PK戦は誰も責める事は出来ない。外す事は仕方が無い!決められる可能性の方が高くこればかりはどうしようもない。だけど負けてしまった原因は、付け焼刃の守備的布陣では本当に相手を崩して勝つ事が出来ない事だと思う。つまり攻撃力の欠如と個の力で崩す選手がいなかったのが、90分間で勝負を決められなかった原因だろう。それでも選手は、120%の力を発揮し勝ちたい気持ちは十二分に伝わってきた。チームワークも素晴らしく、ここまで誇らしい日本代表を私達は誇りに思いたい。



 改めて試合を振り返ってみると、私の予想通り日本はボールを持たせてワンチャンスを物にする作戦で、守備的に試合に入った。パラグアイは元々、守備から攻撃に入るチームで、今回の日本代表と同じ色を持っていた。だから両チームともに攻め手を欠き、静かで動きの無い時間が前半開始から続いた。はっきり言ってこれが、決勝トーナメントなのかと思った。それでも個の力で勝るパラグアイが、徐々にチャンスを作り始めた。



 前半20分、日本ゴール前でワンツーを決められ、決定的なピンチを作られた。抜け出したバリオスが左足でシュートするが、それを川島がビッグセーブ!この時は流石に私も、ガッツポーズをして喜んだ。ここで点を獲られたら、パラグアイのペースになり、攻撃力の低い日本に逆転する力はないと思ったからだ。だからこそ川島のプレーは、いけると思わせるのに十分だった。何とかピンチを脱し、今度は日本の攻撃。チャンスを作ったのは松井だったが、かなり遠目からのシュートだったので、クロスバーに当てるのが精一杯。この試合全体的にいえるのだが、サイドからの仕掛けが皆無。だから攻撃の厚みも無く、デンマーク戦のような連動性が見られなかったのは、本当に残念だった。



 前半40分過ぎに本田が、ミドルシュートを放ったが、これも枠に行かず。悔しがる表情だけがアップになって前半が終了した。0-0のスコアは狙い通りだと思った。先制点を与えず、守備を固めてカウンター。布陣をチェンジしてから強豪に勝つための弱者の戦術で、互角渡り合い価値を手にしてきた。ワンチャンスをモノにする!そのためには耐えるしかない。しかし決勝トーナメントは、生きるか死ぬかのサバイバル。どこかで勝負に出なければいけない。それはいつなのか?ハーフタイム中、ニコニコ生放送をやりながら考えていた。



 後半はアウトボクシングのような、攻防の少ない展開となった。パラグアイがボールを持ち、日本がミスを待っている展開。怠惰でつまらない試合展開に思わず欠伸が出た。パラグアイは局面を打開しようと、バルデスを速めに投入。ドリブルが得意なので崩しに来たのだが、日本は突破を許さなかった。はっきり言ってパラグアイの攻撃は、カウンターは怖いが通常の攻撃は全く怖さを感じなかった。だから勝負に出ても良いと思った後半20分、岡田監督は岡崎を投入。攻撃的姿勢を見せた。



 ただどうなのだろうか?岡崎の投入はなんだかお約束みたいになっていないか?しかもサイドで起用するというのはどうなのか?やっぱりここで感じるのは、局面を打開できる選手の不在である。石川や田中達也を投入して、ドリブルで仕掛けてチャンスを得る。守備的に戦うのであれば、スピードのある選手がいて欲しかったと思った。続いて投入した中村憲剛は、司令塔タイプの選手。ボールキープしてスペースや決定的なパスを出して欲しいと思ったのだろうが、いかんせんパラグアイはスペースを与えてくれなかった。パラグアイもワンチャンスさえあれば、勝てると踏んだのだろう。



 ここまで見ると交代したカードは攻撃的なのだが、局面の打開は出来なかった。セットプレーも奪えず、闘莉王の高さも活かせなかった。ベスト8に残ったチームを見ると、スピードも個の力も全然日本とは比べ物にならない。攻撃力不足が、90分間で決着を付けられなかった最大の要因だと思った。組織で守り献身的に走る、人々に感動とひたむきさを強烈に印象付けたのだが、それはあくまでも選手の頑張りに対してだけである。



 勝負の世界というのは残酷で、勝ち負けをはっきりしなければならない。いくら頑張ってもいくら励ましあって、ひたむきにボールを追い掛けても結果は出てしまう。それを決める延長戦が始まった。パラグアイは、3人の選手交代を終えたが機能せず、逆に日本の攻撃の良さが見られるようになった。特にサイドからの攻撃が出来る様になり、これは1点取れるのではと思ったはずだ。しかしパラグアイの守備は堅く、要所要所をキッチリを抑えて形を作らせない。結局最後まで、ペナルティエリア内に侵入したシーンは殆ど無かった。



 後半には玉田を投入したが、私はこれは間違いだと思う。やっぱり森本を入れて、本田と2トップを組ませて勝負に出るぐらいの事は必要だった。玉田はドリブルで仕掛けるが、森本はパラグアイのディフェンスの様な選手になれている。だから裏へ抜ける動きで、ゴールを狙った方が結果論だがよかった。結局延長戦後半もチャンスを作れないまま、PK戦になだれ込んでしまう結果になってしまった。PK戦は運もあるが、大舞台で修羅場を潜ってきた選手の方が冷静さを保ち、きちんとゴールできる可能性は高い。だから駒野は悪くないのだが、順番はもう少し考えるべきだっただろう。



 こうしてみると守備面は本当に素晴らしいと思う。連動して守り、相手の決定的なチャンスになってもきちんと守った。パスワークも素晴らしく、攻守にバランスが取れていた。しかし今回の大会で浮き彫りになったのは、自分たちから仕掛けて勝ちきるだけの力がないことだ。ブラジルやスペインは、自ら仕掛けてゴールを取れる。ウルグアイなどは、フォルランとスアレスだけで点を取ってしまう。本田を1トップにする苦肉の策ではなく、きちんとしたストライカーをユース年代から育成すべきだ。



 そして監督は、岡田監督の退任が決まった。次の監督は、日本の構築した守備力と組織を重視しつつ、攻撃面でも連動した攻撃が可能に出来る人になって欲しい。有名無名ではなく、日本のサッカーをより発展させてくれる人を望む。そしてサポーターの皆さんにも言いたい!ワールドカップだけ見て一喜一憂する事もいいでしょう。しかしJリーグや海外のリーグを観れば、もっともっとワールドカップを観た時に面白さが増すと思います。普段サッカーに興味を持たない人は、サッカーに興味を持って欲しい。その第一歩として、ベスト8以降の試合は、本当に凄い試合ばかりだから見て欲しい!本当は日本VSスペインのガチンコ観たかったなあ。(涙)




パラグアイ 0 0(前半)0  0 日本
         0(後半)0
         0(延前)0
         0(延後)0
         5( PK )3
        13 シュート 12
        29 直接FK 26
        1 間接FK 1
         6 CK 5
        1 オフサイド 1
      58 ボール支配率(%) 42
警告
パラグアイ

クリスティアン リベロス(延長後半13分)


日本

松井 大輔(後半13分)

長友 佑都(後半27分)

本田 圭佑(後半48分)

遠藤 保仁(延長後半8分)