バレンタインが近づき進路調査の時期となった。竜児と大河の2人は、まだ提出しておらず担任のゆりから進路指導室に呼び出された。何も書いていない調査票を見て、人生は自分で決めるものだからきちんとして欲しいと哀願したゆり。しかし学力が高い竜児は、夜の仕事だけでなくケーキ屋で仕事を始めた泰子に負担を掛けまいと、自分も働こうと就職を選択。大河は今の自分も認められず将来のヴィジョンが浮かばない状況で、将来の展望など無いと調査票を紙飛行機にして空に飛ばした。そんな投げやりの大河の頭に浮かんだのは普通の生活。恋愛・家族を人並みにすることに憧れを抱いていたのだった。



 思わぬ言葉を聞いて普通に憧れる気持ちに対し疑問を抱いた竜児。その竜児の言葉を聞きた後怒った大河は、1人で帰ってしまった。自宅に戻るとベランダで過労で泰子が倒れた光景を目撃した。急いで状況を知らせると竜児は急いで帰り、バイトの先に連絡すると告げ安心させた後食べられる料理を振舞おうと買い物に出掛けた。しかし明らかに動揺し後から追い掛けて来た大河から財布と上着を渡されるほど。その理由は、自分の為に仕事を増やしたからだと思い込み自責の念に苛まれたから。そんな自分を責める竜児の姿に大河は、自分がバイトして泰子を助けたいと直訴した。竜児も自分が出来ることに悩んでいたが、思わぬ発言を聞いて自分もバイトをしようと、事情説明に向かった先の店長に直訴した2人。



 それが認められ2人は、バレンタインを直前にした店頭でチョコを売り始めた。しかし中々人は寄り付かず、やって来たのは彼女を連れて来た浩次と麻耶に惚れて行動が気になる久光ぐらい。これではまずいと危機感を募らせた大河。リーサルウェポンとして知名度のある亜美を電話で呼び出し、サクラとしてチョコのPRをさせようとした。最初は嫌がった亜美も自分の存在を周りの女性達に知られると態度を一変。大河の台詞どおりCMを行いチョコは大いに売れた。そのまま立ち去ろうとした亜美を追い掛けた竜児。クラスメイト達は皆亜美を見ていると伝えたが、亜美にとって見て欲しいのは竜児本人だった。こうして2人のバイト初体験は大成功で幕を閉じた。



 バレンタイン当日、今まで迷惑を掛けた仲間達に感謝の手作りチョコを渡そうと放課後パソコン教室に呼び出した大河。皆それぞれチョコを受け取った時、修学旅行で自分が夢だと思い口走った言葉の事について語り出した。それは絶対に知られてはならず、知られたら関係が破滅してしまうと考えた言葉。更に助けたのが竜児ではなく祐作だと言った言葉を聞き、実乃梨は思わぬ言葉を投げ掛けた。まず口裏を合わせた竜児には嘘つきと断罪した後、大河が喋った言葉を言うように求めた。親友として腹を割って話がしたい。隠し事なんてして欲しくない。そんな思いが実乃梨にはあった。しかし大河は、自分の気持ちを隠し親友の幸せを思い喋ろうとしなかった。それが怒りの導火線に火が付き、勝手に幸せの形を決められるのではなく、自分の幸せは自分で決めて掴み取ると断言した。今まで仲良かった相手からのまさかの痛烈な非難。大河にとってはショック以外何もなく、パソコン教室の外に逃げるように出て行った。実乃梨は本心を語らせようと後を追うと宣言。祐作も亜美が本来追うべき人間として名を上げた竜児は、どうするのか疑問を投げ掛けた。その疑問に対し、竜児は自分はどうすべきか悩み始めた。




 「俺は追い掛ける。」結論は飛び出した大河を追い掛ける事だった。「私は左側。高須君は右側ね。」二手に分かれて探そうと提案した実乃梨。「追い掛けて何て言うんだ?わからねえけど」まだ自分の中で心の整理が付いてないまま、必死の形相で走り教室に到着した。合流した実乃梨も大河の姿を確認できなかった。既に大河は昇降口にいて、下校する準備を整え靴を履こうとしていた。「大河聞こえる?あんたはずっと知りたがってたよね。私は高須君が、高須竜司が好きだよ!好きだったずっと好きだったんだよ。だけどあんたに譲ろうと思った。あんたが必要としてるって思ったから。でもそれは傲慢な私の勘違いだったんだ。大河さっき言ったよね?私の幸せは私が決めるって。だからあんたの幸せもあんたしか決められないんだ。だから大河あんたのやり方を見せてよ。」今まで内に秘めた竜児に対する想いを口にして、大河の幸せを掴む方法を見せて欲しいと全力で走りながら訴えた実乃梨。しかし昇降口に付いた時には、既に大河の姿は無かった。しかも実乃梨は転んだ時に鼻血を出しており、竜児は保健室に連れて行き応急手当をした。(みのりんも竜児が好きなのはわかってました。ただ大河が正直になれない中で告白した。どうやって大河は幸せになるために向き合うか1つの賭けじゃないでしょうか?そして竜児の本当の気持ちは誰なのかも知りたい思いもあったと感じました。まさかの告白からのスタートに腰抜かしました。)



