幸せの手乗りタイガー騒動は、様々な人たちを巻き込んで終息した。文化祭が終わり3年生は

表舞台から去り、生徒会長として強いリーダーシップを見せて来たすみれも後輩に道を譲る時期が来たのだ。生徒会長選挙の実施である。副会長の祐作は、クラス委員長副会長として生徒達をまとめ、真面目で人望も厚かった。しかしすみれに呼び出されてから急に態度がおかしくなり

大河が声を掛けた時には、幸せ手乗りタイガーを信じ触ろうとしていた。翌日学校に来てからも

いつもとは違う祐作がそこにいた。「大きかったってまさかチ〇〇ン?」犬の話を奈々子と麻耶に

していた亜美に下ネタをかました。「いやねえ大きかったのは犬よ。雑誌の取材で、犬と写真を撮ったって話。祐作ったら何と勘違いしたのよ。」冗談をかましただけだと感じた亜美。



 しかし話が終わると祐作は、うつむきめがねを外ししょんぼりしていた。「丸尾大丈夫?何か変だよ。」いつもと違う様子に戸惑う麻耶。見つめていた大河も不思議に思う中、帰りのホームルームを行うべく担任のゆりが入って来た。「クラス委員さん号令お願い。あれ北村君?」ゆりが呼びかけてもノーリアクションの祐作。「起立・礼・いただきます」めちゃくちゃな掛け声を1人で言って全て投げやりになっていた。竜児は不審に思い始めるが、ゆりは違和感を持ちながら話題を翌週に迫った生徒会長選挙に持って行った。「生徒会長候補NO.1、いいやオンリー1なんだから。」「よっしゃ盛り上げていこうぜ!」担任のゆりは勿論クラスメイト達の信頼が厚い祐作は。生徒会長候補筆頭だった。「選挙になんか出ない。副会長も辞めて、生徒会も辞める。全部全部全部辞めてやる!」自暴自棄になり選挙も生徒会も全部投げ出すと宣言した祐作。大好きな人の変貌に大河は不安を覚えた。(祐作が下ネタ発言するとは。真面目君が押し付けられて、やってられるかとキレたって事でしょうか。ただすみれに呼び出されてから、おかしくなったのだから何を言われたのかそれがポイントでしょう。)



 翌朝心配した竜児がメールを送ったが、祐作からの返信はなかった事を大河に教えた。「生徒会・・・・」生徒会を辞める事を思い出し、生徒会が変貌の原因だと気付き始めた。すると校門の前で生徒達が集まる光景を目撃した2人。「何を考えているんだお前は!」教師から押さえつけられ怒鳴られている祐作を見ていた生徒達。しかも紙を金髪に染めていた真面目な優等生の豹変振りにあ然としていた。結局面談室に連れて行かれ、こってり脂を絞られる羽目になった。「何を聞いても答えてくれないの。それで親しいあなた達に来てもらったんだけど、何か思い当たる事は無い?」同席したゆりは、何も答えない祐作の事情を聞きだそうとすみれ・亜美・竜児を呼び出し質問した。「わかりませんし、理解も出来ません。第一彼が生徒会を辞めると言った以上、私には関係ありません。」ただ笑うだけの亜美と思いたる理由が見当たらない竜児とは対照的に、冷たく祐作を辞める人間だから関係ないと突き放したすみれ。「関係ない!」その言葉に祐作は、ぎゅっと手に力を入れた。(やっぱりすみれとの会話に原因がありそうです。関係ないという言葉に反応したって事は、祐作はすみれに話を聞いてもらいたい意図が見え隠れします。注目を集めれば、乗って来てくれるそう踏んだのでしょうか?)




 「狩野先輩って随分冷たくなったんですね。祐作がグレたのって案外狩野先輩が原因だったりして。」変貌した原因がすみれだとツッコミを入れた亜美。「そうかもしれん!だがそうだとしたら

私はもっと北村に失望する事になるだろう。」祐作への失望感が増す意味深な言葉を残したすみれ。結局原因は分からず、教室で奈々子と麻耶に事情を説明した時、生徒会長という言葉に大河は鋭く反応した。「お奉行下手人(犯人の事)を連れて参りました。」犯人として浩次を無理矢理連れて来た実乃梨。「昨日北村から電話が掛かって来て、金髪のやり方を教えただけだよ。

本当にあんな事をするなんて思わなかったんだよ。」異変を知りながら簡単に金髪に染める方法を教えた浩次。まさかこんな事件を起こすとは思いもよらず、ただただ謝った。「あんなの甘ったれた優等生が、注目を集めたがっているだけじゃん。悩んでいる僕を助けてってさ。」祐作に恋している麻耶の提案を一蹴した亜美。祐作は自分の悩みを助けて欲しいと思い、注目させている

