唐突ですが、私は絶叫マシーンが嫌いです。

とにかく号泣するほど嫌いです。


子供の頃はそうではなかった気がします。

どちらかというとスピード感のあるものが好きで、プールに

行くとウォータースライダーには飽きるほど並びましたし、

自転車で坂道を下るだけという、単純な遊びをよくしました。

遊園地でジェットコースターに乗りたがり、年齢制限で

乗れなかった時など、かなり悔しがったと言います。



こんな私がいつから『滑り落ちる』という感覚を苦手とするように

なったのか?

今日はその理由をお話し致しましょう。




あれは小学校に上がったばかりの頃でした。

他人よりも早く補助輪を卒業した私のお気に入りの遊びが、

先述した『ただ坂道を自転車で下る』という単純なものでした。


春のうららかな陽気の中、風を切って坂道を下る。

その爽快感が好きで、友達と共に長い坂道を探し歩いていました。


ある日ふらりと入り込んだ団地の中に、長い長い坂道を発見!

500メートル以上はあろうかというその理想的な状況に、かなり

興奮したのを覚えています。

(帰りは上り坂になることなど、アホな子供だったので念頭にない)



いつものように、嬉々として坂道を下り始めます。

長い長い坂道・・・全くこいでいないのに、どんどん加速します。

かつて体験したことのないようなスピード。

ちょっと怖くなってきました。


そこへ、かなり先の方ですが、脇道から出てくる車が見えたのです。


ここからはなぜかスローモーション。


「危ない!」と思ってブレーキのレバーを思い切り握りしめた瞬間


ブチッ!


ブレーキハンドルの元の部分で、いきなりワイヤーが切れたのです!


でえぇぇぇ~~~っ!!!


片方が切れても、もう片方があるじゃないか。

そう思うかもしれませんが、悪いことに、頻繁に右側だけブレーキを

掛ける『片掛け』の癖があったため、ブレーキのパットがすり減り

キーキーと音を出すだけの役立たずだけが残っていたのです。


前方の車は、じりじりとこちらの道路に進入してきます。


こちらは派手な音だけで一向に効かないブレーキ。

万有引力によって、凄まじい速さで車へと近付いていきます。


死ぬ!マジで死んでしまう!


半ば気が遠くなりかけましたが、そこは生への執着心が意地汚い

ほど強いのか、とっさのところで閃きました。


もう転ぶしかない!


後ろにいた友人に「仮面ライダーみたいだった」と言われる位の

迫力で、スタントシーンさながらのコケを披露したのです。

(いや、ヒーローはこんな派手にコケたりしない)


加速があったため、転んでもなお滑る。全身に火が着いたよう・・・


身体中スゴイ擦り傷でしたが、幸い骨は無事のようでした。

何を隠そう私は骨太


倒れた自転車が、車のすぐ横まで滑っていったので、運転していた

おじさんがビックリして車から降りてきました。(なんて迷惑なガキ)


恥ずかしさのあまり痛みを忘れ、ひたすら「大丈夫!」を繰り返し

心配するおじさんを振り切ると、痛い身体を引きずるようにして帰宅

したのでした。

全身擦り傷だらけの私を見た家族は、心配するどころか大爆笑!


そりゃねぇべ( ̄□ ̄lll)


当然病院にも連れて行ってくれませんでした。


消毒液とオロナインとゆ~乱暴な治療にもかかわらず、活きの良い

血小板のお陰で、今では痕も残っていません。

ただ一部分、すね毛の生えないところがあるくらい。


この事がトラウマになって、しばらく自転車は乗れませんでしたが

今ではなんとか大丈夫です。


ただ絶叫マシーンに対する恐怖心はしっかりと根付いてしまいました。


高校生の頃、おもしろがる悪友にムリヤリ乗せられたこともありますが

(しかもへタレぶりが笑えるとゆ~ので何度も!まさに拷問!)

魂抜けるまで乗らされたので、ますます嫌いになりました。





誰だ?「あほ」とか言ってんのは( ̄o ̄#)