 「ねえ高須君覚えている?私には見えてるものがあるって。それって私の中の意地なんだ。野球やってる弟の事話したじゃん。私も野球やってたんだ。ぶっちゃけ私の方が才能上だったんだけど、女子だって理由で続けられなかった。だからお金を貯めて自力で体育大に進んでソフトの全日本を目指すの。でね世界中に叫ぶの。私の選んだ掴んだ幸せはこれだぜってね。でもそんなものにこだわって泣くのをやめた。つらくても苦しくても頑張ろうって決めた。つらかったり苦しかったり泣いたりを誰かが見ているのは報われるもんだね。」実乃梨の見えているものつまり夢は、野球の才能が弟よりも上で現実に実現出来なかった野球の才能を伸ばし、ソフトボールの日本代表になること。そのためにバイトを重ねて入学資金を溜めていた。「ねえあのヘアピンどうした?あれってイブに私にプレゼントしてくれるだったんだよね。最初は本当に分かってなかったのよ。大河からのプレゼントだって思ったのよ。受け取らないって決めたのに、それで傷つけたのに高須君の前で付けていた事を謝りたかった。私はあれを貰わない。私は見えているから、高須君が大河の事が好き。」竜児の気持ちを知った上で、プレゼントを受け取らないと決めた実乃梨。しかしそれが大河からのプレゼントだと思い、身に付けていた自分の無神経さを謝罪した。「高須君見えてるものに走り出せ。行け高須!」竜児が自分の本当の気持ちに気付いた事を知り、背中を押し応援する実乃梨。しかし見送った後思わず顔を下に向けた。(みのりんには夢を追いかけ頑張っている姿を好きな人に見てもらえた喜びと親友に思いが向いているつらさが交錯していると感じました。それでも竜児を応援する姿に思わずポロリとなってしまいました。竜児もついに自分の気持ちに気付き行動開始です。クライマックスに突入って感じですね。)



 「やっぱ来たか。お前変に律儀な所あるし、絶対バイトには来ると思ってた。」逃げた大河がバイト先のケーキ店に来ると予測して、店頭で待ち声を掛けた竜児。「みのりんの声は聞こえてた。笑わないでお願い。バイトが終わったら話を聞いて。もしも私が逃げそうになったら、ちゃんと捕まえてお願い。」実乃梨の想いの篭った声を聞き、自分の心の中も打ち明けようと告げた大河。また逃げようとしたらきちんと捕まえて欲しいという覚悟を決めていた。そして竜児のバイトが終わり給料袋を見ていると、いつもと異なり互いに意識し合っていた。「嘘を付いたんだね。」内緒でバイトしていた事を知った泰子。珍しく怒りに満ちた声で竜児を怒鳴った。「大河あなたこんな所で何をしているの?あなた1人で何が出来るの!あなたが高須君ね、今まで親しくしてくれてありがとう。この子は私と一緒に・・・・・」本当の大河の母親も登場。無理矢理大河を連れ帰ろうとした。「誰があんたなんかと!あんたの男とそのガキとなんか。」本当の家族では無い人間とは住めないと完全拒否した大河。「おい一体何言ってるんだ?全然意味わからねえぞ。」いきなりの母親登場と同居生活の話は竜児を困惑させた。(大河は両親に翻弄されている可愛そうな姿が強調されてますね。両親から都合悪くなったから1人暮らし。それがいきなり連れて帰って知らない人間との生活なんて受け入れられるとは思えない。離婚というのは人災といっても過言ではないと思いました。)