だけの甘ったれた優等生だと糾弾した。「バカチー北村君が心配じゃないの?」冷たく言い放つ亜美にチョップを食らわした大河。しかし心配とは裏腹に祐作は、ゆりの制止を振り切り勝手に

帰宅してしまった。(大人の世界で活躍する亜美にとって、生徒会長なんて持ち上げられている

祐作も子供だと思っているのですね。注目を集める方法というのは、ガキそのものですからね。

亜美1人だけ客観的に物事見ているのが如実に分かります。)



 放課後祐作を心配して、大河と竜児に北村家へ行こうと提案した実乃梨。「少人数で行った方が北村君が話しやすいと思う。」大勢で押しかけるより、少ない人数の方が落ち着いて話せると

主張して辞退した大河。自分は祐作の前だと上がってしまうので、いない方がいいという理由があった。結局竜児は実乃梨2人っきりで北村家に向かう事になったが、思わぬ状況で2人っきりになりどきどきしていた。「川嶋もあんな言い方はしなくても良いのにな。」いきなり自分の方を向かれて、とりあえず場を繋ぐように亜美の話を持ち出した。「あーみんは北村君の事を心配していると思うよ。だけど大人の世界でお仕事してる人じゃん。私達ガキよりもずっといろいろな事を分かっていると思うんだ、北村君の事もきっと。でも自分が分かっている事が誰にも分からない。私達の幼稚さに辛抱強く付き合ってるんだよ。あーみんの言っている事は間違ってないし、あんな風に言ってくれる友達なかなかいないよ。」祐作気持ちを知りつつ、思いに答えず客観的に冷たいと誤解される言葉を投げ掛けた亜美は大人だと評価した実乃梨。分かっているから選んだ言葉だと信じようと考えていた。(自分達は狭い世界でしか生きていないから、知らない事が沢山あると考えていたみのりん。しかし亜美は分かっているからあえて辛らつな言葉を投げ掛けたとポジティブに考えてました。私も亜美は客観的に物が見れるから、祐作の思いを主観で捕えるのではなく、事実だけを答えていました。こういう子供と大人のギャップを如実に表すシーンは、とても秀逸だったと思いましたでもなんでみのりんは、自分は傲慢でずるいなんていってるんでしょうかね?偽善者ぶっているとでも考えているのでしょうか?)



 その後2人で北村家に向かったがあいにく留守だった。結局竜児は、そのまま自宅に帰宅

した。「お帰り竜児クン・・・・・・」家に上がるとガチガチに緊張してる大河ぎこちない言葉を聞くと

大河の視線の先には、金髪に染め早退した祐作が座っていた。「実は家出してきたんだ。」ついには家出までしたのだった。インコちゃんを挟んでぎこちない様子で話をする大河。結局間が持たず、良い所を見せようとした事が無い手伝いをし始めた。「じゃああの美味い目玉焼きまた作ってくれよ。」祐作の方をチラッと見て、大河の狙いに気付いた竜児。その思いに応えて、目玉焼きを作って欲しいとリクエストした。しかし竜児のアドバイスは釈迦に説法というみえみえの結果に終わり、出来あがったのは酷い形と色の目玉焼きと竜児が作ったハンバーグだった。「あははは味はちゃんと目玉焼きだぞ。逢坂俺を元気付けようとして、作ってくれたんだなありがとう元気出たぞ。」「こっちのハンバーグは高須が作ってくれたのか?美味い流石だな!」例え形が悪くても自分の為に作ってくれた目玉焼きを食べた祐作。大河に感謝しつつ、竜児のハンバーグは絶賛していた。(やっぱり祐作の人望が厚い理由が分かりました。優しさを言葉ではなく、態度で示した事です。まずかったらまずいと言うのが普通だけど、自分のために作ってくれた理由で食べたのは本当に優しいし、人望を集めるのだなと。)



 「その頭の原因は何だったんだ?」食事が終わり一段落付いてから改めて金髪の理由を尋ねた竜児。「生徒会長になりたくなくてさ、この頭なら誰も期待しなくなるだろ。」生徒会長になりたくない。だから金髪にすれば誰からも期待されないから降りられるというのが、金髪に返信した理由だと主張した祐作。「生徒会長やら無くて良いよ。北村君が決めたことだもん。」祐作の意志を尊重して、生徒会長辞めた方が良いと主張した大河。そのまま気晴らしのゲーム大会が始まり

