ヴィルヘルミナの心のこもったロールキャベツを食べて笑顔を取り戻したシャナ。しかし未だ鍛錬には参加していなかった。悠二は史菜のお世話係になりシャナとの時間が少なくなったのが原因であった。いつもの様に史菜の自宅へ送り迎えの為に急ぐ悠二は、時間が遅れてしまい

史菜と一美に代わってお世話係になった真竹を待たせてしまった。3人で歩いている間「近衛

さんをかまい過ぎている。」という速人の忠告を思い出していた悠二は、シャナや一美の事を

考慮し「近衛さんこうして緒方さんも登校してくれるし、僕はそろそろ・・・・・・」悠二はお世話係は続けながらも、史菜と2人でいる時間を減らそうと考えていた。しかし史菜はそれを嫌がり

悠二の袖を掴み離そうとしなかった。(悠二はシャナと一美の気持ちに全然気付いていない)

 学校に登校すると担任教師から「突然だが明日各クラス共通の一斉テストを行う事になった。

試験範囲は各教科とも1学期分。」夏休みの学習成果を図る為の抜き打ちテスト実施が宣言

された。昼休み啓作と栄太はすでに諦めモードだったが、一夜漬けで良い点数を取りたい

真竹は「池君お願いがあるんだけど、勉強を教えてくんない。一夜漬けでも少しはましな点が

取れると思うんだ。」と勇人に勉強を教えてくれる様に哀願する。その話を速人が了承した後

真竹は場所を啓作の家に指定し、やる気の無い2人にも参加を打診した。そして勉強会という

名の試験勉強対策参加条件として「いつものメンバーが揃えば!」勇人は言い出した。

悠二は一緒に昼食を食べないで屋上にいたシャナと一美に勉強会の打診をする。しかし

「なんで一緒に勉強しないといけない。」シャナは余り乗り気ではない。しかもいつものメンバーの他に史菜も悠二の後を追って屋上に来るものだから、なおさら不機嫌になり、自宅に戻って

からもヴィルヘルミナから「何を怒っているのでありますか?」と突っ込まれるほど不快指数は

上昇し、またも悠二の鍛錬を任せ部屋に閉じこもる。悠二との距離を取るシャナも悠二とどう

接していいのかわからなくなっていた。(確かにアラストールの言う通り、ヴィルヘルミナに鍛錬を任せきりというのはよくないでしょう)

 夕方勉強会の会場である啓作の自宅には、居候のマージョリーが相変わらず酔いつぶれて

眠っていたので、栄太と啓作はクラスの女子には会わせたくないが、時間切れになり池と女子達がやって来た。(一美はなにやらたくさん買い物をして来ましたよ)成績優秀の一美は料理係

を担当し、悠二はシャナが来た事に安心し「来てくれたんだね。」と声をかける。しかしシャナは

何も答えようとせず素通りした。啓作の自宅は豪邸で、クーラーも業務用で大きなテレビもあり

ちょうどいい長机もあった。

 さっそく座る悠二の隣に何食わぬ顔で史菜が座り、シャナは面白くない。1人台所で料理を

作る一美も今は史菜の事を忘れ気合を入れる。勉強会は勇人が真竹を教えシャナが啓作を

教えるがなかなかはかどらない。しかも悠二が史菜と仲良く勉強しているのを見て、シャナは

ふてくされる。そして一美1人で作った豪華な夕食が完成したが、これが見た目もいいが味も

最高だったので大好評。しかしプライベートな時も悠二が史菜のご飯のお世話までするので

それを見ていた一美の気持ちはつらい。

 夕食が終わり後片付けをしようとする一美だが、真竹もお礼に協力しようとする。佐藤家には

中学時代に遊びに来ていたので、いろいろと知識がある。真竹も栄太との関係が気になり

「中学の頃は無邪気でよかったのになあ。」とちょっとセンチメンタルな気持ちになっていると

目覚めたマージョリーが水を飲みに台所にやって来て真竹と鉢合わせになってしまった。

 勉強会は栄太が英語に大苦戦し、啓作は完全にやる気を無くしあきれ顔の速人は、一美と

真竹が30分以上戻って来ない事を心配すると、史菜が立ち上がり「おいしいご飯のお礼に

私も手伝って来ます。」と言い出した。悠二もそれに同調し一緒に行こうとするが「悠二は勉強

して、私が行く!」シャナがそれに割り込み史菜の手を引っ張り部屋を出て行った。(悠二と

二人きりにはさせない。シャナヤキモチ焼きすぎ)台所に行ってみると一美と真竹の姿は無く

史菜が洗い物をしようとしたが、出来るわけが無い。変わってシャナがやろうとしたがこれもまた

出来るはずも無く、史菜にいい所を見せられなかった。(いや格好悪すぎですわ

 その頃一美と真竹は、酒を飲んでいるマージョリーの部屋にいた。我が物顔で啓作の家にいるマージョリーの存在が気になる真竹は「あなた田中の何なのですか?」強気に質問した。「なんだそんな事か?別にそんな関係ではないわ。」真竹の気持ちを見透かした様に、マージョリーは真竹に答えた。更に「自分は仕事(フレイムヘイズとしての)でこの街に来ていて、ねぐらを探していたら啓作に使っていいと言われたからここにいる。たまに2人には仕事を手伝ってもらって

いるけど、それ以上の関係は無い。」はっきり言い切るがそれでも納得していない真竹!

 マージョリーは2人から自分に対する想いを感じていたが、それは恋や愛などではなく大人の

女性に対する憧れで、まだまだ自分から見たら子供だと感じている事を説明した。ようやく納得した真竹は誤解していたマージョリーに謝罪した。気にしていないマージョリーは「嫉妬に身を焦がすのも恋の内、恋って自分の嫌な部分を映し出す鏡の様な物!特に片思いではねたみ・やっかみ・ひがみ、ありとあらゆる感情と向き合う事になる。でもそれを恥じる事はない、だってそれだけ本気なのだから。」と2人に言い聞かせて、アドバイスとして2人の心を通じ合わせる。誤解したりさせない事が大切であるとエールを送る。(マージョリーさん大人です。確かに恋は自分の好きな人に恋人がいたら、むかついたり恨んだりするけど、でも人の思いが同じ方向に向く事は本当に難しいと思う)

 女子達が戻って来ない勉強会会場では、男子達がのんびりとしていた。「当たり前の奴らと当たり前の時間がいつまで続くか!」啓作がつぶやいた一言は、悠二にとっては非常に共感

出来る言葉で、平和で日常的な時間がいつまでも続くとは限らない。迷惑をかけまいと街から出て行こうと決心している悠二にとってもこんな日常的な時間も貴重なのである。その時台所から悲鳴が上がりみんなが駆け寄ると、シャナが食器洗い機の水を被ってビショビショになり、史菜はその様子を見て「ごめんなさいこんな事初めてで・・・・・」と言いながら笑っていた。お嬢様の史菜には目に映る物が新鮮なのである。それに呼応して悠二達も笑っていたが、シャナは

みんなに笑われて面白くなかった。

 テストが終わり啓作と栄太は散々だったが、勉強会をやった意義は別にあった。史菜と距離を

取っていたシャナと一美に変化が生じたのである。一美は恋のライバルのシャナにマージョリー

から聞いた言葉を伝えた。それを聞いてシャナは「心を通じ合わせる。悠二と通じ合っていなかったから近衛史菜との事も・・・・・」自分の今までの気持ちに照らし合わせ考え直し、再び屋上から教室に一美と一緒に戻って行った。そして悠二の気持ちを確かめ心を通じ合わせる為、逃げずに鍛錬の場に戻ってきたのであった。