 「意味わかんないのは、やっちゃんだよ。バイトは禁止って約束した。でも竜ちゃんは嘘を付いてそれを破った許せない。」約束した事を守らなかった竜児を怒鳴り叱った泰子。「許せない?お前は俺の為に仕事増やして倒れた。だったら俺がバイトをする。それのどこがおかしいんだよ。家族なんだ!家族だったら助け合うのは当たり前だろ。」自分のせいで倒れた母親の代わりに働くのは、家族として互助するのは当然だと言い返した竜児。「他の事なんて知らない。竜ちゃんはお勉強頑張るの!やりたい事見つけて、立派な生きて行くの。」高須家は関係ない。自分の願いだけを息子に押し付ける泰子の言葉は、竜児の怒りを爆発させた。「勉強しなかったのは誰だ?やりたい捨てたのは?立派な人間にならなかったのは誰だ?全部お前事じゃねえか!自分の失敗を全部俺に押し付けようとするな。」出来なかった事を押し付け、自分の願った人間になって欲しい。そんな泰子のエゴイステックな考えを痛烈に非難した。すると話を聞いていた大河は、突然竜児の手を引きそれぞれの母親から逃げて行った。(泰子は自分が高校を中退して早くに結婚し竜児をもうけた。そして自分の理想に近づく息子になって欲しいと思い、仕事をこなし頑張ってきた自負はあるはず。ただ竜児は優しいから、泰子が倒れた事で自分が負担を掛けまいとバイトして就職の道を選ぼうとした。しかし押し付けだと知った今それは、怒りとなって母親を非難した姿悲しかった。エゴというキーワードで2人の母親は同じだと思いますそれに反目している子供達は翻弄されている感が否めません。)



 夜になり橋まで逃げて来た2人。そこで大河は、竜児が分からなかった経緯を説明し始めた。「糞親父が事業で失敗して、本当の母親が引き取るって言い出したの。でもあの人には家庭がある。おなかの中には赤ちゃんがいて。相手の男は背が高くて、きっと生まれてくる子供も手足が長いはず。私だけ進化前みたいなだし、そんな中に入れるわけ無い。私がいたらきっとギクシャクするよ。糞親父の時もそうだった。私なんかがいるから。」陸郎が事業に失敗。それを知った母親が大河が可愛そうだと思い引き取ると言い出した。しかし母親にも再婚した男とお腹には新たな命を宿している。そんな出来上がった中に入るのは、関係を悪化させるだけだと考え拒絶したのだ。「それずっと思っていた。俺がいなけれりゃ泰子は、もっといい人生を送れたはずだ。まだ若いし高校だって入り直せる。大人って勝手だよな人の事てめえの都合で振り回してさ。」自分の存在が、泰子の人生に影響していると竜児もずっと考えていた。しかしそんな大人が、自分達を都合よく扱う姿に嫌気が差していた。「俺さえいなければ泰子は・・・・・」場所が場所だけに自殺をほのめかす竜児の言葉を聞き、必死で止めようとした大河。「バカバカこの豚味噌!そんな事して何になるの?でも私は生きている。それはあんたがいるからだよ。この先あんたが誰と一緒に生きていっても構わない。ただ高須竜児を見ていたかったのよ。だから自分がいなければなんて言わないで。」自分の生きるモチベーションは竜児の存在だと告げた後、思わず川に落としてしまった大河。「2ヵ月後俺は18になる。このまま泰子達から逃げて誕生日を迎えたら、お前嫁に来いよ!そうすりゃ俺達も大人だ。誰にも邪魔はさせない。死ぬまでの俺の人生俺にやる。」子供の呪縛から解放されるには、大人になるしかない。つまりそれはプロポーズという形で伝えた竜児の大河に対する気持ちだった。(自分が親の邪魔になっている。その一方で親に振り回されている。その原因は子供だと思われているから。法的にも年齢的にも大人になれば、自立して生きていく。竜児の大河への愛情の答えが結婚というゴール。まさかの展開にかなり放送観ていてびびりました。)



 「ずるい聞いてって言ったじゃないこのずる犬。私に言わせて、みのりんと約束したんだから。私のやり方見せるんだから。あんたがす・・・・・・」告白は自分でするのは実乃梨との約束。互いの想いが通じ合おうとした瞬間、竜児の携帯が鳴った。「さっさと取れ!」雰囲気ぶち壊しになるがまず取れと促した大河。「おい高須、お前と逢坂の親があちこちに連絡してるんだ。今から言う所に来い。」電話の相手は祐作。2人を探す包囲網がしかれており、指定した場所に向かうよう伝えた。指定された場所は亜美の自宅。ずぶ濡れになっている大河に服を貸す亜美。「あんたに世話になるとは思わなかったわ。ありがと。」恥ずかしそうに礼を行って、急いでシャワールームに向かう大河。だらしなく靴を脱ぐようすに呆れながら、竜児が靴を直していると「あんたさ、タイガーが好きなんだよね?好きなのよね?ちゃんと言って!言って。」亜美ははっきりと想いを知りたいと竜児に迫った。「大河が好きだ!」真顔で自分の想いを伝えた。「このこののろけやがって。」茶化す亜美だったが、本心は自分の竜児に対する想いを吹っ切る為に、あえてはっきりと言わせようとしたのだった。(亜美ちゃんは2人の関係を知って、自分にケジメをつけようとあえてやらせたのだと直ぐに分かりました。最初しんちゃんばりのおぉだった竜児に、きちんと言わせたのは亜美らしいケジメのつけ方です。)



