木原幻生が発表した論文には、同じAIM拡散力場を持つ能力者が共鳴し合い影響を及ぼす事が記されていた。更に木原はレベル6の能力者を生み出そうと、チャイルドエラーの子供達を利用して暴走能力実験を行っていた。その結果子供達は昏睡状態に陥り、能力が暴走してポルターガイストが引き起こされたのだった。黒子の調査により事実が判明したが美琴は、木原が閉鎖したとされる研究所の存在に気付いた。



 黒子が眠っている間にそこに行くと、保釈された春生と鉢合わせになった。レベルアッパー事件同様春生が犯人だと思った美琴。電撃を発射しようとするが、死んでいたセキュリティーを蘇らせ慌てて脱出。向かった病院は、かつて春生が教えていた枝先鉾理達チャイルドエラーが入院していた。改めてポルターガイスト事件も春生が引き起こした事件であり、怒りを露にする美琴の前にもう1人意外な人物が現れた。脳を専門に扱うカエル先生だった。



 先生は木原が通常とは異なるホルモンを暴走能力者から採取し、生成された能力体血漿を選ばれた能力者に投与してレベル6の能力者を生み出す事を聞いていた。当然そんな非常識な実験を行えば犠牲者は出ると先生は思った。しかし木原はそれを完全に否定して、自分の正当性を主張した。勿論そんな正当性は通用するはずも無く、事実チャイルドエラーの子供達が実験台にされてしまった。春生を保釈したのも先生が、子供達を救う為専門家の意見を聞きたい為だった。これで目覚めさせる事が出来るはずだったが、副作用としてポルターガイスト減少を引き起こしてしまうのだった。



 つまり子供達は眠りながらにして暴走能力者に変貌していたのだ。止める手段は暴走を止めるワクチンソフトなのだが、能力体血漿を生成する為に実験した初期の者のデータが必要で探していた。能力体血漿生成には必ずデータが残されているはず。春生は可能性に掛けようと決意したが、万が一無かった場合はポルターガイストを引き起こしても目覚めさせると心に固く誓っていた。しかし美琴の後を付けて来たテレスティーナ率いるMARの部隊が突入した。レスキュー隊として暴走能力者を救い、被害を食い止める事を第一にと主張したテレスティーナ。



 当然春生は納得できないが、美琴がこれ以上のポルターガイストを起こさせまいと立ちはだかりMARの研究所へ移送された。そして同じ施設に入院していた衿衣は、テレスティーナの案内で「お友達」と呼ぶ子供達の部屋に連れて行かれた。「鉾理ちゃん?本当に鉾理ちゃんだ!初春さん達に連絡しなきゃ。」久し振りの再会を果たし驚く衿衣は、飾利達に連絡しようと急いだがその影でテレスティーナの表情はほくそ笑んでいた。(今までのお話は全て伏線でした。そしてラスボスの正体も明らかになって来ました。オリジナルストーリーになって駄目だ駄目だと言っていた人も段々引き込まれて来た筈です。)



 保護された情報は美琴からジャッジメントのメンバーに伝えられた。「見つかったんだ。」情報を聞き呆気に取らながら呟く飾利。「全く子供達を起こすなら、学園都市はどうなってもいいだなんてむちゃくちゃ言いますわね。とりあえず一件落着ですわ。」黒子は事件が解決して、春生から子供達を解放した美琴の決断は正しいと告げた。しかし美琴と飾利は、どうも煮え切らない表情を見せていた。「さあ早く春上さんの所に行ってあげよう。喜ぶ顔が見られるよ。」そんな時に友人の所に見舞いに行こうと背中を押した涙子。最初は無理矢理だったが、お菓子やゲームを用意して会いに行こうとした飾利。MARの研究所には直接向かわず、子供達を救う事だけにまい進した春生がいる病院を訪れた。



 「もう少しでワクチンは完成出来た。ファーストサンプルさえ手に入れば、暴走を食い止め目覚めさせる事が出来たんだ。」自分の願いがあと一歩で果たせず、春生は座り込みがっくりと肩を落とした。「木山先生、そのデータを持ってMARに行きましょう。子供たちに会わせてもらいましょう。皆で会いに行きましょう。」子供達に会ってデータを渡せば、救える可能性は出てくるはず。必死に励ます飾利の言葉を聞き春生も重い腰を上げた。「子供達は別の設備の整った施設に移送される事になったわ。残念だけど底の場所を教える訳にはいかないの。あっ春上さんも一緒なのよ。ずっと探していた仲良しのお友達なんだもの。それにこのデータ役に立ちそうもないしね。」応対したテレスティーナは、子供達は別の施設に移送し衿衣も一緒だと教えた。しかし行き先も教えず、折角のデータもいらないとわざと地面に落とした。



 「木原所長時間です。」男性研究員が時間だと告げた時、テレスティーナを「木原」という名前で呼んだ。「私のミドルネームが木原なのよ。テレスティーナ・木原・ライフライン」呼応して自分のフルネームを告げると、マッドサイエンティストが頭に浮かんだ春生が珍しくキレた。テレスティーナに殴りかかるが、逆に取り押さえられ腹に強烈な一発を見舞い「私達忙しいの!早くお引取りしてくれないかしら?」冷たい目線を浴びせながら、邪魔者扱いした。その頃ジャッジメント第177支部では、涙子がやたらと嬉しそうな様子でテンションが上がっていた。「じゃあ初春にも連絡しよう。」皆で遊びに行こうと連絡したが、漏れて来た声は予想とは異なる飾利の泣きじゃくった声だった。(この辺りから段々態度が変わって行ったテレスティーナ。本性を露にするとここまで人間って変わるのかと実感しました。まあラスボスは彼女だとは誰もが思ったのですが、まさか木原博士の孫娘だったとは思いも寄らなかった。MARも多分レベル6を産み出す為に必要な施設だったと思います。)