朝7時、明るい外とは対照的な暗い部屋で寝返りを打っているごく普通の高校生高坂京介君、彼には妹がいて朝健気に起こしに来た黒髪セーラー服が、それだと思いました。しかし「偽者」と言い放った京介君。実は、本当の妹桐乃ちゃんは全くそんな事をするはずもない、自分をゴミの様に扱っていた。何故そういう風にするのか今はわからないけど、キャラクターの特徴を掴む上で非常に重要なスタートだったと思う。期待感十分のまま始まった物語は、まさかの夢オチスタートでした。



 朝ごはんは、日本の食卓らしくアジの干物。しかし最近はやっぱりパンの方が多い気がしますけど、高坂家は非常に厳格な家庭なのです。親父の声が碇ゲンドウ指令役の立木さんですが、最近色々な番組でナレーションをしています。桐乃ちゃんは、既に学校へ出発しており、京介君とは顔を合わせる事がありません。運動神経抜群で朝練も熱心にこなし、陸上のタイムも更新しています。まさにリア充ってこういうものだろうというのを体現しています。兄妹って比較されちゃうのかな?流石に居心地が悪そうに京介君は、ご飯を食べて学校へ出かけました。


 

 登校途中「京ちゃん」と言って笑顔で手を振るめがね娘が現れました。幼馴染みで、結構天然系な田村麻奈美ちゃんです。中の人がりっちゃんと同じ人なのですけど、前クールでは下ネタ連発してましたね。佐藤聡美さんですよね、彼女もけいおん!!からブレイクした1人です。桐乃ちゃんもあずにゃんだから、けいおん!!からブレイクしたのですね。京アニはまさに優秀な選手を送り出す、FCバルセロナのカンテラみたいです。早速京介君は、妹の存在が有名になるにつれて感じる、劣等感と周囲の視線がきつくなった麻奈美ちゃんに愚痴をこぼしてます。自分は一人っ子だからそういうのってわかりません。



 ミス普通コンテスト、日等奈美ちゃんと麻奈美ちゃんが出たら確実に一騎打ちですね。「普通って言われて照れちゃう。」なんて言う人と「普通って言うな」と文句を垂れる人のですね、わかりますよ。そんなやり取りをした後授業が始まり、国語の時間では宮沢賢治の小説が題材となりました。「賢治の文章には妹の存在が大きい。」京介君の堪忍袋の緒が切れそうな事を先生が言ったり、英語の時間でも麻奈美ちゃんが訳した文章の中に「妹」が出て来たり、ついには小野妹子までが日本史の授業で登場。思わず妹の文字を消しちゃいました。まさに妹コンプレックスが如実に現れています。



 妹尽くし!彼にとっては最悪の授業が終わると帰宅部だからまっすく自宅へ。リビングに入るとそこには、散々悩まされた妹桐乃ちゃんの姿がありました。ムカつく相手なのに京介君は、思わずのけぞって完全に萎縮していました。これほどのコンプレックスがあるとは!早乙女アルトの親父コンプレックスに匹敵しますね。(笑)まあいちおう「ただいま」って言うのですかが、桐乃ちゃんは完全にシカト。それを判っているのか、冷蔵庫の麦茶をコップに入れてごくりと飲んで、視線も合わさず部屋へ向かいました。しかし麦茶をしまい忘れた事を思い出し、再びリビングへ行くと桐乃ちゃんと正面衝突。落としたバッグを拾おうとすると、手を叩かれ「触らないで!」と一喝されてしまいました。兄妹の中は最悪だと印象付ける事になるのですが、ここでとある物を見つけた事で、事態は一変するのです。



 そのとある物とは、魔法少女が主人公のDVDケース。「何で髪がピンクなんだ?」嫌悪感一杯の京介君。しかしここでお母さんが帰って来て、見つかったら自分がアニヲタだと勘違いされるので、慌てて隠しました。これってある意味AVが見つかるより恥ずかしい事です。「まじで社会的に抹殺されますよ。」じゃあ私はどうなのかって?いやいやもうネタにされてますから、全く問題ありま・・・いやありまくりです。さてちょっと脱線しましたが、京介君は爆弾を抱えてしまい処理に困っています。一応誰のものなのか推測しますが、全く縁遠い物なのでちょっと考えが付きません。しかも中には更に強烈な物が入ってました。「妹と恋しよう!」おいちょっと待って下さいよ!萌えアニメのケースにエロゲって、超豪華弁当の二段重ねですか?



