はるおちゃんの手が好き。


分厚くてゴツゴツして力強い

働く農家さんの手


いつも私を誘ってくれる。



はるおちゃんはお金を持たないで

何処にでも行く。


町のお店でもタクシーでも

帰りにオッと手を上げるだけ

月末になったら奥さんが

あちこちの支払いに回るのだ


ツケが払えなかったら

死んだ時の

香典代わりにせいと言う



はるおちゃんは酔いが回って

眠りながらでも酒を飲む。


冗談で言う口癖は

”おいよ、オレと結婚せんかよ"

楽しいから私も

愛人がいいわと笑って答える


おしまいは必ずグラスの酒を

仲良し半分こ。





はるおちゃんは

オレのハーレーだと自慢するピンクの

カブに乗って帰る。


おまわりさんに見つかっても

お前らなんかに用はねえ!と一喝して

手こずらせるらしい



ママが送って行くと言っても聞かない

集落一の頑固者。



なので、

ママは見送りながら 叫ぶのだ



おーいよ オヤジよ


ケツ振っとるぞ〜



はるおちゃんは返す。



べっちゃないー!