ことみは子供の頃出会っていた朋也に過去の出来事を打ち明けた。しかしその後学校に

「アメリカ留学」の話を進める様に頼み学校に登校しなくなった。もうすぐことみの誕生日が

近づき、朋也は自分が子供の頃に遊びに行っていた一ノ瀬家の庭を取り戻そうと、荒れている庭の掃除をガーデニングの勉強をしながらやり始めた。その様子を見ていた渚・杏・椋も協力して朋也を手伝い始めた。ことみ誕生日まで後2日、夜も皆で庭の手入れをし朝を迎えると、朋也は渚達が来る前から手入れを始めていた。「ことみ!ちゃんと寝てる?ちゃんと食べてる?明後日の誕生日、あたし達も楽しみにしているからね。」杏は心配しながら、窓に向かって語りかけた。ことみが元気にしていると信じながら。

 渚達は学校に向かい残った朋也は(不良ですからさぼってもいいのですよ。)1人で作業を

継続し、桑で舗装したりしていた。夕方には渚達も参加し、木を切ったり花壇に土を入れたり

必死にそして楽しそうに夜になり暗くなっても頑張った。全てはことみの誕生日を祝う為に!杏と椋は先に帰ると「明日までに作業は終わりそうですか?」渚は進行状況を尋ねた。「実は

今夜は徹夜するつもりなんだ。」朋也は徹夜して明日までに作業を終わらせようと考え、一緒に

付き合うとした渚の申し出を断った。(何も言わないのに判るとは、流石は夫婦。それに渚が

風邪でもひいたら秋生がぶち切れそう出し、確かに出入り禁止にしそうです。)

 「ことみの判ってるよな。皆心配しているだぞ!」窓を見上げことみの事を考えた朋也。作業は

夜通し行われ、何とか元通りの美しい庭が蘇った。「もう読んでもいいよな。」ことみから渡された本を椅子に座って読み始めると「一昨日はウサギ、昨日は鹿!」以前言われた言葉を思い

出し、朋也はそのまま眠ってしまった。するとまるで夢の様に子供の頃の朋也とことみの様子が

記憶の彼方から蘇って来た。(本の言葉を言ったのは、ことみが自分を思い出して欲しいと

願ったのだと私的には、思いましたけどどうでしょうか?)

 出会いは虫を捕まえようとしていた朋也が、ことみの家に入ってしまった時。余り外に出たがらず他人と距離を置いていたことみは、いつも遊びに来る朋也とはとても仲がよく、ままごとや

一緒に本を読んだりした。そしてことみの誕生パーティを「友人と一緒に祝いたい。」そう願った

朋也は、同級生の男子生徒に声を掛けた。しかし「恥かしい、格好悪い」などの理由で馬鹿に

され嘲笑された。結果約束をしたのに実現出来ず、あわせる顔が無く誕生会には行かな

かった。それでも深夜になり「謝らなければ!」と思い全力で朋也は走った。しかし電気は付いておらず様子を見に行くと、論文に火を付け両親を失った悲しみと、燃やしてしまった後悔で

泣きじゃくることみが父親の書斎にいた。慌てて火を消そうとコップに水を入れて消そうとする

朋也だが、火は全く消える気配が無い。その時研究チームのメンバーだった紳士達が駆け付け

何とか火を消した。「これは違うよこれは君の為のものだから泣かなくていいんだよ。」紳士は帽子を取り優しく語り掛けた。結局何度か足を運んだものの、ことみに会う事は無くなり、まるで

一緒の時間が夢の様に消え去り、朋也は全て忘れてしまったのだ。

 「目が覚めた?」ことみが姿を見せ優しく言葉を掛けた。あの庭で会った男の子が、たった

1人の友人でとても好きだったことみは「ずっと待ってたの。一昨日はウサギを見たの。昨日は

鹿。今日はあなた朋也君!」涙を流して語り掛ける。「迎えに来た皆お前を待っているぞ!」

朋也も思い出し涙を流し手を差し伸べた。(BGMがもの凄い泣けます。やばいですこの演出)

 誕生日当日校門の前で待っている朋也達は、登校して来たことみを見つけ、朝の挨拶をした。

「おはようなの。皆私の事待っててくれたの?」今まで無かった光景に戸惑うことみ。笑顔で

迎える朋也達!(何だか微笑ましい光景です)そして諒が「ヴァイオリンプレゼント券」を渡し

プレゼントしようとしていたヴァイオリンが壊れた事情と、直ったら渡す事を説明した。「ありがとう

なの。」ことみは感激し感謝した。その時担任教師がやって来て、後見人である紳士がある物を

渡そうと学校を訪問する内容を説明した。「大丈夫あの人は、そんなに悪い人じゃないよ。お前も本当はわかっているんだろ。」思い出した朋也は、不安なことみの気持ちをフォローし、渚達も

演劇部の部室に案内し、一緒に付き添う事を約束した。(優しいなあ皆。友達の絆を感じた

シーンで感動的ですね。本当に作り方が上手いです)

 放課後紳士が演劇部の部室にやって来た。持っているのは昨日届いたアタッシュケース。中身は確認積みで、紳士は開ける様にことみを促した。不安そうに手を掛けていると渚達が応援

して励まし、そして中を開けてみるとそこには、子供の時に約束したクマのぬいぐるみと手紙が

入っていた。手紙には「If you find this suitscase.please take it to our daughter.K&M

(もしあなたがこのスーツケースを見つけたら、どうか私達の娘に届けて下さい。)」という内容がことみの両親のサイン入りで書かれてあった。サインを見たことみは、両親のサインであると

確認した。カバンはどこかの岸辺に打ち上げられ、鍵を開けた誰かが,ぬいぐるみと手紙を見

つけ手入れをし誰かに託した。世界中を巡り何年も掛けて優しさが詰まったカバンは、ついに

戻って来たのだ。(ちょっと無理あるけどもの凄く良い話です

 更にことみが論文の控えだと思っていた燃やした封筒の中身は、クマのぬいぐるみのカタログ

であった事実を明かした紳士は「初めから控えなど存在しなかった。」と語った。そしてアタッ

シュケースの中にあるはずの論文の存在が気になることみに「手紙を読んでご覧。」と言った。

 手紙を読んだことみは、その字が父親の筆跡であると確認すると「論文の代わりに、ぬいぐ

るみと手紙を入れたのだろう。私はその手紙ほど、美しい言葉にかつて触れた事がない。君の

お父さんとお母さんは、君の幸せだけを願っていたのだろう。」紳士は両親の心情を代弁すると

ぬいぐるみを抱かかえ「お父さんお母さん私ねずっと待っていたのお家の中で1人で泣いてばかりだったけど朋也君が迎えに来てくれたの私ね今とっても幸せなの幸せだからだからねお父さんお母さんお帰りなさい。」両親の深い愛情を感じ、孤独から解放してくれた友人達の存在。ことみは今とても幸福に満ち溢れていた。(両親からの手紙の内容は、ことみの事を

考えた深い愛情のこもったものでした。今のことみならばそれを受け入れて成長していくと

思います。論文よりも娘の事を最期まで考えていた両親は、素晴らしい誕生日のメッセージを

残しました。たとえ時が経っても親子の強い絆を感じさせてくれました。)

 朋也達は一ノ瀬家を訪ねると、ことみが笑顔で出迎えた。パーティには陽平や渚の両親も

駆け付け、あのヴァイオリンリサイタルの時と同様多くの人々が祝福するする事になった。明るく

前向きになったことみは、優しい人々に囲まれてとても幸せな表情をしていた。美しい庭は

ことみの心情そのものを表現しているのかも知れない。