, p.80] ,典拠: 標準皮膚科学5版 [114, p.474] ,典拠: NEW皮膚科学1版 [126, p.361]
http://akimichi.homeunix.net/~emile/aki/html/medical/dermatology/node100.html
* 種類
o 皮膚筋炎
o 黒色表皮腫

色素沈着や表皮の乳頭腫状増殖と角質増殖を基本像とする。硬化型胃癌を合併することが多い。
o 水疱症
o 紅斑症
+ Sweet病

白血病を合併しやすい。
o Bazex症候群

四肢末端・鼻・耳介の紅斑性角化。上部呼吸器系や上部消化管の扁平上皮癌を合併する。

典型的には40歳以上の男性の四肢末端や鼻尖などに乾癬様皮疹が出現し、数ヶ月以内に内臓悪性腫瘍が顕在化する。
o POEMS症候群 Crow-Fukase syndrome
o Gardner症候群

軟部組織腫瘍(上皮性嚢腫)に大腸癌を合併したもの。
o Muir-Torre症候群

脂腺腺腫・ケラトアカントーマに消化管泌尿器系腫瘍が合併したもの。
o Leser-Trelat徴候

老人性疣贅・脂漏性角化症が数ヵ月以内に急速にその数と大きさを増すもので、内臓悪性腫瘍の合併を示唆する。


黒色表皮腫 acanthosis nigricans
典拠: 皮膚科学6版 [92, p.268] ,典拠: 最新内科学大全:皮膚の疾患 [62, p.335] ,典拠: 病理学 [68, p.874] ,典拠: 標準皮膚科学5版 [114, p.214] ,典拠: NEW皮膚科学1版 [126, p.198]

* 概念

黒い色素沈着や表皮の乳頭腫状増殖と角質増殖を基本像とし、腋窩・項部・外陰部に好発する。 悪性腫瘍の検索が重要となる。
* 分類
o 悪性型,悪性黒色表皮腫

種々の内臓悪性腫瘍、特に胃癌を合併することが多い(9割)。
o 良性型

悪性腫瘍を合併せず、若年者に多い。
o 仮性型

良性の亜型であり、肥満とともに発症し肥満の消退とともに軽快するもの。
* 症状

腋窩・項部・外陰部などに黒褐色の色素沈着と角質増殖による乳頭状隆起をみる。

POEMS症候群 Crow-Fukase syndrome
典拠: 皮膚科学6版 [92, p.488] ,典拠: 最新内科学大全:皮膚の疾患 [62, p.51]

* 概念

多彩な全身症候と免疫グロブリン異常を伴う多発神経炎の症例につけられた名称である。
* 病因

おそらく形質細胞腫(多発性骨髄腫)から産生されるMタンパクのλ鎖が全身の臓器および組織に障害を与える のではないかと考えられている。
* 症状
o 皮膚症状
+ 老人性血管腫瘍病変
+ 色素沈着
+ 多毛
o 多発神経炎

運動障害が感覚障害より強く、症状は下肢末梢から始まり,次第に上行する。
o 内分泌障害
o Mタンパク血症
o 肝腫大,脾腫大,リンパ節腫脹などの臓器腫大
* 検査所見
o Mタンパク血症
o 骨のX線検査で骨髄腫の所見を認めるもの
o 骨髄所見

形質細胞の軽度増加が認められる。
* 治療

基本的には骨髄腫に対する治療を行なう。

Muir-Torre症候群
典拠: 皮膚病アトラス4版 [100, p.234]

* 概念

脂腺腺腫・ケラトアカントーマに消化管泌尿器系腫瘍が合併したもの




デルマドローム とは内臓悪性腫瘍が存在する時に現れる皮膚の症状である(デルマトームとは違う)。胃癌、肺癌といった頻度の高い悪性腫瘍でよく出る。現在でも、この所見があれば、悪性腫瘍の探索目的で画像診断を勧められるが、人間ドックをはじめとする早期診断システムが構築されたため、患者の受診パターンは大きく変化した。当然、すでに悪性腫瘍と診断され、入院している患者にも突然あらわれることがあるので、若手医師はデルマドロームと他の皮膚病変の鑑別に苦労することが多い。他の臓器と異なり、皮膚は見えるので患者がよく気がつくこと、またよく見えるだけに皮膚科学の分類は相当細かいため、若手泣かせの所見である。

以下に有名なデルマドロームを列挙する。

1. 皮膚筋炎
2. 後天性魚鱗癬
3. 悪性黒色表皮腫
4. レーザー・トレラ徴候:極短時間に脂漏性角化症が急速に多発すること。
5. Sweet病
6. 水疱性類天疱瘡
7. 汎発性帯状疱疹
8. 難治性皮膚掻痒症
9. 後天性多毛症
10. 紅皮症
11. 壊死性遊走性紅斑
12. POEMS症候群(Crow-Fukase syndrome)
13. Bazex症候群
14. Muir-Torre症候群
15. Gardner症候群