マミの死後、キュゥべえの見方は大きく変わりました。最初は魔女に対して「呪いを撒き散らす存在。」と言って、人間の事も考えていました。(まあ一応彼なりに考えていたのですけど。あれって考えていたのと誰もが突っ込みましたが・・・)それは魔法少女の凄惨な死に方を目撃して、魔法少女になるのを諦めたまどかとさやかに別れを告げたのに、恭介の為に願いを叶えて契約しようと黒い影が来ました。観察力が凄いと言うか抜け目がないというか、本当にチャンスを逃さないです。しかももの凄くイヤらしいタイミングで登場。



 これだけでもとても嫌なキャラだなと印象付けたのに、魔法少女の真実を言わなかった事が、ファンの怒りの導火線に火をつけたのは言うまでありません。中学生だから良い事言われたら舞い上がってしまうのを利用するこのやり方は、1対1のシュートチャンスを後ろからタックルするより酷いです。そして他の魔法少女がいる事も告げないで、新たなテリトリー獲得を狙う佐倉杏子の存在も教えなかった。キュゥべえにとっては、必要のないことですけど、相手の事を考えればそれって絶対に必要な事。これもマジでイヤらしいし、腹が立ちました。



 第5話「後悔なんてあるわけない。」における恭介が回復した姿を見ている、さやかの嬉しそうな様子が不憫でしょうがなかった。しかも正義の味方となって、マミの意志を継ごうとしている姿がキュゥべえの目から見たら「個体の為に何やってるんだろうな?別に魔女は邪魔だからやっつけてもらっているだけなのに。」などと卑屈な目で観ていたのかも知れません。続く第6話「こんなの絶対おかしいよ」では、物語のターニングポイントになった出来事が発生しました。



 魔法少女同士の戦いを止めようとするまどかが、さやかのソウルジェムを投げ捨てたシーン。いきなりさやかの身体が抜け殻の様になってしまったあのシーンです。「友達に対してなんてことをするんだ。これはちょっとまずかったね。」一応心配と注意をしているのですが、ここにも人間の常識では測れない恐ろしさが隠れていました。まさかソウルジェムが、人間の魂で作られたものであるとは思いませんでした。



 ソウルジェムを直訳すると「魂の塊」なので、察しが付いた人もいたかもしれませんけど、「人間の身体は壊れやすいから生身で戦わせるなんて申し訳ない。」という余計なお世話だと総ツッコミされそうな台詞もはきました。これで完全に視聴者の支持はゼロとなったと言えましょう。しかしまあここまで価値観の違う生命体だと脳裏に植え付けた虚渕さんの脚本には頭が下がります。さらに無表情な事も恐ろしさを増大させています。最初の頃はニコニコしていたのですが。



 第7話「本当の気持ちと向き合えますか?」では、さやかが真実に気付き抗議しても「聞かれなかった。」などと言って、痛みを感じないのは僕のおかげとばかりに槍で腹を刺された時と同じ痛みを与える鬼畜の諸行を行いました。ソウルジェムを足で踏みつけた時のドヤ顔は忘れたくても忘れられません。そしてさやかは、仁美の想いを知りどんどん抜けられない暗黒へと引き込まれて行く事になりますが、これというのも全て口車に乗せたキュゥべえの仕業。知らなければ聞きようがない。



 そして衝撃のラストシーンとなった第8話「あたしって、ほんとバカ」では、更なる衝撃発言が飛び出しました。ここまで来ると本当に何でもありって感じがします。まどかがさやかを元に戻して欲しいと言ったら「無理だ!僕の力の及ぶ所ではない。」などと奇跡を起こせると言っておきながら、この手の平返しの台詞を言い返しました。民主党もびっくりの手の平返しです。しかもまどかには「君なら奇跡を起こすどころか宇宙の法則も捻じ曲げる可能性もある。」など、これまた信憑性も何もない事をさらりと言ってのける。そこまでして魔法少女にしたいのですかと怒りました。



 その理由がグリーフシードを吸収して人間の魂と融合させてソウルジェムを作り出し、魔法少女を誕生させる。願い事は釣りの餌で本当の狙いは魔女に変身させる為だったという事が明らかになると「この国では、成長途上の女性の事を少女って呼ぶんだろ。だったらやがて魔女になる君達の事は、魔法少女と呼ぶべきだよね。」とさやかのソウルジェムが、グリーフシードに変わった時に視聴者に向かって言いました。上手い話には裏があるって言いますけど、これは本当に酷すぎる悪行だと言えるでしょう。



 いよいよ第9話「そんなの、あたしが許さない。」では、またまどかにとんでもない事を言ってのけます。インキュベーターの目的は、魔法少女のソウルジェムが魔女のグリーフシードに変わる時のエネルギーを回収する事であると明かしました。更に「認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か君達人類は、他者を憎悪するんだよね。」「人類は現在69億人、どうして個体の生き死ににこだわるんだい。」責任転嫁と人々の個人に対する思いを踏み躙る発言を平然としたのです。感情が無いというのは、ここまで恐ろしいのか?改めてキュゥべえの発言を振り返ってみると、無自覚の言葉がこれほど人を傷つけ嫌悪感を与えるのかと思い知らされました。



 まとめるなら、何故嫌われているかという最大の理由は、言葉が客観的でかつ狡猾でずる賢い面を含んでいるからだと思いました。つまり相手の気持ちはわかっているけど、それを利用して自分の目的を達成しようとするやり方です。さやかを救いたい杏子に対し、「僕の知る限り無いね。」と言っておきながら「魔法少女は条理を覆す存在。」だと可能性がある事を示唆するように含みを持たせる。しかし失敗して自爆してしまうとほむらには、「不可能に決まってるじゃないか。」と舌を出して馬鹿にする様な発言をするからだと思いました。今後もどんな語録が飛び出すのか?注目して見たいと思います。