 亜美の自宅には、大河を心配して駆け付けた実乃梨も合流。「大河がよかったよ。」思わず抱きついて再会の喜びを分かち合った。「これからどうするつもりなんだお前達?」いつまでも逃げてばかりはいられない。今後の身の振り方を尋ねた祐作。「駆け落ちしますけん。本気ですけん!」結婚まで考える大河の選択は駆け落ちだった。祐作は事情を把握したが「何言ってるのよ。駆け落ちして結婚?話飛躍しすぎよ。大体どこで寝泊りするの?」いきなりの駆け落ち結婚宣言に突発的な行動だと指摘した亜美。実際竜児達は、ビジネスホテルやネットカフェなどを転々として過ごすつもりだが、戻って来たら退学処分を受けるリスクも伴っていた。「私が望んだ物は壊れちゃうって思っていた。でも望みが叶っちゃった。だからそんなジンクスを壊さないといけないって思う。だからだから!」好きな竜児と一緒に暮らしたい。今までは願っても報われず壊れていた。しかし今回は大河の願いが叶った。だから自分のジンクスを打開したいと強い気持ちを仲間達に伝えた。「バイトで貯めまくった通帳が入ってる。高須君、大河あんた達の考えは全くこれぽっちも賛成なんて絶対出来ない。ただこれがあんたの考えなら、持って行ってくれ。いつか私に返す為に。」駆け落ちは賛成できない。それでも大河の結論だから、貯めた給料を資金として使って欲しいと通帳を手渡した実乃梨。そして亜美は夏休みに行った別荘の鍵を、祐作は食料の為にとお米券を渡した。「ありがとう皆!」仲間達の優しさに感謝する竜児。このまま実乃梨を残して3人は帰って行った。(駆け落ちの為に金や家や食料を渡すのは、友情としては良いと思うけどもっと別の解決方法はないのかと思いますね。駆け落ちって正直我侭な行動だと個人的には思います。ただそれでも背中を押したのは、2人の幸せを願っているという事ではないでしょうか?)



 3人を見送った時には、明るく再会を約束した実乃梨。しかし亜美に話があると残った後溜まっていた感情が涙となってあふれ出た。「それって何の涙?高須君をタイガーに取られたから。それとも・・・・・」口が悪い亜美も実乃梨を気遣い事情を聞こうとした。「よくわかんねえ。でも分かった事がある。廊下で転ぶと鼻血が出るけど、人生で転ぶと涙が出るって。」何故泣いたのか分からない。ただ人生で挫折した時には、涙が出るとだけ実乃梨は理解した。「バッカじゃねえの。あたしらが人生語るなんて早いよ。10年先20年先も60年先も続いて行くんだよ。」人生始まったばかりの自分達は、まだまだ長い道のりがあると亜美は教えた。その後竜児と大河は、一度自宅に戻り気付かれないように荷物を取りに向かった。そこで竜児は、泰子が残した置き手紙と地図。実家からかすめ取った腕時計が置かれていた。手紙には祖父と祖母に時計を見せれば、よくしてくれるという内容が書かれ、泰子はインコちゃんを連れ姿を消していた。「あいつ逃げやがった。どんだけ子供何だよ。」思い通りにならないと駄々をこねる子供のような態度に呆れる竜児。「逃げてたら誕生日が来たって大人にはなれない!」泰子の態度を反面教師にして、自分は逃げずに現実と向き合って行く。竜児は強い意志を持って大河と共に街から出て行った。(何も知らない浩次はチョコの見せびらかしをしてました。どんだけ子供何だか。しかし実乃梨はもう吹っ切れたようです。親友との別れと失恋というショックから立ち直ろうと必死になってます。まだ人生はこれからだから自分の夢に向かって突き進もうと決めたのだと感じました。)



 「あの人は世間体だけにこだわっている。だから大騒ぎにしないはず。今だから言うけどねやっちゃんが、3人家族だって言ってくれた時毛穴がねブアーってなるぐらい嬉しかった。私ね家あんなだから。やっちゃん聞いたら泣くかな?」電車の中で母親の事と泰子との思い出を口にした大河。それは未練ではなく、家族と認められた嬉しさの伝えた思いからだった。そして竜児は、突然の登場に驚く泰子の両親に対し、大河は自分の嫁で頼みがあると頭を下げた。(まさかの駆け落ちが成立して本当に泰子の実家に行っちゃいました。ラストの結末はどうまとめるのか?個人的には、実乃梨と亜美の今後も気になります。そして泰子はこのまま逃げたままで息子と向き合うかどうかも!半年間の集大成はどうなるのか?ダークホースから本命になった素晴らしい作品のラストを見届けましょう。)