 エロゲなんて見つかったら、家族は全員軽蔑以上の仕打ちをするはず。親父なんてゲンドウ声で「死ね!」ですよ。社会的・家族的に抹殺される前に本当の持ち主「真犯人」を見つける決意をしたのです。「妹と恋しねえよ!」そこに突っ込みをいれたのは笑いました。時は流れて夕食の時間、何故か玄関に立っていた桐乃ちゃん。一応声を掛けますが、いつものようにつれない態度を取られます。しかし夕食の時間カマをかけて、誰が持ち主なのか調べ始めました。「あのさあ友達が、女の子向けのアニメにはまっていて。一度見てみようかなって。」家族の前で飛んでも発言しました。「そういうのオタクっていうんでしょ?あんたはそんなのになっては駄目よ。」お母さんからのキツイ一言が飛びます。「すいませんお母さん・お父さん、私はオタクになっています。本当にすいません。」



 親父もつれない対応だったので、持ち主ではないと気付いた京介君。残る1人は桐乃ちゃんだとにらんで見ると、カレーのスプーンが止まり蛇に睨まれたカエル状態。慌ててリビングから立ち去りました。リア充の妹がアニヲタ?「まさか・・・・・・」そう思って外に出ると、自分の部屋の電気が付きました。京介君が部屋に戻ると、お尻を突き出したエロイ格好の桐乃ちゃんがそこにいました。「探していたのはこれだろ?」おもむろにDVDを取り出すと、取り返そうとする態度とアニメは見ないという言葉が一致しません。持ち主は妹だとわかりましたが、あえて言った言葉は「俺が持っていても仕方がないから、お前が代わりに捨てておいてくれ。」ちょっと優しい言葉だなって思いました。



 「あたしが持っていたら変じゃない?」返してもらってあえて質問した桐乃ちゃん。「別に変じゃねえよ。人がどんな趣味を持っていようが、俺は馬鹿にしたりしねーよ。」超心が広い発言をして兄の威厳というか、人間の大きさを見せ付けました。これが兄を見る目のターニングポイントになり、物語が動き出したのです。早速桐乃ちゃんが、兄の部屋に乱入して寝ている京介君を引っ叩き自分の部屋へ案内しました。本当に入った事が無いのでしょう、別次元の空間に紛れ込んだSFドラマの主人公のようにきょろきょろしていると、表向きはリア充の女の子の部屋ですが、馬鹿にしない事を念を押して確認した上で、真の桐乃ちゃんの姿を見せたのです。



 ここからは桐乃ちゃんがトランザム状態になりました。エロゲやらギャルゲやらアニメやら、私の自宅なんて非じゃない位のヲタグッズが出て来ました。しかも彼女は容姿がいいから、ティーン雑誌のモデルをやって稼いでいる。それを全部ヲタグッズに費やしている、とんでもないガチな強者でした。エロゲタワーが出来るほどのエロゲを並べたり、「星屑なんとか」と京介君が口走ったアニメのタイトルを「星屑ウィッチメルル」と正確なタイトルを覚えさせようとしたり、まさに一般人に布教するガチヲタそのもの。「でどう、あたしの趣味を見た感想は?」異次元未体験ゾーンに突っ込まれて、当惑する兄に妹は感想を求めます。「お前の稼いだ金だから、お前の好きに使えば良い。俺は驚いただけで、人の目なんて気にすること無い。」京介君、君は何て心が広いんだ。私もそう思うよ!大切なのは、人間の本質なのですよ。趣味で判断するなんて、人間を表面でしか見ていない。



 真摯な態度で自分のヲタ趣味について、相談する桐乃ちゃんの姿が健気です。しかし両親に言うと考えを伝えた時「止めておけ!」京介君が大声で怒鳴りました。そこで秘密は共有してばれないように協力する!これで手打ちという事になりました。本当に優しい兄を持って幸せじゃないですか?趣味を見ただけで受け付けない人間が多い中で、妹にあれだけコンプレックスを持っていたのにですよ。それがたった1つの行動によって変化して、良好な関係が築き上げられようとしています。確かにどこの世界に妹と一緒に、妹を攻略しようとする兄がいるのか?こんな状況ありえませんが、これは兄貴がどんどんヲタワールドに引き込まれていく様子を見るのが、非常に楽しみになりました。