今日からFIFAワールドカップは、準々決勝に突入。日本がパラグアイに勝っていれば、スペインとの大一番だっただけに残念でならないです。森本選手の南アフリカの歌は、スペイン戦の後に聴きたかった。まあ今となっては過去は取り返せないので、優勝をかけたベスト8の試合の感想と展開について話したいと思います。最初のカードは、決勝戦でもおかしくないオランダとブラジルの対決です!



 オランダは、グループEを3戦全勝で1位突破。守備に難があると思いましたが、ファンマルバイク監督は修正してきて、日本もゴールを割れませんでした。攻撃陣はエースロッベンが復帰後、別のチームになったように活発な攻撃を展開。決勝トーナメント1回戦のスロバキア戦では、点差以上に格の違いを見せつけて快勝しました。一方ブラジルは、死のグループGでも守備を敗れなかった北朝鮮戦とフィジカルの強いコートジボワール戦の2試合、要所要所では流石のプレーを見せて勝利を収め、ポルトガル戦は予定調和のスコアレスドローで1位突破。



 決勝トーナメント1回戦では、非常に攻撃力の高いチリに対し、ジルベルト・シルバ・ルシオ・ファンを中心とした守備陣が攻撃をシャットアウト。攻撃も高さを活かしたセットプレーで、ファンが先制ゴールを決めると立て続けに2ゴールを挙げて3-0で快勝。非常にいい形で準々決勝に挑む事になりました。攻めのオランダか?守りからテクニック溢れる攻撃のブラジルか?果たして勝者はどちらになるのかわくわくしながら観ていました。両チームのスターティングメンバーはご覧の通りです。



 オランダ代表

GK1ステケレンブルグ
DF2ファンデルウィール
DF3ヘイティンガ
DF5ファン ブロンクホルスト
DF13オーイエル
MF6ファン ボメル
MF8デヨング
MF10スナイデル
FW7カイト
FW9ファン ペルシー
FW11ロッベン



 ブラジル代表

GK1ジュリオ・セザール
DF2マイコン
DF3ルシオ
DF4ファン
DF6ミシュウ・バストス
DF13ダニエウ・アウベス
MF5フェリペ・メロ
MF8ジウベルト・シウバ
MF10カカ
FW9ルイス・ファビアーノ
FW11ロビーニョ



 試合は前半開始直後から、堅さが見られるオランダに対し、ブラジルがどんどん仕掛けて行きました。両サイドバックの攻撃参加と裏へ抜けるロビーニョの動き出しは、本当に凄くてこんなに簡単に崩せるのかと閉口しました。そして前半10分、センターライン付近からフェリペ・メロが、ロングスルーパス。反応したロビーニョが、ディフェンスラインを掻い潜りキーパーの動きを見ながらダイレクトシュート。ボールはゴールに吸い込まれ、早々とブラジル先制です。



 このゴールは、フェリペ・メロのイメージとロビーニョのイメージが合致。更にはパスのスピードと正確さ、シュートの上手さもワールドクラスの凄みが凝縮していました。先制したブラジルは、オランダの誇る攻撃のタレントに対し、速いプレスを掛けて攻撃の隙を与えません。ロッベンに対しては、3人・4人と選手がどんどんと周囲を囲み全く仕事させません。ドゥンガ監督の徹底した守備意識を植え付けた戦術が、ブラジル選手1人1人に浸透している証拠でした。守備が良い訳ですから、ボールを奪うとカウンターのチャンスになります。



 その切り替えと技術が高いから、効果的な攻撃を繰り出す事が可能となります。その象徴的なシーンが、左サイトミシェウ・バストスの突破からカカのミドルシュート。ボールは枠を捉えましたが、キーパーステケレンブルグが片手1本で弾きゴールになりませんでしたが、攻守に完成度の高いサッカーを見せつけたブラジルのペースで前半終了しました。オランダは殆ど何も出来ない試合だったので、ブラジルは本当に強いのだと正直脱帽です。ただ2点娶れるはずだったのに取れなかったのが、まさかの結末を招くとは・・・・・



 後半に入ると、オランダの選手にスイッチが入り、攻守が完全に入れ替わった。明らかにブラジルの選手がボールを持っている所に、プレスを掛けて積極的に奪いに行きました。ブラジルのス守備を崩すには、ビルドアップさせない積極的なプレスを仕掛けるよう、ファンマルバイク監督は指示したと思います。迎えた後半8分、スナイデルのクロスボールをフェリペ・メロがクリアしきれずオウンゴール。これで同点に追いつくと、完全に流れはオランダに傾きました。



 どんどんと前に出て攻撃を仕掛けると、流石のブラジルも後ろに下がらざる終えません。今考えてみると、前半はある程度捨てて後半勝負だったのかもしれません。セットプレーを奪うチャンスも増え、ついに後半20分に逆転ゴールが生まれました。ロッベンが蹴った右からのコーナーキックをカイトが頭で逸らして、スナイデルがフリーでヘディングシュート。ブラジルディフェンス陣は、誰も反応出来ませんでした。ワンプレーから流れが変わり、逆転まで持っていたオランダの集中力と選手の力は、本当に凄かった。



 こうなるとブラジルは、逆転の為に前に出るのですが、焦りと苛立ちを募らせるばかりで、前半の様な動きは出来ませんでした。相手のペースになったときの対応力がなく、フィールドでの修正が果たせませんでした。だから苛立ちを募らせたフェリペ・メロが、ロッベンを踏んでしまって退場したのもブラジルの脆さと言っても過言ではないでしょう。後はオランダが駆け引きをしながら、タイムアップまで主導権を握り続け、ブラジルを倒して逆転勝ちを果たしました。これでベスト4一番乗りで、今大会は優勝も十分狙えるチームである事を証明しました。



 一方ブラジルは、ビハインドからの試合に対応出来ず、悔しい逆転負けで2大会連続のベスト8止まり。今まで守備からの攻撃を主眼に置いていたので、いざ攻撃に行こうとしてもなかなか切り替えが上手く行かず、個の力に頼るしかなかった事を露呈しました。おそらくドゥンガ監督は、今大会限りで勇退するでしょう。才能ある公的のタレントを削り、守備重視のチーム編成にして結果を出せなかったのですから当然です。次の大会は2014年、自国開催なので、ここでは本当のセレソンの力を見せて欲しい!



オランダ 2 0(前半)1  1 ブラジル
       2(後半)0

得点

オランダ

O.G(後半8分)

ウェスレイ スナイデル(後半23分)


ブラジル

ロビーニョ(前半10分)


警告

オランダ

ヨン ヘイティンガ(前半14分)

グレゴリー ファン デル ビール(後半2分)

ニヘル デ ヨング(後半19分)

アンドレ オーイエル(後半31分)


ブラジル

ミシェウ バストス(前半37分)


退場
フェリペ メロ(後半28分)


オランダ        ブラジル

   10 シュート 15
   20 直接FK 20
   2 間接FK 2
    4 CK 8
   2 オフサイド 2
 51 ボール支配率(%) 49