深夜まで続いた。しかし祐作は勝手に布団を敷いて先に寝ており、アイスクリームのリクエストを

されたので竜児は、大河と一緒にコンビニへ向かった。「私やっぱ駄目だ。何喜んでいたんだろうね。自分の事ばっか喜んで、北村君が苦しい事やつらい事何に悩んでいるか、気付く事が出来なかった。本当駄目だ!こんなんじゃ北村君の助けになれない。私が駄目な時、北村君はいつも手を差し伸べてくれた。私は居て良い存在なんだって!」興味本位で祐作の寝顔を眺めていた大河。それがきっかけで、自分を助けてくれた祐作を自分は何もわかってあげられず、力になれない現実を涙を流し後悔した。(自分の事だけ考えれば良いのは子供。周りの事もちゃんと見なければならないのが大人。大河は祐作と違って子供だと思ったのでしょうか?子供と大人の違いそれがとらドラ!の本の些細な物語で明確になった気がします。)



 「最後の救いか!大河、オリオン座あの3つ並んだ。」マフラーを掛けてあげて、オリオン座を

紹介した竜児。「あの3つの星ってさ近そうに見えるけど、本当は凄く離れているんだよね。私と北村君みたい。目で見えている事は本当なんかじゃない。目で見えない真実を知るには、どれぐらい離れているんだろう。私と北村君の距離は?」オリオン座の星に例えて、目で見える祐作と

内面に奥にある本当の祐作。それがどれぐらい離れているのかわからず悩む大河。「離れているから近づきたいって思うだろ。好きだから分かりたいって手を伸ばすんだろ。そうやって少しずつ近づいていくしかねえだろうな。」思いがあるから近づきたい・知りたい。その思いは徐々に近づいていくしかないと答えた竜児。大河はその言葉を聞いて一言頷いた。結局大河のやけ食いに付き合い竜児は、部屋でそのまま眠っていた。大河もまた竜児の足元で眠っていた。「良い顔で寝てるなあ。」始めてみる大河の寝顔に興味津々の祐作。しかし寝ぼけた大河に一発食らうと

いつもみたいにちょっと変なポジティブな祐作の顔が見えていた。



 一方大河は、祐作を殴ってしまい大声を出してんぱった。これが引き金となり、眠れない泰子から金を渡され3人とも外に追い出された。「よし遊びに行こう!文化祭や部活でずっと忙しかったしな。昼から遊ぶなんて久し振りだ!」笑顔満開で2人を遊びに誘った祐作。連れて行った先は、ソフトボール部員らしくバッティングセンター。普段の鬱憤を打ち消すように一心不乱にバットを振りぬき快音を連発させた。「やっぱり何か変だな北村の奴。」竜児は祐作の行動に違和感を感じていた。一通り打ち終わり竜児の番と思いきや、野球未経験の大河がバッティング挑戦を

立候補した。すると簡単なアドバイスを貰うと快音を連発。とても初めてとは思えないほどの当たりが飛び、ホームランまで飛ばす打球もあった。「お前ほどの逸材が、何故ソフト部に入ってくれなたんだ?いや素晴らしいホームランだった。」楽しそうに大河のバッティングを見つめた祐作。

その才能を認めながら驚いていた。



 「竜ちゃんちょっと北村君を抑えてくれない。北村君生徒会長になるんでしょ?だったら金髪は駄目だよね。」帰宅した3人を待っていたのは、毛染めを持っていた泰子。激怒していた祐作の父親と連絡を取り、黒髪に戻そうとしていた。「うちの親と通じていたとは、やっぱり保護者は保護者か俺は生徒会長なんかにならない。絶対にならない!」祐作の父親も生徒会長になる事を期待していた。泰子も同調する姿勢を見せて、生徒会長にならないと意固地になってしまいそのまま高須家から出て行ってしまった。「やる気になってもらうしかないか?」嫌だ嫌だと言っているが、本当は生徒会長になりたいと考えた大河。しかしそのためには、祐作自身がその気にならないと意味が無い。週明けの月曜日大河は思いもかけぬ行動に出た。「ここに宣言する。この逢坂大河が生徒会長に当選した暁には、この学校を乗っ取り貴様らの高校生活を鮮血の記憶に残しモルグ(死体保管所)に葬り去ってくれる!」自ら生徒会長選挙に立候補して、学校をめちゃくちゃにすると宣言した。ふざけた状況に陥れる事で、祐作を選挙に引っ張り込む作戦が始まった。大河の思いは通じ元の祐作に戻るのか?