2011年1月、全く情報が無い中スタートした魔法少女まどか☆マギカ。最初は萌え系魔法少女アニメだと思ったら、そんなチープな想像をはるかに超える衝撃のストーリーが展開されました。オリジナルアニメだった利点を最大限に活かし、ファンにいろいろ考えさせる事でネットを中心に大きな反響を呼びました。東日本大震災が発生し、放送が1ヶ月以上先延ばしになり、最終回までの3話連続放送は深夜3時過ぎのスタートだったにもかかわらず、学校や仕事を休み人が続出しました。数々のアニメーション賞を受賞し、まさに2011年を代表する作品となったまどマギは、ついに明日から全国の映画館で前編・後編に分けて公開される事になる訳です。



 

 放送終了してから1年半、再びスクリーンでまどか・ほむら・マミさん・さやか・杏子5人の魔法少女とQBの活躍と苦悩と思惑が交錯すると思うとわくわくします。めざましテレビを観たのですけど、変身シーンなどの新作カットもあって既存ファンも十分楽しめる内容になっていると思います。そんな期待十分の劇場版まどマギですが、その制作に関わったメンバーを見渡してみるとある事に気付きました。それは現在の日本アニメ界における中心人物が、制作に携わっている事です。





 総監督の新房昭之氏は、さよなら絶望先生、ひだまりスケッチなどを手がけた後、2009年当時の深夜アニメBlu-Ray販売記録を塗り替えた斬新で意欲的な作品だった化物語の監督を担当しました。京都アニメーションからシャフトへと時代が変わったと言ってもいいエポックメーキングな出来事でした。そして、脚本の虚淵玄氏は、アダルトゲームのシナリオライターからライトノベルに携わり、Fate/Zeroの原作を担当し大ヒット。一躍売れっ子作家の仲間入りを果たしました。音楽の梶浦由紀さんは、今や人気タイトルには欠かさせない作曲家。世界観を忠実に守るBGMは心を高揚させ作品を盛り上げ、現在のアニプレックス作品には欠か背ない存在となっています。女性作曲家第一人者菅野よう子さんを彷彿とさせます。




 キャラクターデザインを担当した蒼樹うめさんは、ひだまりスケッチの原作者。マンガだけではなくイラストレーターとして、可愛い女の子の画には定評があります。まどマギがミスリードされたのは、このキャラクターデザインが影響したと言っても過言ではありません。そんな才能が集まった作品がまどマギなのですが、放送開始前は本当にこれで上手く行くのかと、懐疑的な声も多くありました。しかし、彼らの才能をまとめたのが、今最も売れっ子のアニメプロデューサーである岩上敦宏プロデューサーです。




 岩上プロデューサーはアニプレックスの躍進に欠かせない人物で、ひだまりスケッチ・化物語・俺妹・Fate/Zero・ソードアート・オンラインのプロデュースも担当しています。かなり無理があると思われたスタッフをまとめ、まどマギを大ヒットに導いたのはまさしく岩上プロデューサーであると言えます。現代のアニメは各クールごとに数え切れないぐらいのアニメが放送され、覇権と呼ばれる売り上げトップを目指すトーナメントを戦っているような状況です。まどマギは圧倒的な売り上げを記録し、劇場版に作品として登場するのは当然の成り行きであり、まさに現代日本アニメ才能の結晶こそまどマギだと私は思います。




 しかし、劇場版作品としてはまどマギは知名度が低い。今のままだと既存ファンの為の劇場版作品であり、焼き回しと言われても仕方ありません。私は劇場版に作品になったからには、全く知らない人に作品を観てほしいと思います。劇場版作品は、深夜アニメで人気を博した作品なのですから、一般層にも受け入れてもらえるチャンスはあるはず。最近のアニメにはこんな面白い作品があるのかと驚かれるはずです。キャラクターは受け入れられなくても、作品の本質は受け入れてもらえるはずだと期待しています。ただ、子どもさんに見せるのはやめた方がいいです。親御さんの中にはプリキュアと同じだと思ってしまう方も多いはず。プリキュアとは全く違うコンセプトのまどマギは、流石に子どもさんに見せるのはやばい。これだけは声を大にして言いたいです。